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New Order / Curly Giraffe
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Track4: Run Run Run の
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Curly Giraffe 『New Order』
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<Curly Giraffe インタヴュー>
──ジャック・ジョンソンだったり、トミー・ゲレロだったり、メロウでレイドバックした横ノリ系音楽として取り上げられることも多いCurly Giraffeですが、実際、サーフィンやスケートボードはやられたりしているんですか?
Curly Giraffe:
実際、僕はサーファーではないし、LOHASな生活を送ってるわけでもないから、音楽を作る時に意識することではないんですけど、においとか雰囲気は通じる部分があるのかもしれないなとは思います。そういう取り上げられ方はおもしろいなと思うし、聴いてもらうきっかけは何でもいいから、どう解釈してもらっても大歓迎というか、あえて否定しようとも思わないですけどね。
──その共通するにおいや雰囲気はどのへんにあるんだと思います?
Curly Giraffe:
ああいう人たちと同じように、僕も自由に音楽を作ってるっていうこと。そこは通じる部分かな、と。軽い気持ちで……っていうと語弊があるかもしれないけど、要するにネガティヴなものは作品にいっさい出したくないんですよ。ヤなことは自分の私生活だけで十分っていうか(笑)。自分も音楽を聴くのは大好きだし、好きな曲を聴いてる時って、ワクワクしたり、気持ちがキラキラしたりするじゃないですか。だから、自分で音楽を作る時もそういうものを表現したいっていうのはありますね。
──そして、肝心なことなんですけど、Curly Giraffeはプロフィールを伏せたまま活動されていますよね?
Curly Giraffe:
なんでかと言うと、僕にはなんだかんだキャリアがあって、過去にいろんなバンドをやってきたんですね。だから、そういう過去のキャリアをひとつのトピックとして、Curly Giraffeの音楽を打ち出すことも可能なんですけど、そういう打ち出し方は聴き手に先入観を植えつけることになるかもしれないし、もしかすると、それによって聴かれないこともあるかもしれない。僕は自分のキャリアを知らない人にも音楽を届けたいと思っているから、キャリアという垣根を取っ払ってしまいたかったんですね。それから、今って、情報過多で、あらゆる局面においてわかりやすい答えらしきものが用意されているし、それによって想像して何かを考える時間が減っていると思うんですよ。だから、Curly Giraffeを始めるにあたっては、個人的なプロフィールを公表しないことにしたんです。
──去年3月にひとつの区切りになりうるベスト・アルバム『My Dear Friend』を発表されましたが、あの作品を踏まえて、今回の3rdアルバム『New Order』では何か心境の変化がありましたか?
Curly Giraffe:
僕の曲作りって、思い浮かんだメロディをギターなり鼻歌なりで録って、素材をしばらく貯め込んでおくんですよ。それを時間がある時にまとめて聴いて、使うかどうしようか選んで自宅で録音しているんですけど、ベスト・アルバムはたまたまあのタイミングに出しただけで、制作自体はずっと続けていたので、心境の変化があるのかないのか……。
──Curly Giraffeは活動開始時よりすべての作品を、ほぼひとりで作り上げられていますが、レコーディングの仕方についても教えていただけますか?
Curly Giraffe:
まず、ガイドとなるギターと歌を軸に曲を構築していくんですけど、終盤にドラムを入れて、最後にダルマの目を入れるように、ベースを入れるんですよ。僕は普段、いろんなタイプのミュージシャンと仕事をしているんですけど、ミュージシャンには大きく分けると二通りいて、ひとつはリズムを中心に考える人、もうひとつはメロディを中心に考える人。僕はどちらかと言えばメロディを中心に考える人間で、なおかつ和音が大好きなんですよ。だから、メロディや和音を活かした音作りをしているんですけど、僕の本職はベーシストなので、最初にベースを入れてしまうと、そこで曲が完成してしまったり、想像力が制限されて気持ちが終わってしまうので、ベースを一番後に入れるんです。そういう作り方なので、まとまった制作期間のムードが反映されたメジャーの人とは違って、制作期間もバラバラだし、その時々の気分のゆるやかな集合体になっているんじゃないかと思います。もっとも、のんびりやるのは好きじゃないので、暇を見つけてはまとめて作業しているんですけど、漠然と作っていた1st、その延長の2nd、それからライヴ活動を経た今回が3枚目ということもあって、スキルが上がっていたり、余裕が出てきたことで、自分の中で見えてきたCurly Giraffeの志向性に近寄ったり離れたりすることができるっていう。その志向性にとらわれて自分の首を絞めるつもりはないんだけど、何でもありなのが自由だと思っていないから、大きく逸脱せず、それでいてこれまで見せてこなかった側面に一歩二歩踏み出した作品と言えるのかもしれない。今回、結果として使われている音色が増えているのは、そういうことだと思います。
──Curly Giraffeの志向性というのは?
