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例年にもれず、2008年も音楽シーンにはじつにさまざまなニュースが流れ、良いアルバム、ライヴが生まれた1年でした。New Audiogramでは、この1年を振り返るべく、それぞれ "Best of 2008" として、「ビッグ・ニュース 5」「ベスト・アルバム 5」「ベスト・ライヴ 5」を選出。記事で紹介したものも紹介しなかったものも含め、改めて取り上げます。さて、2008年はいったいどんな年だったのでしょう?
※掲載順はランキングではなく、時系列になっております。
THE SPECIALS 再結成を発表! (2008.4.7)
1970年代後半のパンク・ムーヴメントと共にUKストリート・シーンから生まれた2トーンの伝説的スカ・バンドTHE SPECIALS。1981年に解散していたが、今年4月に再結成し秋にツアーすることを発表。そして、9月6日にワイト島で行われたロック・フェスティヴァル"Bestival"にシークレットで出演した。ツアーは当初の予定より遅れたが、デビュー30周年記念として来年4月よりイギリス国内をツアーすることが発表されている。来年はここ日本でも彼らのライヴが観られるかもしれない…。
サニーデイサービス復活! (2008.8.16)
2008年の重大ニュースといえば、真っ先にこのことを思い浮かべる人も多いんじゃないだろうか。2000年12月に突然の解散を発表したサニーデイサービスが、8年ぶりに再結成を果たしたのは8月16日の"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO"にて。久々にステージに結集した曽我部恵一(Vo,G)、田中貴(B)、丸山晴茂(Dr)の3人は、新井仁(G)、高野勲(Key)をサポート・メンバーに迎え、「baby blue」「恋におちたら」「ここで逢いましょう」「白い恋人」「サマー・ソルジャー」といった名曲の数々を披露。嬉しいことに彼らの活動は今後も続くようで、メンバーのブログには曲作りの様子なども綴られていて、2009年には新作も期待できるかも!? ファンは引き続き要注目を。
ELLEGARDEN 活動休止! (2008.9.7)
1998年の結成以来、地道な活動を続け、日本のロック・シーンを代表するまでの存在になった千葉のパンク・バンドELLEGARDEN。ライヴは常にソールド・アウトで、ワンマンで幕張メッセに3万人以上のキッズを集めたことはなかば伝説となっていた。そんな彼らが人気絶頂の中、突然の活動休止を発表し、衝撃が走る。休止発表後は、しばらく会えなくなるキッズたちに会いに行くいくかのごとく、各地のロック・フェスティヴァルに積極的に出演し、多くのライヴを行った。休止前最後のツアーはもちろんソールドアウト。東京公演ではチケットを買えずに会場に入れない1000人を超すキッズが会場を囲んで、一生懸命に漏れてくる音を聴き、歌っていた光景には言葉を無くした。
SUPER BUTTER DOG 解散! (2008.9.13)
永積タカシ、竹内朋康、池田貴史、TOMOHIKO、沢田周一という個性溢れる5人から成るファンク・バンド、SUPER BUTTER DOG。2007年に4年半の活動休止から復活したかと思えば、2008年9月の野音ワンマンをもって解散してしまった彼ら。ファンにとってはあまりにあっけない幕切れだったものの、そのラスト・ライヴは、本当に彼ららしい温かな笑いと涙に溢れたものであり、10年という活動の中で彼らが確立した“日本語ファンク”の持つ奥深さ、魅力が十分に発揮されたものだった。永積のユニット、ハナレグミにも繋がる日本的な叙情を湛えた歌詞と、多彩な音楽からの影響を感じさせるメロディは、これから本格化するだろう個々の音楽活動でも表現されていくはず。
STRAIGHTENER 4人編成に! (2008.10.1)
最強の3ピースといわれていたストレイテナーに元ART-SCHOOLのギタリスト大山純が電撃加入し、4人編成になった。この大山の加入発表には驚いた方も多かったのではなかろうか。発表は10月だったが、実際には3月よりバンドに合流し、リハーサル、曲作りに参加していたようだ。4人になった彼らはサウンド、ライヴともにスケール・アップしており、来年2月発売予定のアルバムはかなり期待していいと思う。更なるネクスト・レヴェルを目指すストレイテナー、これからも目が離せない。
FRONTIER BACKYARD『Rock The Boomy Style』(2008.9.5)
デビュー・アルバム『FRONTIER BACKYARD』も、2nd『BASIS』も、FRONTIER BACKYARDにしか生み出せない斬新なサウンドが詰まった、じつに刺激的なアルバムだった。そんな2枚のアルバムを経て、そして全国を回る幾多のライヴをこなしていく中で制作された3rdアルバム『Rock The Boomy Style』は、サウンドの幅はいっそう広がりを見せながらも、彼らのメロディが本来持つポップさ、キャッチーさが圧倒的な開放感とともに表現された一枚となった。2008年の締めくくりとして開催された主催イベント"NEO CLASSICAL"でも最高のパフォーマンスを見せてくれた彼らは、2009年もますます充実した活動を展開していくはずだ。
