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QUICKEN THE HEART / MAXIMO PARK
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<MAXIMO PARK インタヴュー>
──『QUICKEN THE HEART』は約2年ぶりのアルバムで、MAXIMO PARKにとって3枚目となります。この3枚目のアルバムは、もちろんデビュー作やその次の2作目とは違って、バンドの変化や成長をはっきりと刻まなくてはいけないシチュエーションにあると思うのですが、いかがでしょうか?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
もちろん。その時点での成長や新しい一面を見せなければならないと思うよ。2枚目のアルバムと1作目とは違っていたし、今回の新作も1作目とはだいぶ違う仕上がりになっている。だから僕にとってはそれぞれのアルバムが本でいう新しいページだし、人生の新しいチャプターなんだ。でも確かに、今回の作品では、前よりももっと自分たちを見せようとしなければならなかったかもね。1枚目と2枚目はもっとバンドっぽくてストレートなサウンドだった。1枚目のサウンドをそのまま活かしつつ、2枚目にはより強いエネルギーを入れることで変化を加えたんだ。でも今回は、もう同じ方法で変化を加えることはできなかった。さらにでっかくて強いサウンドにしようとすると、度が過ぎたものになってしまうからね。2作目でそれはやり遂げたから、今回はその替わりに何か違うことを試すことにして、自分たちのサウンドを拡大することにしたんだ。ギターやキーボードは前の2作品とは全然違うものになっているし、ベースとドラムはもっと生音に近くなっている。まとめると、そういった変化もたくさんあるけど、僕たちのサウンドであることは変わらないってとこかな(笑)。
──前作が変化や成長を刻んでいないというわけではありません。2作目はデビュー作の荒削りな部分や勢いを継承しつつも、多層的で示唆に富んだサウンドで鮮やかな成長を刻んだと思います。その意味では1stの自分たちの姿を残しつつのアルバムでしたが、新作は新しいマキシモ・パークの姿を投影していると思います。
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
ありがとう、僕もそうだと思うよ。僕たちはずっとチャレンジを続けていきたいと思っているんだ。十分なチャレンジしているかを判断するのはリスナー次第だけど、自分たちなりに色々なことに挑戦しているのは事実だよ。それを続けないと、バンドとしては生き残れないと思うんだ。挫折してしまったり、人生も退屈なものになってしまうしね。だから僕たちはライヴもやりすぎないことにしているんだよ。もちろん、ほかと比べるとたくさんショーをやっているかもしれないけど、十分だと感じればそれ以上はやらないんだ。そうしないと、バンドとしてのフレッシュさがなくなってしまうからね。人生が退屈になるとか、興味がもてなくなるとか、そういうことを気にせずにお金のために音楽やショーをやるバンドもいるけど、音楽ってそういうものではないからね。やっぱり各部分において自分自身にチャレンジするのって大切だと思うんだ。ウェブサイトの更新もそうだしね。
──え、ウェブサイトもですか?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
そう、僕らにとっては重要なことだよ。ウェブサイトって些細なことだし、音楽そのものではないから、あまり関係ないかもしれない。でもバンドの一部だし、僕たちを表現しているもののひとつだよね。バンドがどうプレゼンテーションされているかっていうのは、活動にも大きく関係するしさ。このレコードを聴けば、みんな僕たちがのんびりとしたバンドでないことが分かるはずだよ。このアルバムが今までの作品の中で一番リラックスしたアルバムであるにも関わらずね。それは僕たちのエネルギーが前と変わってないからさ。5人一緒にいるからこそ放たれるエネルギーなんだ。それができなくなったとき、僕らは活動をストップするだろうってくらい、そのエネルギーは僕たちそのものなんだ。今回のアルバムでは、自分たちの特徴であるそのエネルギーとメロディを残しつつ、新しいことにチャレンジしたんだよ。次のアルバムも同じアプローチで行こうと思ってる。この新作は僕たちにとって突破口みたいなものになったよ。こういうアルバムの作り方やレコーディングの仕方もできるんだってことが分かったからね。
──なるほど。その新作と前作の間にはギターのダンカン・ロイドがソロ作をリリースしました。そこにはトムも参加しているわけですが、このソロが3作目になにかしらの影響は与えたのでしょうか?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
