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髭(HiGE)というバンドのラディカルさが温かい毛布でくるまれているような感覚で表現されたアルバムといえばいいだろうか。大作『ELECTRIC』のプログレッシヴな手法、そしてキャッチーなシングル「夢でさよなら」を経てリリースされたアルバム『D.I.Y.H.i.G.E.』には、アイロニックな語り口や破壊力のあるギター・サウンドが、そのイマジネイティヴなプロダクションに溶けていく。彼らにしかなし得ないスタイルを強固なものとしながら、よりリスナーとの親和を強固なものとした新作について、ヴォーカル/ギターの須藤寿に話を聞く。

Interview & Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
D.I.Y.H.i.G.E. / 髭(HiGE)
VICL-63242 3,000yen (tax in)
2009.3.4 on sale
髭 (HiGE) - D.I.Y.H.i.G.E. - Single 
  1. ダイアリー
  2. オーバーグラウンド/アンダーグラウンド
  3. 髭よさらば(album ver.)
  4. ミートパイ フロム ロシア
  5. D.I.Y.H.i.G.E.
  6. タイポグラフィー
  7. 嘘とガイコツとママのジュース
  8. 夢でさよなら(album ver.)
  9. イカしてる俺は×××
  10. ミスター・タンブリンマン
 
D.V.D.H.i.G.E. / 髭(HiGE)
2009.4.22 on sale
<髭(HiGE) 須藤寿 インタヴュー>
――髭(HiGE)ってメジャーを舞台にされているんですが、作品にしてもライヴにしても、つねにすごくクリエイティヴに、自由な活動をされていると思うんです。そんななか、あえて今回のタイミングで、“DIY”ということをこのアルバムで掲げていらっしゃるのには、なにか意味があるのではと思ったのですが?
須藤:
そのポイントということでいうと、ほんとうにいつも自由にやらせてもらっていて。人って自由にやらせてもらえればもらえるほど、とっちらかりますよね。だから、根っこにすごくああしたい、こうしたいというものを持っているというよりは、いつも思いつきでやっています。セルフ・プロデュースもそうですけど、タイミング的に久し振りにリラックスしてやってみようかなっていう感じでしたね。
――準備段階では、こんなアルバムにしたいというヴィジョンはあったのですか?
須藤:
はじめは、夢がコンセプトになったらいいなと思っていたんです。今回わりと俺の曲がメインになっていて、もちろんそこからみんなのアイディアが加わっていますけれど、曲を書いているときにそれを意識していたかというと、それはわからないです。きっとこの1〜2年くらいはそのキーワードが自分のなかでしっくりくるような生活を送っていたんでしょうね(笑)。
――それは須藤さんご自身の音楽に対する向き合い方が変わってきたからなんでしょうか?
須藤:
すごく関係していると思いますね。人を扇動したり触発するのってロックのいい部分だけど、いまは逆に、自分が寄り添いたいなって思ってるんですよね。気持ちに寄り添うというよりは、じゃまをしないようにというのがいちばん正確かな。踊っているときやいい気分でいるときに、俺たちのリズムや歌詞があんまり過激だったり突飛な言葉がくると、目が覚めちゃうかなと思って。夢気分のままいいなって思う気分をキープさせてあげたい。自分が音楽聴いているときもそうだし、できる限り、「なんか終わっちゃったな」みたいな気分が自分たちの音楽にもないように、ということは心掛けました。
 
――オープニングの「ダイアリー」もそうですが、全体的にミディアム・テンポの楽曲の印象が色濃いアルバムだと感じました。
須藤:
俺、放っておくと、だいたいミディアムの曲を作るんですよ。BPMの問題としてアッパーに感じるものっていうのは、バンドのみんなでスタジオに入って作るくらいで。昔からそうなんじゃないかな。
――リリックに関しても、シュールな感じというよりはより聴き手に近い世界になっていますよね。
須藤:
そうかもしれないです。そういうのも素直に書ける時期だったんですよね。いつもどおりの言葉の選び方の曲ももちろんありますけれど。
――なるほど。レコーディングの現場もいつもとは違った?
須藤:
緊張感みたいなものは全然なかったですね。すごく気楽にやってました。
――アルバムの後半に差しかかるところで、ちょうどインター・ルードのように「タイポグラフィー」というインストが入っています。
須藤:
今回全部俺の曲になってしまったらおもしろ味に欠けるなと思っていて、そんなときにベースの宮川くんに「書いてみたら?」って聞いたら、30分くらいで持ってきて(笑)。ストレンジですごくいいなぁと思って。
――その次の「嘘とガイコツとママのジュース」は昨年のライヴからプレイされていた曲ですよね。この曲は『ELECTRIC』のループ感といちばん繋がっているアレンジのように感じましたが?
須藤:
確かに『ELECTRIC』の後に「夢でさよなら」が出来て、その後すぐ出来たのがこれでしたね。でも、特にアルバムの軸と意識はしていなくて。間奏は思いついたことをどんどん加えて、自由勝手にやらせてもらって。16のシーケンスが入ってくるあたりも、気持ちよさそうだなってその場で決めました。
 
