INSTRUMENTS:New Audiogramがあのアーティストのあのサウンドを徹底追求! アーティスト使用機材紹介!
第1回目の今回はニュー・シングル『Handan's pillow / 逆光』をリリースしたばかりのBRAHMANのギタリストKOHKIの使用機材に迫ります。

Handan's pillow/逆光
BRAHMAN

TFCC-89198 1,575yen(tax in)
2007.4.4 on sale

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まずはギターから見ていこう。
メインギターは1976年製Gibson Explorer 【写真1】。
なぜExplorerを選んだのかと聞くと彼は「カッコイイから!(笑)」と冗談めきながらも即答。さらにこう続ける。「まぁルックスいいし…。あとミスマッチかなと…自分には(Explorerが)似合わないと思ってるから。だから逆に面白いかなと…。サウンドでも(自分たちは)クリーン(トーン:以下、クリーン)が多いし、(ハードなイメージのあるExplorerは)ミスマッチでいいかな。クリーンでもいい音するし、スゴイ中音域が出てLes Paulより下のほうに行く感じがする。」ということだった。ピックアップに関しては変更してあるのだがほとんど記憶にないという。おそらくリアがDiMarzioのPAF、フロントがSeymour Duncanの59とのこと。そしてピックアップセレクターはクリーンでも歪みでも基本センターで使用している。フロント、リア両方のピックアップが生きていて、それらをミックスされたサウンドが出力されていることになる。テールピースはアルミのものに変更してあり、響きが変わって音の分離が良くなったと語っていた。
サブのGibson Historic Les Paul 1957 Goldtop【写真2】。元メインギターなので、やはり長く使っただけあって使いやすいとのこと。ピックアップはフロントがオリジナルで、リアは交換してあるが不明のようだ。

そして、もう1本のサブ Navigator N-LP-350LTD【写真3】。「僕が持ってるギターの中で一番パワーがあって、ゴツイ音がします。写真では解りづらいですが、内側の塗装にクラックが入ってきて、貫録があります。」とのこと。ピックアップはフロントがSeymour Duncan SH-1 59ModelでリアがSeymour Duncan SH-5 Duncan Custom。ペグはシュパーゼルに変更されている。
続いてはアンプ【写真4】。
彼はステージで3台のアンプを使い分けている。右から時計回りにMESA BOOGIE Triple RectifierROLAND JAZZ CHORUS JC-120Bad Cat Black Cat 30Rとなっている。Rectifierのヘッド上にはKORG TONEWORKS DTR-1(Tuner)がある。

Rectifierでは歪み、Black CatとJC-120ではクリーンにセッティングしており、Rectifierはエフェクターをかまさずアンプ側のみで歪みの音色を作り、Black Catはまっさらなクリーン、JC-120はクリーンでもコーラス機能は常にオンになっており、本人曰く「ジャズコ(ーラス)はエフェクター扱い」ということだ。

次に音作りのこだわり、気をつけているところを聞いた。
歪みに関しては「アタックがツブれないように歪ませる。コード弾いた時に聞き取れるくらいまでに歪みを抑えて、クランチのちょっと歪んだ感じをレクチで作ってる…で、ボトムもある感じ。」ということだ。
彼は長年Rectifierを使用しているが理由を聞くと「慣れていて音を作りやすいのと好きなボトム(低域)、マーシャルにはないところが出てくるから…」ということだった。メインはDual Rectifierだが、先日のツアー中に調子が悪くなったらしく今回の取材時はTriple Rectifierだった。なぜDual Rectifierがメインなのかと聞くと「デュアルの方が(音が)前に来るんすよ。コレ(Triple Rectifier)はドンシャリな感じ。デュアルはもっと前に来る感じがする。」という理由のようだ。
クリーンに関しては「ギリギリ歪むくらいが1番いい。思い切り弾けば歪んでるんだろうけど…そのくらいが1番好き。」ということで、Black Catのch.1で、そのあたりを狙ってセッティングしているようだ。Black Catを使う理由として「ハムバッキングのギターを使うことが多いけど、それでも(Black Catだとクリーンが)“チャリーン”となるというか…ボコボコしないのがいい。抜けがいい。」ということだった。
JC-120は先述の通りコーラスをかけっぱなしで使用している。彼はJC-120について「最近、ジャズコ、スゴイ好きなんだ(笑)」「あまり好きじゃなかったんだ、最初は。でも、最近またリバイバル。懐かしい感じで…。」と語っていた。
最後は足元のエフェクター【写真5】。
1番右にあるブルーのものから時計回りにLehle 1@3 (A/B/C BOX)、HUMAN GEAR TENUTO (Compressor)、KLON CENTAUR (Over Drive)、BOSS PS-2 (Pitch Shifter/Delay)、BOSS HF-2 (Hi Band Flanger)、LINE6 DL4 Delay Modeler (Delay)、DNA Mr. Eight (Power Supply)、Providence A/B BOXとなっている。ケーブル類は全てProvidenceを使用している。

