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the telephones "SUPER DISCO Hits FINAL!!! ～そして伝説へ～"

とてつもなく壮大なチャレンジが、時に最強の意思表明になることをこの日のthe telephonesは証明した。彼らがこの1年の終わりに、さいたまスーパーアリーナというかつてないほど巨大なキャパシティの会場でのライヴに挑んだ理由は、普段から宣言している「もっともっと音楽が好きな人が増えて欲しい」という純粋な欲求によるものだ。

Photo by Kazumichi Kokei

この冬いちばんの寒波の中、集まったオーディエンスは自由に踊りたいためにクロークに長蛇の列を作り、その結果、開演が30分以上押したものの、開演前から随所で「ディスコー！」の叫び声。そこに石毛の「皆さんお待たせー！ We are telephones！」の第一声とともにキラーチューン「Monkey Discooooooo」が投下されると早くもサークルモッシュが起こり、スタンド席にいても会場が揺れているのが分かる。続く「A A U U O O O」ではチアガールが登場。続いてノブの分身？みたいなダンサー6人が登場。3曲目の「Baby.Baby.Baby」ではノブが通路を突っ走ってセンター・ステージ（というには一人乗るのが精一杯）でいつにも増して意味不明な動きで煽る煽る。

Photo by Kazumichi Kokei

「どうも、埼玉の北浦和からやってきたテレフォンズでーす！」と石毛。「から来た」というかここだろ！とツッコミながらも、地元で一番大きなキャパの会場でやることに拘った彼らの思いにグッとくる。続くブロックは新作『Rock Kingdom』の積み重ねてきたものが自然に表出したグルーヴを感じる「Yeah Yeah Yeah」や、内省的な響きのシークエンス～トライヴァルなビートが踊る楽しみを拡張する「I Am Me」。「いろんな勝利があると思いますが僕らテレフォンズはこのさいたまスーパーアリーナの成功が唯一の勝利だと思ってます」という石毛の言葉とともに放たれた「Just One Victory」はブライトなサウンドも相まって、潔癖なまでの響きを伴う。次のバンドのマニフェスト的な「SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!」がこの日のための特別な感慨をもって届いた。そしてさらっと言い放ったが「死にたいと思った時にできた曲」と紹介され、久々に披露した「Homunculus」、イノセントな子どものような声で歌う「Re:Life」の美しいメロディが、彼のナイーヴというにはあまりに切実な側面を浮き彫りに。

Photo by Kazumichi Kokei

Photo by Kazumichi Kokei

そして結成当初の順風満帆どころかちっとも先が見えない頃の振り返り話も披露しつつ、このバンドで初めて作った曲である「Used Skin」へ。80sとカンフーっぽいリフが笑えて踊れるーーそう、ずっと彼らはご大層で壮大な世界観には見向きもせずにいつ初めてその場に足を踏み入れても楽しめる曲ばかり作ってきたことを思い知る。

Photo by Kazumichi Kokei

そして怒涛の後半戦突入前に、実は2階スタンドは全然埋まってないことを暴露。しかし空席にライトを置く周到さで、たまアリはさらにディスコ化！ステージ上よりハコ全体をダンスフロアと捉える演出はあくまでオーディエンス主体のライヴを行う意志を痛感させた。この日最強に湧いた「D.A.N.C.E to the telephones!!!」ではステージ左右とスタンド席に巨大な空気人形が出現し、なにもかもが過剰なテレフォンズ・ワールドに拍車をかける。新作でアップデートされた「White Elephant」でのメタルとブリティッシュビートが幸福なマリアージュを実現し、「sick rock」も自ずと随所でサークルモッシュを起こさせるビッグアンセムに進化。そして本編ラストの「Urban Disco」では、またもピーク更新。ここまで全26曲、２時間20分。出し惜しみなしなのは自明だった。

Photo by Yuki Kawamoto

ほどなく再登場したメンバーから来年のSUPER DISCO Hits、２月８日リリースのミニアルバム、そして渋谷クアトロ6days！を含むツアーが発表され大いに湧く会場。そして日本語詞に挑戦したという新作からポップな「D.E.N.W.A」とシューゲなテイストもある「Swim ,Swim ,Swim」をプレイ。そしてハッピーもサッドも丸ごと抱えて、音楽に身を委ね自由に表現・発散することの喜びを味わい尽くす彼らの真骨頂「Love＆DISCO」が、これまたおなじみ巨大バルーンが浮遊し、その中からハートの風船が溢れ出し、加えて「Thank you for all!!!」と書かれた小さな飛行船まで飛ぶという、収支度外視！な演出でも相まり祝祭的なムードさえ漂わせ、メンバーはステージを後にした。が、あれをやんなきゃ終われない！というわけでファン、いやスタッフも含めたここにいるすべての人と歌うための「Drums,Basses,Guitard,Keys,And your Love And Voice」の大合唱で記念すべき、でもいつも通りのテレフォンズの挑戦は終わった。ダンス・ロック以外のイマジネーションに満ちた時代とシンクロするロック・バンドとしての振り幅も見せてくれたこの日。

Photo by Yuki Kawamoto

サウンドは変化する。しかし冒頭にも書いたように彼らの思いは変わらない。それを実現するための手段としてのスケールアップはしかし、今のところ誰も踏み入れていない破格の領域だった。余談ながら、この日ライヴを見に来たバンド仲間の多かったこと！ the telephones、愛されてます。

Text : Yuka Ishizumi
Photo : Kazumichi Kokei / Yuki Kawamoto

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