Curly Giraffe:
コンテンポラリーであったり、きっちりかっちり出来上がったナイス&スムースなものを目指しているわけではないということ。例えば、アートワークは一貫して自分で手がけているんですけど、イメージを伝えて人に作ってもらったものとは見え方が違うだろうし、ほぼ全部の楽器を自分で弾いているのも、人に頼んでしまうと自分のイメージからズレてしまうし、思いついたらすぐ形にしたいんですよ。そうすることで、作品のあちこちにたどたどしさが残っていると思うんですけど、そのたどたどしい部分を突き詰めて整えるよりは、思いついたことをフレッシュな鮮度で表現して、その集合体を見てもらいたいんですよ。洋服に例えるなら、ぴしっと決まった服が着たいわけじゃなく、汚い洋服であっても、それを気持ちよく着たいんですよ。それが僕の表現したいことなんだと思います。
──簡単にコンピューターで補正して、完成度の高い音楽を作ることができるようになった今の時代にあって、音楽が生まれる時の初期衝動から離れてまで、時間をかけて音を整えることを選ぶのか、それとも初期衝動が捉えられていればオッケーなのか。もっと言ってしまえば、音楽の完成形とは何なのでしょうか?
Curly Giraffe:
どちらが良い悪いって話ではなく、人それぞれだと思うんですけど、僕はね、音楽が大好きなんですよ(笑)。で、何が好きかというと、心が揺さぶられるところなんですね。で、例えば、ドラムを生に差し替えて、形を整えたところで、自分が求めた音から離れてしまったら、心が揺さぶられなくなってしまう。だから、このアルバムではそういう試みをいっさいしていないし、作るにあたっては1回も悩んだことも迷いもなく、いつまででも作り続けていられるんですよ。もっともすべての音に自信があるわけでもないんですけど(笑)、心揺さぶられる瞬間が記録されていることだけは約束できますね。そういう作品であるからこそ、聴き手に安心して委ねられるんです。
──このアルバム以降の動きとして、Chara、Cocco、BONNIE PINK、新井昭乃さんというそうそうたるヴォーカリストをフィーチャーして、過去に発表したCurly Giraffeの曲を歌ってもらう新しいプロジェクトがiTunes Music Store先行配信ですでに始まっていますが、これはどういうことなんですか?
Curly Giraffe:
そっちのほうは普段やってるバンド、キーボードが堀江(博久)くん、ドラムが(Great 3の白根)賢一、ギターが名越(由貴夫)くんというメンバーによる生演奏で録ることだけ決めて、ヴォーカリストは曲によって変えているんです。曲は自分ひとりでいちど形にしたものなので、そちらの方はメンバーを信頼して、自由に演奏してもらっているんですけど、歌い手を変えることで、同じ曲がどう変化するのかっていうことも試してみたかった。これがねぇ、またヤバいんですよ(笑)。Curly Giraffe単体とは完全に別物で、着るものによって、楽曲の印象はがらっと変わるんだなって。レコーディングのやり方としては、出来上がった演奏に歌入れをしていくスタイルなんですけど、ヴォーカリストのことを想像しながらの演奏も曲によって、テンションだったり、アプローチが異なっていて、ホントいい味を出しているというか、おもしろいものになってると思います。そっちのプロジェクトは配信先行で1曲ずつ発表して、まずは5月に4曲入りのシングルとしてリリースするので、そちらもぜひ聴いてほしいですね。
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