エフェクターを全て直列につないでいる理由は「前に1回、スイッチボックスでループさせて使ったんだけど…音は太いけど、コッチ(直列)の方がいい意味でちょっと音痩せしていい感じ。(スイッチボックスを使うと)音が太すぎて、ボコボコしちゃうから。だから、あえてコッチ(直列)に戻した」ということのようだ。

そして本人にエフェクターを1つずつ解説してもらった。
まずLehle 1@3 (A/B/C BOX)から。「一番右側の青いやつは…A/B BOXってあるじゃないっすか?でもA/Bじゃ足らないんです。だからA/B/C BOX。3chに分けてるんですよ。ドイツのメーカーで…スタッフにネットで探してもらって買いました。」とのこと。3アウトプットあるものでも、2回線にパラレルするものが多く、各アウトプットが独立の1回線になるのはなかなか見つからなかったようだ。写真でもわかるようにそれぞれA:Black Cat B:JC-120 C:Rectifierといったようにアンプにつながっている。

HUMAN GEAR TENUTO (Compressor)。ジャパニーズハンドメイドエフェクタ−、HUMAN GEARのコンプレッサー。「普通、コンプとかは踏みっぱなしが多いと思うんだけど…なんか負けた感じがしていやなんだよね。(笑)あえて、コンプも踏み分けてる。(音の)粒をそろえるという感じではなくて、音を伸ばしたい時、クリーンでサスティーンがほしい時に使う。」クリーンが多いBRAHMANならではのコンプレッサーの使い方だ。

KLON CENTAUR (Over Drive)。数多くのギタリストが愛用している定番オーヴァードライヴ。「ケンタウルスはクランチ。(Black CatとJC-120)両方共通のクランチ。ジャズコでも踏むし、バッドキャットでも踏む。レクチでもソロの時とかに踏む。」彼はクリーントーン用のアンプをドライヴさせる時に使用しているようだ。

BOSS PS-2 (Pitch Shifter/Delay)。BRAHMANサウンドの肝となるエフェクターは何?と彼に聞いたところ、やはりいくつもの印象的なフレーズを奏でる時に使用してきたこのPS-2をあげた。すでに生産終了となっているこのPS-2にはコダワリがあるようだ。「オレが高校の頃のやつだから15年以上前のやつ。もう何台もつぶしてる。で、中古で見つけては買って…。ナゼ、あえてPS-2かというと…最近の(ピッチシフター)は優秀すぎて音がブレない。でも、コレ(PS-2)は音痴なんですよ。1オクターヴ上で使ってるんだけど。結構、エグくかかる。だから、あえてPS-2!」
BOSS HF-2 (Hi Band Flanger)。これもPS-2と同じく生産終了モデル。「ハイバンドフランジャーは普通のフランジャーに比べて上の周波数のかかりがいいから、派手に聞こえる気がする。」ということで気に入っているようだ。

LINE6 DL4 Delay Modeler (Delay)。大定番、Line6のディレイ。「Line6はヴォリューム奏法の様なディレイモード…ああいう飛び道具的な使い方してる。ディレイとしてはそんなに使ってないなぁ…。たまに広がりが欲しい時にかける、クリーンに。」とのこと。

DNA Mr. Eight (Power Supply)。8つのエフェクターに電源供給可能なパワーサプライ。

Providence A/B BOX。チューニング用のミュートスイッチとして使っており、Rectifier上のKORG TONEWORKS DTR-1(Tuner)につながっている。

ケーブルは全てProvidenceで統一しているが、「音痩せしないシールドはないと思うけど、コレは比較的音痩せが少ないから。ずっとコレを使ってる、6〜7年ぐらい。」とのこと。
このように、長年BRAHMANの活動で得た知識と経験と感覚で導き出した結果、あのオリジナルサウンドを生むために必要だったのが、これらの非常にコダワリのあるセッティングというわけだ。最近発売されたニュー・シングル『Handan's Pillow / 逆光』とセットになっているライヴDVDを見て、このセッティングから生まれるサウンドをチェックしてみよう。