INSTRUMENTS:New Audiogramがあのアーティストのあのサウンドを徹底追求! アーティスト使用機材紹介!
今回は残念ながら9月に活動休止したELLEGARDENのギタリスト生形真一の使用機材に迫ります。機材撮影は活動休止前最後のライヴとなった9月7日STUDIO COAST公演の本番前に行い、機材の詳細については後日、生形本人に話を聞いた。


まずはメインギターはGibson ES-355 【写真1】から。
2006年リリースのアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』のレコーディングから使用しているという、このギター。製造年は不明だが、現行モデルで、ナットを牛骨に変更した以外は特に改造点もなくオリジナルのままで使用している。ピックアップにはフロント、リア共に'57 Classicがマウントされ、ボディエンドにはBigsby B7がセットされている。
音についてたずねると「335に比べて立ち上がりが早いかな、エボニー指板だから。あと音に深みがあるね。赤い335はネックが薄いからパキっとした音がするんだけど、それに比べると深みがある」さらに「Bigsbyがついていることで歪み方がスゴイ変わるんだよね、サスティンも伸びるし」と続ける。他の2本と比べると「全部セミアコだから基本的に変わらないけど、この音が一番好き」と語っていた。

次はサブギターその1、
Gibson ES-335 Black
【写真2】。
現在のメインのES-355を手に入れる前までメインギターだったので、見たことあるヒトも多いはず。本機はこのシリーズが製品化するにあたっての最初の試作品(パイロット・ラン?)らしく、カラーリングが市販のものとは微妙に違うらしい。改造点は、上記の355同様ナットを牛骨に変更し、さらにリアのピックアップをBURST BUCKER(TAK BURST)に変更している。ポッティング(ロウ漬け加工)された、このピックアップはハウリングに強く、ELLEGARDENのような大音量でのオーヴァードライヴ・サウンドには有効だ。今回取材した3本のうち本機のみ、ペグがクルーソン(オリジナル)となっている。

そしてサブギターその2、
Gibson ES-335 Red【写真3】。
ファースト・アルバム『ELLEGARDEN』のレコーディング時にバイト代を貯めて購入し、5年以上にわたりメインギターとして活躍してきた2000年製のES-335。黒の335と同じくピックアップをBURST BUCKER (TAK BURST)に、ナットを象牙製のものに変更している。「ネックが他の2本に比べ、めちゃくちゃ薄いので、そういう音がする」と本人が語るように、最近はあまり出番はないようだ。


3本ともノーマル・チューニングでアーニーボールの10-46の弦が張られている。
続いてはアンプ【写真4】。
ステージ上にはアンプ2台とスピーカー4台が置いてあるが、実際にはセンターにあるVHTのPITTBULL Hundred/CLXMarshallのキャビネットのみを使用している。

アンプのPITTBULL Hundred/CLXはメインギターの355と同様に『ELEVEN FIRE CRACKERS』レコーディング時に購入し、その後ライヴ用のメインアンプとしてツアーで活躍している。ライヴ時のメインとなるオーヴァードライヴ・サウンドは、すべてこのアンプのリズム・チャンネルで作られ、アルペジオなどでクリーン・トーンが必要な場合はヴォリューム・ペダルでギターからの出力を落とし、クリーン・トーンを得ている。フロントパネルにあるグラフィック・イコライザーはまったく使用せず、リズム・チャンネルのTREBLE、MIDDLE、BASSのノブのみでセッティングしているようだ。アンプのセッティングのコツを聞いたら「オレは最後に必ずミッド(中域)をいじって調整するんだよね、全部調整したあとにミッドをどのくらい出そうかなと。オレの中でギリギリのラインがあって、出せるだけミッドを出すんだ」とのコト。キッズは参考にしてみよう。