ダンカンが書きためていた曲をリリースしたことによって、彼はスッキリとした新鮮な気持ちで今回のアルバムづくりをスタートできたと思うよ。セラピーみたいなものかな(笑)。ソロ活動は、メンバーそれぞれがよりクリエイティブになるためにも良いことだと思うし。僕らは常にクリエイティブなバンドでありたいと思っているから、理にかなっていると思うんだ。気分転換にもいいし、ずっと同じことをやり続けるだけではなくて、たまにはスパイスを加えることも大事だよね。
──ダンカンはソロのインタヴューでこう語っていました。「2枚目のアルバムはもっと緊張感があったと思うけど、次のアルバムではもうすでにみんなマキシモ・パークというバンドを知っているだろうから、前よりもリラックスして出来ると思う」。まさにその言葉通りで、マキシモ・パーク=鋭角的なギター・サウンドというイメージが、角が取れてまろやかになった感じです。
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
そうだね。前回までは、アルバムのために持っていたアイデアをすべて取り込もうとしてたけど、今回は何を使うべきかをきちんと選んだんだ。とりあえず全部レコーディングしてみて、ここのギターの部分はいらないなと思えばそれをしっかりと外す、みたいなね。今回はシンプルさにこだわったんだよ。まずドラムをシンプルなビートにしたんだ。もちろん前作でのトムのドラムのテクニックはすばらしかった。すごく複雑で、僕だってリスナーとしてそれを聴くと、ワーオ!どうやってプレイしているんだろうって感じだったよ。でも毎回それをやれば何事もうまくいく、というわけではないと気づいたんだ。やっぱり限界を知ることは大切だよね。僕も前回の作品では言葉をたくさん使いすぎていたと思うよ(笑)。あの時はそれでうまくいったし、自分も楽しんでいたから別にいいんだ。でもずっと同じことをしていては、皆も飽き飽きしちゃうだろうしね。一度自分を客観的に見直してみて、構造を立て直すことはやっぱり必要だと思うんだ。
──立ち止まって、まわりを見渡したといった感じですね。
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
そう、だから今回は、無理して2ndアルバムのことを意識することなく、何も気にしないで、ただ自分たちが良いと思うサウンドを作ることに専念できたんだよ。前回と変わらず最初に考えていたのは、今回もポップ・レコードを作ろうということだけだった。それが僕たちの得意分野であることに変わりはないからね。1stアルバムは別の意味でリラックスしてたけどね。自分たちがいったい何をやってるのかよく分かってないまま、ただレコーディングをしてたからさ(笑)。その分、何も考えずリラックスできていたけど、やっぱりレコードが出るまでは、緊張も大きかったよ。それでいちどアルバムがリリースされて人々の反応を聴いてから、これが最後のレコードになるのではなく、もっともっと曲を作りたいと思うようになったんだ。それでできたのが2ndアルバムさ。その気合いが入りすぎていたというかなんというか、こだわりにこだわって、この世の終わりかってくらいダークな、政治っぽいアルバムに仕上がったんだ。なんか生きていることへの罪さえをも感じさせるよね(笑)。だから今回のアルバムはもっとリラックスした感じでよりダンサブルになっているんだ。前の2作品にあったような心配や緊張からも解放されて、新しいアルバムは無罪になった気持ちにさせるよ(笑)。
──ということは、曲作りのプロセスは前と違うということですよね。その中でも大きな違いは何ですか?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
今回は、みんなオープンになって話し合いながら制作を進めていったことかな。各パートの好きな部分も、気に入らなかった部分も、全部正直に意見を交換しあったんだ。マイナスの部分を言い合うことも大切だよね。でも以前の僕らはそれはあまりやってなかった。例えば誰かが僕の歌詞を気に入らなかったとするよね? そんなとき、前のみんなはそれを言わない代わりにに知らないふりをしてたんだ。 1作目ではメンバーの方向性がバラバラだったし、2作目では方向は同じだったけど、進み方が違っていた。でも今回は、今までで一番まとまっていると思うんだ。実際言葉に出して意見を交換し合ったし、そのおかげで曲作りもスムーズにできたしね。このことに関しては、プロデューサーのニック・ローネイの影響が大きかったと思うよ。今までの僕たちは、本当にレコーディングを終えることができるのか、何か加えるべきものがまだあるんじゃないか、これでこの曲を完成したと言っていいのかな、なんて心配していただろうけど、ニックはいつも「正午から夜の12時までスタジオにいるんだぜ。1日12時間も仕事してるんだから、4週間で終わらせることができるなんてあたりまえだよ。完成させる曲もたった12曲なんだし、4週間なんてナイスなものを作るには十分だ」と言って、僕たちの気持ちを楽にしてくれた。シンプルであるからこそ素敵なものができることもあるということを価値を教えてくれたんだ。だから今回のアルバムは、よりナチュラルに仕上がっているんだよ。出来上がった時も、すごく気分がよかったしね。
