2011.12.4 (sat) @ Shibuya CLUB QUATTRO,Tokyo
ACTs : eastern youth / BEYONDS
eastern youth年末恒例の極東最前線だがBEYONDSが出演となれば、いつもとはまた別の胸騒ぎがしてしょうがなかったのだが、満員のCLUB QUATTROのフロアの多くのオーディエンスも同じような気持ちだったのだと思う。BEYONDSのフロントマン谷口健は「eastern youthと一緒に楽しもうと思っています」と語っていたけれど、切々とした語り口のヴォーカル、そしてギターの中川暁生、ベースのテッキンこと工藤哲也、ドラムのアヒト・イナザワというラインナップで、パンク/ハードコアという芯を保ちながらさらに可変性を強めた重心低いアンサンブルを打ち鳴らす。この編成での新しい音源を早く聞きたいと文句のひとつもつけたくなるほどのマイペースぶりだが、その口をふさぐに充分の説得力を持っていた。そして彼らがどれほどこの極東最前線という場を大切にしているのかが確かに感じられるアクトだった。
その後登場したeastern youthも、BEYONDSのテンションに影響されたのか、いきなり「浮き雲」にはじまり「ギラリズム夜明け前」「素晴らしい世界」「鉛の塊」と初期の名曲を立て続けにプレイ。観客からも信じられない! というような歓声が上がる。吉野にとってもこのクアトロというハコには特別な思い入れがあることを強調し、かつて盟友BEYONDSがクアトロの舞台に立ったときのことを「キラキラしてた」と回想する。そして、「ラーメン屋で餃子を食べるような感じで歌いたい」とも。そんな生活感溢れたMCの一方で、彼らの強靱な音の塊は、研磨され、ますます鋭さを増しているようだった。結成20年を過ぎ、もはやあうんの呼吸なんて言葉では説明できない、アヴァンギャルドなジャズのセッションでもなかなか味わえない3人の間に存在する緊張感は、ビリビリと音をたてそうなほど。
彼らは歌の世界でも、そして語る言葉においても繰り返し、ひとりぼっちでも構わないということ、そして自分のペースで進むことの大切さを説く。なれ合いといったものをかなぐり捨てて活動してきた彼らが、それでもこうした極東最前線というイヴェントを続け、親友でありながらリスペクトして止まないBEYONDSを迎えてライヴをおこなうことの意味を、いま一度かみしめるべきだ。
何度も虚空を掴みながらでも、何にもなしえないことの諦念を引きずりながらでも生きていくことをeastern youthの音楽は伝える。本編を締めくくる「一切合切太陽みたいに輝く」の振り切れたシャウトからもそれは感じられただろう。「自由」、「DON QUIJOTE」という2曲のアンコールを披露し、場内の客電がつきBGMが流れても、この日のオーディエンスは会場を離れようとしなかった。再びステージに現れた3人がすがすがしい表情とともに歌った「夜明けの歌」には、こじつけでもなく、目の前に夜明けの風景が浮かんできたのだった。
Text : Kenji Komai
Photo : Satoshi Kubota
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