FRONTIER BACKYARD - Rock the Boomy Style
METALLICA『Death Magnetic』(2008.9.18)
ちょっとハズれたチョイスだが、このバンドが無かったら、このNew Audiogramも無いし、筆者が音楽に携わることも無かったと思うほどの(個人的)超重要バンドなので、公私混同甚だしいがお許しを。
METALLICA。New Audiogram読者なら、そのサウンドを聴いたこと無くとも、このバンド名は聞いたことあるハズ。80年代にメタルという音楽を全世界に広め、ここまでポピュラーにしたのは、誰を隠そうこのMETALLICAだ。バンド名もそのままだが、サウンドもそのまま。メタルというジャンルの半分以上はこのバンドで語ることができるだろう。そして、この約5年振りとなるニュー・アルバム『Death Magnetic』。プロデューサーにRHCPで有名なリック・ルービンを迎え、作られたサウンドは金太郎飴のごとく、ドコを切っても正真正銘のMETALLICAサウンド。やっぱりメタルというジャンルは彼らのためにある…というか、メタルというジャンルは彼らそのものなんだと思わずにはいられないほどの傑作!
Metallica - Death Magnetic
Friendly Fires『Friendly Fires』(2008.9.24)
ロンドン出身の3人組Friendly Firesの1stアルバム。今年UKインディー・シーンからは例年以上に強力な新人バンドがたくさん出てきたけれども、彼らほどセンスの良いバンドはいなかったように思う。日本盤Bonus Trackとなっている「Your Love」はハウス・ミュージックの祖、Frankie Knucklesのカヴァーであり、彼らのダンス・ミュージックへのラブコールといったところだ。ダンス・ミュージックが持つ高揚感をうまく融合させたこのアルバムはまさに、ロックとダンスのフロアを自由に行き来し、私たちをいろいろな世界に連れて行ってくれる。じつはポスト・パンク/ハードコアあがりという彼ら、2008年は2度も来日を果たすほどライヴの実力にも定評がある。
Friendly Fires - Friendly Fires
SAKEROCK『ホニャララ』 (2008.11.5)
現在、絶賛リリース・ツアー中のSAKEROCK。その中でも披露されている名曲群を詰め込んだ、彼らの最新アルバムにして最高傑作『ホニャララ』。メンバー自身もさまざまなインタビューで「バンド初のインスト・アルバム」と語っているけれど、豊かなメロディと洗練された緻密なバンド・アンサンブルが、インストゥルメンタル/歌モノという垣根をあっさり取っ払い、すべての音楽ファンを楽しませてくれる内容となっている。彼らにとっても勝負作となっただろう今作に、『ホニャララ』なんてなんとも形容しがたいタイトルを付けるセンスもSAKEROCKならでは。このイキオイで、引き続き2009年も音楽シーンを賑わしてくれるはずだ。
SAKEROCK - ホニャララ
Various Artsist『GIFT(TRIBUTE TO SCAFUL KING)』 (2008.12.5)
いわゆるメロコアのゴールデン・エラと呼ばれる時代に、確固たる地位を確立したスキャフルキング。そろそろ、と皆が切望していた昨年、フジロックにて7年振りの復活! その後も全国ツアーやベスト・アルバム&ライヴDVDのリリースと、一連の活動を終えた今、それらを一番良い形で締めくくるようなトリビュート・アルバムが登場。参加アーティストは世代を超えたビッグネームたち。商業的なカヴァー・アルバム/トリビュート・アルバムが溢れる近年、このアルバムは参加した面々を見るだけで、彼等の人柄、音楽性がいかに素晴らしいものだったかを改めて伺い知れる作品になっている。
Brahman - GIFT (TRIBUTE TO SCAFULL KING)
THE CORNELIUS GROUP
"ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW"
2008.3.30 @ TOKYO INTERNATIONAL FORUM HALL A
最新アルバム『SENSUOUS』を引っ提げた、コーネリアス国内ツアー・ファイナル、東京国際フォーラム公演。"ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW"と銘打たれたこのライヴは、さまざまな物語を持った映像と、「TONE TWILLIGHT ZONE」「Fit Song」「Music」といった楽曲が全くシンクロしながら進んでいく、壮大なインスタレーションと呼びたいものだった。その計算された緻密さと相反するように、映像に映し出されるごくありふれた日常の光景は、会場に親密なムードを生み出し、この日のライヴをいっそう深く観客の心に残したと思う。ライヴハウスでの演出を削ぎ落としたパフォーマンスもいいけれど、その可能性をとことんまで追求したコーネリアスのライヴは、ぜひ一度体験することをオススメしたい。

