"no evil presents「MAGIC MOUNTAIN/ISAMU NIGHT」"
2008.5.28 (wed) @ LIQUIDROOM ebisu メンバーそれぞれが企画をプロデュースする、MO'SOME TONEBENDERのマンスリー・ライヴ。2回目はドラム・藤田勇企画の“MAGIC MOUTAIN”。ステージ上にはドラムが一段高くセットされ、今日の主役をアピールしている。
スタートは、アルバム『TRIGGER HAPPY』収録曲の「GO AROUND MY HEAD」「hang song」から。いつもなら後半のたたみ掛けるような展開で披露されることの多い、テンションの高い2曲から始まったこの日は、曲のハードなアレンジとも相まって、フロアはまるでメタルのライヴのような様相。激しくヘッド・バンキングする観客に、百々和宏(G&Vo)が腕を上げる。武井靖典(B)が吼えるようなトランペットを吹く「hang song」ではトロンボーンも登場して、混沌としながらもキレのある演奏を繰り広げる。
頭っからさんざん暴れたフロアが、次の「Have you ever seen a star?」では一瞬静寂を取り戻すものの、やはりいつもより激しい演奏と歌に扇動されて飛び跳ねる。ここからはまさに怒涛というか、めまぐるしいほどの展開。まず、「片っぽメモリーズ」では女性ヴォーカル&ギターをゲストに迎えたセッションを、続く新曲「BLONDIE」の打ち込み音が響くなか、ヴァイオリン、先ほども登場したトロンボーン、ベースとゲストが登場、武井は再びトランペットを手に、インスト曲「VIEW VIEW」をプレイ。不穏なムードのダウンテンポなこの曲を、さながらジャム・バンドのようにそれぞれの楽器が主導しながら演奏していく様はかなり新鮮。ここ最近は各メンバーがさまざまなセッションなどに参加していることが影響しているのかもしれない。
そして「ハラヒレ」では、ゲストにドラムが登場したかと思うと、藤田がギターを掛けて、センターへ! 百々とともにギターを弾きまくり、コーラスを歌う、というあまりにも意外な展開に、フロアからは歓声とどよめきが。フロントにメンバー3人が並んで演奏する4ピースのモーサムは、「エンゲルロージ」「YOUNG LUST」という疾走感溢れる曲を一気に駆け抜けて、その姿をフロアに焼き付けていった。
リキッドではお決まりとなった、武井がサイドのお立ち台で踊り演奏する「13 HOT DOGS」では、百々も反対側のお立ち台へと上り三面舞台のような形でライヴが進行。その後も、赤と青に光るライトセーバーを持った武井が太刀さばきを見せたり、藤田もドラムを叩きながらライトセーバーを振ったり……あまりにも次々と起こる出来事にほとんどフロアも半狂乱のようだ。ここまでのカラフルな演出を総括するかのように、本編ラスト「We are lucky friend」では、フロアといわずステージといわず、レインボーカラーの風船が投入! 溢れんばかりの笑顔でタテノリのまま、ライヴを終えた。
アンコール1曲目は、この日会場限定で販売されたシングル収録曲「joy」。ハードコアな冒頭から高速レゲエへと転調していく、いかにもユニークかつハードなナンバーで、武井と百々が再び左右のお立ち台に立ったラスト「BAD SUMMER DAY BLUES」とともに、ますますカオティックな空間を作り上げていく。この日は終始、藤田プロデュースによるさまざまな趣向、それに応える客席、そして、各メンバー自らが前のめりに楽しむ姿が本当にハッピーなグルーヴを生み出していて、彼らのライヴの魅力でもある、ギリギリに緊迫したムードとはまったく趣を異にしていた。前回の武井ナイトと今回の藤田ナイトでこれほどふり幅の大きいライヴを展開して、6月の百々ナイトで果たしてネタは残っているのか? それを楽しみに次回を待ちたいと思う。
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"no evil presents「エビス街の悪夢/TAKEI NIGHT」"
2008.4.30 (wed) @ LIQUIDROOM ebisu かねてからメンバーの音楽の嗜好性の違いがこのバンドの特色ともなっていたMO'SOME TONEBENDER。彼らが企画したリキッドルームでの3ヵ月連続ライヴは、3人それぞれがライヴをプロデュースするというもの。その幕開けを飾ったのは、ベース・武井靖典の企画による“エビス街の悪夢”公演だ。
ライヴでは他の2人よりもまずそのファッションとパフォーマンスに注目が集まる武井。この日は、1曲目「DRUM & NOISE」からステージ中央に和太鼓のようにセットされたドラムを打ち鳴らす男気溢れるステージングを披露! その後は、新旧織り交ぜた選曲を次々と、こちらの思考がついていかないくらいに高速で披露していく。
武井が「今日は全部オレの好きな曲でまとめてみた」と話していたけれど、彼らの楽曲の中でもとりわけ激しく疾走する曲がずらりと並ぶ中、「光蝕」「window pain」「壊れてるよ」など、インディー盤収録の懐かしい曲なども久々に演奏、改めてこの10年間のバンドのサウンドの広がりを、懐の深さを感じさせた。かと思えば、セックス・ピストルズの「bodies」をカヴァーしたりと、イベントならではのセットリストが嬉しい。
とはいうものの、挟まれるMCはごく短くシンプルで、頭が真っ白になるほどカッコいい演奏を披露しようが、メンバーはただひたすら演奏を続けるばかりで、まったく余韻というものがない。それもまた彼ららしいし、ライヴというものがあくまでその瞬間の体験であって、記憶というより身体全体に残っていくものだと改めて感じたライヴだった。そして、本編ラスト「ばちかぶれ!」に続くアンコールでは、会場限定で販売されたシングル収録曲「シンクロニシティ」と定番「凡人のロックンロール」の2曲のみと、ラストもじつにあっさりとした幕引き。
メンバーがステージから去り、取り残されたようになった観客の前に、「なんか今、しょぼいバンドがやってただろ」というセリフとともに現われたのは、THE DEADS(2004年に限定シングルを発表した武井のプロジェクト)! もはやコスプレという枠を飛び越え、オリジナルな域に達したヴォーカル・武井のコスチュームは、黒の極タイトなホットパンツと胸を大きく開けたノースリーヴのダンガリーシャツ、ポリス・ハット、首には鎖、というもの。その出で立ちに会場がざわめいていると、ex.ラフィン・ノーズ、現SAのNAOKI(G)、アナログフィッシュの佐々木健太郎(B)、メタルチックスの吉村由加(Dr)という豪華な顔触れのバンド・メンバーが登場。
どちらかというと、ここからが本編なのでは、と思わせるような見どころ満載、パーティ感溢れるステージを展開。なんというか、プリミティヴなまでにストレートなパンク・チューンを叩きつけるように演奏していくメンバーが本当に楽しげで、その攻撃的な(?)外見とは対照的に、観ているこちらが笑顔になってしまうようなライヴだった。
終わってみれば、おいしいところをTHE DEADSが全部持っていったような形で終了した、マンスリー・ライヴ武井企画。これを観たことで、この後続く、藤田、百々、それぞれの企画ライヴがどんな内容になるのか、ますますわからなくなってしまった。
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