――ところで今回のアルバムってロウな手触りやサイケ感がベルベット・アンダーグラウンドのファーストっぽいですね。
須藤:
『Sunday Morning』ですよね。「ダイアリー」にグロッケン(シュピー)ルを入れるときは確かに浮かびましたけど、そこのイメージだけで収束してしまったらおもしろくないな、というくらいは考えました。でも、そう思ってもらえるのは嬉しいです。
――それから、髭(HiGE)っていままで歌のなかで“俺たちはこういうバンドだ”ってあえて表明してこなかったと思うんです。でもサウンドの面ではサイケデリックでドリーミーな感じを強めているんですが、「オーバーグラウンド/アンダーグラウンド」など、バンドとしての在り方とか、普段こういうことを思っているっていう内容をそのままリリックにしているところが強いのかなと。
須藤:
そうかもしれないです。相変わらずメッセージ性は特になくて、思い浮かんだことを歌詞にしたんですけれど。
――(笑)。なので、あまり尖った音が少なくても、決してまったりとチルアウトしている感じではなくて、ロックンロール・バンドとしてのワクワクする感じがきっちり出ているところがかっこいいなって。
須藤:
あ、ほんとですか。ありがとうございます。自分たちでもそういうところが自覚できていないので。アッパーめじゃない感じが中心になったとしても、自分たちが真ん中に一本筋が通っているんであれば、なにやっても最終的なシルエットは変わらないのかな。だから1曲1曲書いていくなかで、“この曲は今までの髭(HiGE)のパブリック・イメージと違う”とかは意識しないですね。昔はどんどん捨てていたのですが、今回のアルバムでも、“今までの髭(HiGE)にはちょっとなかったな”っていう曲を書いても、確かに肌触りは違うけれど、ちょっと引いてみたときにぼんやりと髭(HiGE)っぽいかなっていう感じであればいいかなと。例えば、「家」がそういう詞だったとしても、冷静なときの俺の気分に近いから素直に出しても問題ないんじゃないかなって。もともと、曲とか詞にしても作っているというよりは溢れきている感じなので、そこに制限はないんです。
――そうすると、意図的に本音をさらけだしたというのでもなく、ほんとに自然な過程のなかで生まれたアルバムなんですね。
須藤:
そうなんですよね。「ミートパイ フロム ロシア」にしても、これをどういう時に書けたんですか?って聞かれても、本質的にわからないんです。でも理由付けしてもしなくても、作品は間違いなくあるので。俺のなかでは、どの曲もみんなといたら書けちゃったとしか言いようがない。確かにプライヴェートに寄っている感じはあるけれど、5人でアレンジしたときに“ぽくない”と思った箇所も、その曲が偶然出来て演奏したときに、“ぽいな”って思えるようになった、それぐらいのもので。
――では、そういうリミットを設けない創作方法であるから、髭(HiGE)にとってはDIYであることやセルフ・プロデュースがいちばんしっくりくると。
須藤:
タイミングだったのかもしれないですね。どんどん転がっていくものだから、また指揮者が必要になったりするかもしれないし。セルフっていってもスタッフも含めていっぱいいますし、俺も参加してみんなで作り上げていく意識がすごく強いので。
――確かにこういう夢見がちな感じって、決して現実離れしているのではなくて、普段暮らしているなかでふとこんな非現実的な気持ちになることあるよなって思うんです。
須藤:
須藤: そうですよね、電車のなかにもそういう瞬間って転がっていると思う。ボーッとしていると「あの人俺とおんなじこと考えてるんじゃないかな」って思ったりしますよ。
HiGE 2009 『D.I.Y.H.i.G.E. TOUR』
DATE : 2009.5.12 (tue)
VENUE : Fukuoka DRUM LOGOS, Fukuoka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : BEA 092-712-4221
DATE : 2009.5.13 (wed)
VENUE : Hiroshima CLUB QUATTRO, Hiroshima
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : YUMEBANCHI 082-249-3571
DATE : 2009.5.15 (fri)
VENUE : ZEPP OSAKA, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : GREENS 06-6882-1224
DATE : 2009.5.16 (sat)
VENUE : Nagoya CLUB DIAMOND HALL, Aichi
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : JAIL HOUSE 052-936-6041
DATE : 2009.5.21 (thu)
VENUE : Sapporo PENNY LANE 24, Hokkaido
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : MOUNT ALIVE 011-211-5600
DATE : 2009.5.24 (sun)
VENUE : Shinkiba STUDIO COAST, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : HOT STUFF 03-5720-9999
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締め切り:4月25日

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http://www.higerock.com/

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http://www.myspace.com/higerock