BRAHMAN
Tour AUTONOMY FINAL
2008.7.6 (sun) @ JCB HALL
最新アルバム『ANTINOMY』を携えての全国ツアー"AUTONOMY"の最終公演となった、この日のライヴは特別だった。彼らのツアーではおなじみの演奏と映像がシンクロした演出は、今回のツアーでも行われていた。しかし、この日は予想外のトラブルで映像を映しだすスクリーンが途中で落ちてしまったのだ。この演出はおそらくメンバーとスタッフの試行錯誤の賜物であり、自分たちのライヴの世界観を作り出すためにも重要なファクターだったはず。それがライヴ序盤で崩れてしまい、せっかくのツアー・ファイナル(しかもDVD用の収録もあった)のライヴに悪影響が出るのではと思ったが、実際はその逆で、この逆境に立ち向かうメンバーのパフォーマンスは素晴らしく、美しいほどだった。アンコールでは再度スクリーンを設置し、予定通りの演出を行った。そして最後にTOSHI-LOWが放った『失敗しても何度だってやるよ』という一言にはBRAHMANというバンドの全てが表されているように思えた。

ZAZEN BOYS / envy / WRENCH
LIQUIDROOM 4TH ANNIVERSARY × edge of chaos -WRENCH 「drub」 RELEASE PARTY-
2008.9.23 @ LIQUIDROOM ebisu
年間ベスト・ライヴに対バン・イベントを選ぶのは邪道に思われるかもしれないが、この日のライヴはそんな小さなことはブッ飛ばすほどのものだった。WRENCHとLIQUIDROOMによる合同企画となる、この日のイベント。まず出演アーティストのライン・アップに驚かされる。ZAZEN BOYSにenvy、そして主催者のWRENCH、三者ともライヴに定評がある生粋のライヴ・バンドたち。そんなバンドたちのライヴが一夜で体験できるなど、そうそうあることではない。実際にこの日も、直角的で鋭いサウンドが突き刺さるZAZEN BOYS、まるで一本の映画を見ているようなドラマティックな轟音ノイズで包み込むenvy、そしてアナログとデジタルを行き来するフロア直撃型のハイブリッド・サウンドのWRENCHと三者三様で素晴らしいライヴを展開していた。ここまでサウンドの触れ幅が広くとも、不思議と統一感を感じたのは、それぞれのバンドが同じ感覚を共有しているからなのだろう。今後、New Audiogramでもこういうイベントを開催できればと思っている。


椎名林檎
椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜
2008.11.28-30 @ SAITAMA SUPER ARENA
「幸福論」でのデビューから10周年を迎えた椎名林檎。アニヴァーサリー・イヤーを記念作品のリリースなどで駆け抜けてきた彼女が、その締めくくりとして11月28~30日、さいたまスーパーアリーナで行ったライヴ"椎名林檎(生)林檎博'08 ~10周年記念祭~"。総勢65名のオーケストラを始めとするミュージシャンを率い、キメ細やかかつ壮大な演出、パフォーマンスで演じきったライヴは壮観そのもの。途中、愛息のナレーションや実兄・椎名純平とのデュエット、80名の阿波おどりの登場など微笑ましい展開もありつつ、アンコールでは処女作や新曲も披露。この10年間に彼女が生み出してきた名曲の数々を振り返りながら、これからの活躍もいっそう期待させるすばらしい内容だった。
YOUR SONG IS GOOD
YOUR SONG IS GOODの超2日間 10th ANNIVERSARY SPECIAL
2008.12.6-7 @ LIQUIDROOM ebisu
YOUR SONG IS GOOD10周年ということで、なんとも豪華なメンツが集まったこのイベント。どの出演者もYOUR SONG IS GOODに対する、祝福、また尊敬の気持ちがこもったすばらしい演奏で、まるでフェスのようなピースなバイヴスが会場中に溢れていた。YSIGは、2日間同じ曲はやらないという男気溢れるセットリストだったけれど、2日目のアンコールで「昨日と同じ曲をやってないって言ってたけど! これだけはやらせてください!」と言って演奏した「I LIKE IT LIKE THAT」で会場の熱気はピークに。モッシュピットはぐしゃぐしゃになって踊るオーディエンスでいっぱいになり、それを助長し、受け止めるかのようなYOUR SONG IS GOODの演奏が、この2日間のお祭りの幕をひいた。ハードコアのような熱量とパーティの楽しさが同居したライヴ。これは懐の深いYOUR SONG IS GOODならではの魅力であり、その魅力がもたらすピースなバイヴスにみんなが酔いしれた2日間だった。