2010.11.19 (fri) @ ZEPP TOKYO, Tokyo
ACTs : LOW IQ 01 & MASTER LOW / the HIATUS
遠藤憲昭が手掛けるファッション・ブランド「DEVILOCK」が14周年を記念し、その第2弾イヴェントが開催された。この日はLOW IQ 01 & MASTER LOWとthe HIATUSという、おそらくガチンコでは初と思われる好取り組みで行われた。この日はオープニングで特に仕掛けはなく、通常のライヴと同じシンプルな形式でスタートした。
トップを切ったのは、LOW IQ 01 & MASTER LOW。サポート・メンバーには、SCAFULL KING、FRONTIER BACKYARD、CUBISMO GRAFICO FIVE、NEIL & IRAIZAと腕利きの演奏陣が脇を固める。そこにハンチング帽、コート、マフラーなど秋を意識したベージュ・カラーでバッチリ決めたイッちゃん(LOW IQ 01)が最後に登場。今年はソロ11周年の大きな節目を迎え、ここ数年はTHE BEAT BREAKERやTHE RHYTHM MAKERSに加え、ANOTHER BEAT BREAKERを立ち上げたりと、複数のユニットを同時並行させる大車輪の活動ぶりだ。以前、取材時に「ライヴは苦手」と素直に告白していたイッちゃんの面影は、微塵もない。肩肘張らず、どこまでもオープンな空気感に溢れたリズムとメロディに、じわじわ体が熱くなり、気付けば汗だくになるショウを展開する。
自然とサウンドに身を委ねたくなる心地よさ、ハッピー感は誰にもマネできない、異様に光彩度の高いエンターテイメントを炸裂させていた。「DEVILOCK14周年おめでとう! 初めての人もいると思うのでよろしく! (コートやマフラーなど)まだ脱がないよ、男の美学はやせ我慢だから」とおどけて見せるが、ライヴ中に何度も着たり脱いだりするのも実にイッちゃんらしい。そして、自ら音頭を取って観客をハンドクラップ&ジャンプの渦に巻き込み、軽快なロック・グルーヴで会場をひとつに束ねる手腕はさすがの一言に尽きた。
そして、太古の地響きのような野性ビートが大音量で鳴らされると、the HIATUSが現れた。セカンド・アルバム『ANOMALY』のレコ発ツアーを無事終え、より一層バンド・サウンドの絆を深めている彼ら。この日も1曲目「The Flare」からメンバー個々が強烈な火花を散らし合い、前へ前へ突進していくるアグレッシヴな勢いが際立っていた。それはmasasucks(Guitar)のブリブリのギター・リフが鼓膜をつんざく3曲目「My Own Worst Enemy」、ヘヴィな疾走感をトップギアにした4曲目「Monkeys」にも顕著に表れ、険しい密林地帯を風を切って爆走するような清々しさに漲っていた。
ツアーを通してメンバー間の呼吸が濃密になり、さらに柔軟性がアップしたところもあるのだろう。アレンジや展開にはライヴならではの逸脱感や生命力が加わっていた。巨大な建築物が崩壊するようなイントロで始まる8曲目「The Ivy」のカオスぶり、また、10曲目「Insomnia」ではマイクを両手で握りしめて全身全霊で歌う細美武士(Vocal & Guitar)の姿といい、メンバー全員が一丸となって楽曲に込めれた情念をえぐり出していく。周りのメンバーや観客に全幅の信頼を寄せて、フルスロットルで体当たりしてくるエネルギーは、これまでになくスリリングな開放感に溢れていた。特に11曲目「Twisted Maple Trees」の後半のインスト・パートにおける殺気立ったプレイには身震いを覚えるほどだった。
そしてほぼすべての観客がアンコールを求める中、最後の「西門の昧爽」が終わり、アナウンスが流れても、全くその場を去ろうとしない観客の姿を見て、今日のイヴェントに対する満足度の高さを窺い知ることができた。
Text : Ryosuke Arakane
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
LOW IQ 01 OFFICIAL WEBSITE
LOW IQ 01 OFFICIAL MySpace
the HIATUS OFFICIAL WEBSITE