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ハナレグミのライフワークとも言える弾き語り公演 "弾きが旅だよ人生は！"。今回は、じつに4年半ぶりとなるニュー・アルバム『あいのわ』のリリースを間近に控えた公演だけに、新曲への期待も高い。そしてそれ以上に、久々に本格的に動き出した彼のテンション、モードを確かめようと集まった観客も少なくないだろう。

みごとに梅雨の晴れ間となったこの日、超満員の会場にフラリと、でも客席最後部からも目が釘付けになるようなド派手な衣装で姿を現した永積タカシ。興奮を抑えきれず歓声を上げる観客に、「また来たのー？　懲りないねー」といつものように声を掛けて歌い始めたのは、新作のタイトル曲「あいのわ」。後に続いた「音タイム」「家族の風景」「マドベーゼ」といった過去の代表曲と比較しても、いっそう外に向かっていくその歌は、ハナレグミの今を伝えていて、観客の問いにしっかりと答えるようなスタートだ。

ハナレグミのライヴではおなじみのCINEMA dub MONKSの曽我大穂とガンジーがゲストとして参加した後は、ブルース・ハープやスティール・パンなどを交えてセッション形式で進めながら、SUPER BUTTER DOGの「ボク・モード キミ・モード」でタップを披露したり、「ヒライテル」の間奏に「今夜はブギーバック」を歌ってみたりと、本当に気持ちの動くままに踊り、歌う。ハナレグミほどさまざまなシチュエーションにこだわってライヴをやってきた人もいないと思うのだけど、それだけ彼が、そのとき、その場所でどんな音を鳴らし、どんな歌を歌うべきかということに真剣に向き合ってきたということだ。それはこの野音公演も変わらないだろう。だからこそ、スペシャル・ゲストとして登場したAFRAやスチャダラパー・BOSEとのセッションで、なぜかもう一度「今夜はブギーバック」が演奏されても、なんだかしっくり来てしまうのだ。

SUPER BUTTER DOGの解散ライヴの会場となった野音で、ソロ再始動のタイミングで行ったライヴには何かしらの意図があったはずだ。「バタードッグの解散ライヴをやって以来だけど、やっぱいいね！ ここに住みたい！！」というMCでそのことに触れてはいたけれど、アンコールで客席を練り歩きながら「サヨナラCOLOR」を歌う姿に、つい感傷的になってしまう人も多かっただろう。それでも、「光と影」や再びAFRAとBOSEを迎えたアルバム収録曲「Peace Tree」を聴けば、ハナレグミの今の歌にぐっと引き寄せられていく。そんなふうに、感情は過去と現在を行き来しながら目の前で歌うハナレグミを観るという、なんだか不思議な体験を伴うライヴだった。

Text : Ayumi Tsuchizawa

Set List 01. あいのわ 02. 音タイム 03. 家族の風景 04. マドベーゼ 05. ボク・モード キミ・モード 06. PEOPLE GET READY 07. 心空 08. three little birds 09. ヒライテル〜今夜はブギーバック 10. Wake Upしてください 11. WALKING IN THE RHYTHEM 12. Jamaica Song 13. 踊る人たち〜FUN-KEY4-1 14. 今夜はブギーバック 15. ハンキーパンキー 16. きみはぼくのともだち〜No Woman,No Cry

-Encore 1- 17. サヨナラCOLOR 18. 光と影 19. 明日天気になれ -Encore 2- 20. Peace Tree feat.BOSE (from スチャダラパー) 、AFRA 21. Musica〜彼方からの手紙