──ポール・エプワース、ギル・ノートンと続きましたが、今回ニック・ローネィをプロデューサーとして起用したのは? 彼はどちらかというとラウドで、陰影のあるサウンドを得意としていると思いますが。
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
僕たちが作りたいと思っていたサウンドを作れる人物が彼だと思ったんだ。そこで僕たちから彼にアプローチをかけたんだよ。そしたら、彼も僕たちのデモを気に入ってくれてさ。一緒にレコーディングすることになったんだ。彼のグラインダー・マンのアルバムを聴いて、ずっと最高だと思ってたんだ。しっかりとしているのに、どこか冒険的なあのサウンドがね。あと個人的に僕はケイト・ブッシュのあの独特のユニークサウンドの大ファンなんだけど、彼は彼女の作品を手がけたこともあったからね。メンバー全員が、彼に依頼しようという意見で一致したんだ。確かに彼は陰影のあるサウンドが得意かもね。ニックのサウンドは、彼のパーソナリティそのものだよ。彼自身もアップビートで明るい人だけど、音楽も含め、彼はダークな部分やアドベンチャーをそれに加えて、もっと美しいものにするんだ。彼と初めて電話したとき、このレコードにはダンスっぽい部分を見せながら、同時にダークな部分も兼ね備えていると言ってくれたんだ。ケイト・ブッシュの音楽に合わせて踊れる感じとでもいうかな(笑)。それで彼は僕たちのサウンドを気に入ってくれて、それをそのまま活かしつつ、エクストラなものを加えてくれた。自分たちにない他のヴィジョンを持ってるプロデューサーを起用するのって、やっぱり大切だよね。
──セルフ・プロデュースは考えませんでしたか?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
考えたことはあるよ。ダンカンはスタジオに詳しいしね。でも僕たちは5人だし、それぞれに違った意見を持っている。だからそれをまとめるためにも、やっぱり第三者は必要だと思うんだ。アルバムを作るのに口論はつきものだからさ(笑)。だから、外からそれを見て、良いことも悪いこともハッキリと言ってくれる人物を置くことは大切だと思う。メンバー以外からのアドバイスも大切だしね。それによって何かに気づいて、次に進めることも多々あるよ。
──3枚目のアルバムを作り終えて、いまバンドはどんな状態にあるのでしょう?
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
最高潮! その一言だよ(笑)。過去にとららわれることなく、サウンド的にも成長したと思うし、色々なことにも慣れてきたし。ファッショナブルであろうとかそういうことを一切考えず、ありのままの自分たちでいながらも、たくさんの人に僕たちの曲を聴いてもらってるしね。正にトップ・コンディションだ!(笑)。
──FUJI ROCKへの出演も決定しました! 最後にFUJI ROCKへの意気込みを聞かせてください。
ポール・スミス (MAXIMO PARK):
前回のFUJI ROCKがとてもすばらしいものだったから、すごく楽しみにしてるんだ。日本のオーディエンスって、お互いにリスペクトしてるのがわかるからいいよね。イギリスのオーディエンスの中には横暴な奴もいるから、日本のほうが“ベター”だよ(笑)。今年はちょっと、日本語を勉強してステージで披露してみようかな。楽しみに待っていてほしいな!
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The Kids Are Sick Again: PV
Track3: The Kids Are Sick Againの
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MAXIMO PARK 7インチ・シングル プレゼント
MAXIMO PARKの7インチ・シングル「WRAITHLIKE」(非売品)を抽選で3名様にプレゼントします。ご希望の方は下記のリンクから ・住所 ・お名前 ・年齢 ・電話番号・この記事やNew Audiogram全体についての感想を記入の上、メールをお送りください。 締め切り:5月31日 (メーラーが起動します) 応募は締め切りました 注)応募時にNew Audiogramのメールニュース登録をしているメールアドレスでお申し込みください。登録されていないメールアドレスで応募されますと、自動的にメールニュースに登録されますのでご了承ください。登録がまだの方は、この機会にメールニュースに登録(無料)し、ご応募ください。 当選者の発表は賞品の発送を持って代えさせていただきます。 |
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