ちなみにレコーディングではMarshallのJCM800をメインで使用しているようだが、「ホントはMarshallがいちばん好きなんだけど、ライヴだとマスター(・ヴォリューム)をカナリ上げないとロー(低域)が出ないんだよね。で、マスター上げると爆音になっちゃうし…」といった理由でライヴではJCM800を使用せず「このVHTがいちばんMarshallっぽかったんだよね。小さい音でもローがしっかり出るし…」ということで、このVHT PITTBULL Hundred/CLXを使用している。

過去のアンプ遍歴としてはMarshall、Hughes & Kettnerときて、途中にFenderのVibro-King(!)もはさみつつ、現在のVHT PITTBULL Hundred/CLXにたどり着いたようだ。

そして、キャビネットはMarshallの1972年か1974年製のヴィンテージもの。もちろんスピーカーはCELESTIONのVINTAGE30に変更済み。やはり古いキャビネットは「ハコの鳴りが全然違う」ということで、スピーカーがヘタったら、そのつど交換し、5〜6年使用している。

メインアンプの左側にはサブのアンプとしてBADCATのLYNXがあり、その下にはストレイテナーのホリエから譲り受けた(もらった)Marshallのキャビネット。
右側には担当のギター・テックによるハンドメイド・スピーカー。12インチのスピーカーが2発入ったものが2段積みにされている。ハイファイな音でクリーン・トーンに合うとのコト。
最後に足元のエフェクター【写真5】を見てみよう。

まずギターからOriginal Loop Box(写真下段右)へ入る。このLoop Boxはギター・テックのハンドメイドで1Loop、2Out仕様。
Loopに組み込まれているMAXON OD-820(写真上段左)は埼玉県のギター・ショップOrange County Guitarによってモディファイされたもので、元はオーヴァードライヴなのだが、モディファイによりブースター、ディストーション、ファズと3パターンに切り替えられるようになっており、彼はファズとして使用している。
2Outは常にどちらかの回線が活きておりAB Boxと同様に稼動している。1つはアンプへ、もうひとつはチューナーKORG DT-7(写真中央)につながっている。

Loop BoxからつながったOriginal Booster(写真下段中央)もギター・テックによるハンドメイド。オンにすると音量も上がり、歪みも増すブースターで、現在使用しているギターとアンプとの相性がよく、気に入っているそうだ。

そして最後にヴォリューム・ペダルBOSS FV-500H(写真左)へとつながる。上記のアンプのくだりでも説明したが、彼はアンプのチャンネル切り替えをせず、クリーン・トーンはギターの出力をこのヴォリューム・ペダルで下げることによって得ている。

これらのエフェクターをつないでいるケーブルや、エフェクターに電源を供給しているパワーサプライ(写真上段右)もギターテックのハンドメイド。ケーブルはBELDENを使用しており、型番は不明だが、いろいろ試した結果いちばん中域が出るものを選んだとのコト。プラグはNEUTRIKとSwitchcraftを使い分けている。ちなみにレコーディングではSPECTRAFLEXのケーブルを使い、エフェクターを通さず直接Marshallにプラグインして鳴らしているそうだ。

エフェクターをよけるように置かれている数々のメトロノーム、BOSS DB-12(写真上段中央)BOSS DB-60(写真下段左)はギターのイントロから始まる楽曲の時に使用している。BOSS DB-12の2つは常に違うテンポで点滅しているので、どちらかの光に集中してギターのイントロを奏で始めるようだ。あんな激しいライヴからは想像できないが…。


そして、【写真6】はステージの足元の全景。
右にあるアンプのフット・スイッチはリズム・チャンネルしか使用しないため、ほとんど使わない。万が一の時に別チャンネルに切り替えられるようセッティングされている。
左にはその日のライヴのセットリストが貼られている。


これらが10年間の活動を経て、第一期ELLEGARDENの最終型となるギターサウンドを生み出した機材たちだ。シンプルながら随所にギタリストとしてのコダワリが見られるセッティングでバンドでギターをやる人にとっては非常に参考になるのではないだろうか。


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