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LIVE REVIEW

BRAHMAN "2011 TOUR 「霹靂」"

2011.11.19 (sat) @ MAKUHARI MESSE, Chiba

"AIR JAM 2011"のオフィシャル・ブックに出演アーティストのコメント欄があり、「出演依頼 2011年11月19日 3人の勇姿を再び待ち侘びています」とBRAHMANは書いていた。当然、こんなことを書くのは彼らだけであり、それを本当に実現させてしまうのも彼らだけだろう。

"2011 TOUR 「霹靂」"ファイナル公演は幕張メッセでおこなわれ、この日は午前中から雨がしとしと降り、風もやたらと強く、とても寒かった。そして、今年11年ぶりに復活したHi-STANDARDの3人がそれぞれ所属するバンドが今日“初の対バン”を果たした。開演時刻15時半を10分ほど過ぎると、まずはCUBISMO GRAFICO FIVEの登場だ。華やかなミクスチャー・センスに“チャーベ”こと松田岳二の甘い歌声が乗ると、自然とハンドクラップが沸き起こり、至福の空間へと様変わり。最後はTGMX、村田シゲ、恒岡章の3人がステージ最前でコーラス隊と化し、「眼鏡、曇ってる!」とイジられる恒岡の姿が微笑ましかった。

「僕は死ぬまでキミたちと一緒にいたい!」と言い、1曲目「TILL I DIE」から全速力で飛ばすのは難波章浩-AKIHIRO NAMBA-だ。「CALIFORNIA DREAMIN'」、「STAY GOLD」、「TURNING BACK」と3曲のハイスタ・ナンバーも投下し、"AIR JAM 2011"の光景がフラッシュ・バックする観客の騒ぎっぷりに興奮した。

「今日は横山健の自己紹介的な曲ばかりやるわ」と軽いジョブ気味のMCを放ったKen Yokoyamaは、ド頭からギター・ソロで攻めるインスト曲を披露し、続けてKenはTシャツ、短パンを脱ぎ捨て、ナニを股に挟んでキメポーズ! 「TOSHI-LOWが好きなもんで」と本人はエキスキューズし、僕の隣の客が「凄いわー、Ken!」と感嘆の声を漏らしていた。まあ、いきなりストリップ劇場で始まり、HUSKING BEEの「WALK」ではイッソン(磯部正文)を招き、ラストに激エモーショナルな「LET THE BEET CARRY ON」でビシッと締め、今日集まった1万4千人を納得させられる人間的器の持ち主は、Ken以外に見当たらない。「ハイスタが出ることを期待した人もいるかもしれないけど、ごっちゃにしたくない。BRAHMANも客も喜ぶかもしれないけど、オレは喜べないんだわ」ときっちり説明するKenに温かい拍手が送られる場面も印象深かった。

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19時6分、左右の大型スクリーン、ステージを覆う白幕に“フクシマ”の文字も一瞬過ぎる映像が流され、場内は歓喜に包まれる。冒頭目「A WHITE DEEP MORNING」を終えると、「例え負けるとわかっていても、無理とわかっていても、絶望とわかっていても、闘志が漲ってくるんだよ! ……懸命に生きたいだけ」と穏やかに語るTOSHI-LOWの口調に激しく胸を揺さぶられ、呪文のように鳴り響く「THE ONLY WAY」のリフを聴くだけで早くも全身が燃えてきた。気付けば、後ろから前に押し寄せようとする観客に何度と当たられ、僕の体は木の葉のように転がされた。「賽の河原」では骸骨から血の涙が出る映像や、「最終章」では変わり果てた被災地の写真、また、“早く帰ってきて”という文字が映され、歌詞の「二度とはもう戻らない」と共に耳に入ったきたTOSHI-LOWの絶唱ぶりに涙が出るほど感動した。それから中盤以降の「ARRIVAL TIME」、「FOR ONE'S LIFE」、「SEE OFF」、「LOSE ALL」、「ANSWER FOR...」、「THE SAME」、「ARTMAN」の7曲を一気に畳みかける流れは本当に凄まじく、勢いもパワーも加速しながら、ダイヤモンド並みに強固なバンド・グルーヴを脳天に叩きつけられるような衝撃度を食らった。

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嵐のような演奏が過ぎ去ると、ステージ下に降り、観客の中へ分け入り、両足を支えられながら静謐曲「PLACEBO」を切々と歌い上げたTOSHI-LOWは、「どうも自分たちがメインだとダメだな……」とポロッと弱音をこぼす。90年代にハイスタにオファーした際に断られたこと、今日もハイスタとして出てもらえずにスルーされたこと、この幕張公演を赤字覚悟のチケット価格に抑えたこと、さらに、今年くらい利益や利潤を追いかけず、人の痛みや悲しみに寄り添ってもいいんじゃないか、今年できたら来年もできるんじゃねぇかと語りかけ、最後は被災地に一日も早く安らかな日が戻ってほしい、という言葉で結んだ。「雨の中、ありがと」と小さな声でつぶやいた後、もはや定位置と化した最終曲「霹靂」へと繋ぎ、TOSHI-LOWの歌が、魂が、願いが、祈りが、どんな困難や絶望にも屈しない信念の炎が、優しい風となって遥か遠くまで吹き渡っていく絵が脳裏に浮かんだ。

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今のBRAHMANは、サウンドと送り手の人間性が微塵もズレることなく、がっぷり四つで組んだとてつもないパワーに満ち溢れている。生きざまがサウンドに説得力を与え、サウンドから生きざまを伝えてくれる、底なしの魅力を備えたバンドに成長を遂げている。その無尽蔵のエネルギーに、1万4千人の観客が吸い寄せられたのも当然の結果と言えるだろう。帰り道、電車が強風で一時ストップするハプニングに見舞われたが、BRAHMANのライヴだったからしょうがないか……と妙な納得の仕方をする自分がいた。

Text : Ryosuke Arakane
Photo : Tsukasa Miyoshi




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