PREMIUM:ココにしかないレアなオリジナルコンテンツが満載!
AA=初のフィジカル・シングルCDは、既に話題の映画「ヘルタースケルター」エンディング・テーマとして書き下ろされたタイトルチューンをはじめ、新曲1曲と、なんとカップリングには5月10日に赤坂BLITZで行われた "TOUR #3" の本編の模様をノーカットで収録! AA=ならではのヘヴィネスと透徹した美しいメロディの両方を兼ね備えた「The Klock」の新鮮さ。そして、アルバム『#3』の世界観を体現し、珍しくMCで本作に込められたメッセージをオーディエンスに向けて開かれたスタンスで語りかけたライヴをそのまま収録したことについて、今の上田剛士の思いをじっくり訊いた。

Interview & Text : Yuka Ishizumi
Interview Photos : Ryo Nakajima (SyncThings)
The Klock / AA=
VICL-36710 1,500yen (tax in)
2012.7.11 on sale
iconicon
  1. The Klock
  2. Lasts -Your Rhythm Mix-
  3. Live Tracks from "TOUR #3" at AKASAKA BLITZ -2012.05.10- (67min.)
    ~#3 INTRO
    _WORKING CLASS
    _DISTORTION
    _posi-JUMPER
    _sTEP Code
    _Dry your tears
    _coLors
    _GREED...
    _meVIR
    _LOSER
    _ROOTS
    _I HATE HUMAN
    _PEOPLE POWER
    _DREAMER
    _We’re not alone (AA= Ver.)~
「The Klock」 Music Video
<AA= 「The Klock」 Interview>
 
──5月に行われた赤坂BLITZでのライヴでは、今までになく雄弁な上田さんを見たという感じなんですが。
上田:
ああ、そうですよね。基本的にAA=でもほとんどしゃべんないですけど、『#3』のライヴということもあって、アルバムにまつわる自分の気持ちは言っとこうかな、っていう感じで。「これからもどんどんしゃべるよ」っていうことでは全然ないんですけど。
──たしかにメッセージが明確なアルバムでしたからね。実際にファンの前で演奏してみて、3rdアルバムで表現したことが、自分にとってより具体的になった部分はありますか?
上田:
そうですね。メッセージに共感してくれてるっていうのも感じるんですけど、何よりもアルバム作って、ライヴやって、音楽自体が完成するような感じは常日頃からしてるんで、そういう意味では、リリースから間が空いちゃったんですけど、ライヴをやれて良かったなとは思いましたね。
──メッセージに対して、ファンが拳をあげるだけのライヴじゃなかったですし。
上田:
それも、それなりに年月を生きてきて、経験で得てきた、自分はこういう考えを持ってる人間だとかが、(自分で)だいぶ分かってるんで、そういうものがどうしても作品の中に現れてくるし、作品に現れればライヴにも出てくるしっていう、自然な流れなんですけどね。ただ、音楽は音を届ける以外のエモーショナルなものであったり、時には考え方であったりっていうのも伝えるものでもあると思うので、自分は自分なりに1ミュージシャンとしての姿勢というか、考え方は示していければいいと思ってます。
──その日のライヴが直接繋がってくるんですが、今回のシングルはカップリングにそのライヴ音源がコンプリート収録されていて。
上田:
はい。本編をそのまま入れた感じですね。
──それはせっかくのシングル・リリースの機会だからですか?
上田:
そうですね。何かしらシングルだからこそできるものというか、面白いものというか。「なんかあるかな?」と思ったら、ちょうど音源をライヴの時に録ろうって話があったんで、だったらそのまま入れちゃうのが面白いんじゃない?っていう。ホントにそういうノリでやっちゃったんですけど。
──最近、シングルCDの特典って、どのアーティストもかなり豪華な内容ですよね。
上田:
うん。今って、デジタル・ダウンロードの時代になって、シングル(CD)っていうものの意味というか、商品の存在理由としてあまり成り立たなくなってきてるというか。それなら「シングルという名前の遊び」っていうか、面白いコンテンツを作りたいなという発想ですね、どっちかっていうと。
──今回、話題性も高いですし。
上田:
そうですね。映画っていうのもあるし、「遊びたいな」っていうか。アルバムはわりとガッツリ、向かい合って作るんで、そういう意味ではシングルはもうちょっと自分の中でも余裕があるのかな?っていう感じですね。
──手を加えずに収録しようというのは、すんなり決まったんですか?
上田:
そこは「そうしよう」と僕が決めました。“1曲”としてライヴ全部入れようって。ライヴに来てない人にとっては分からない、たぶんノイズだけの時間とかが入ってるんですけど。ま、そういうのも入れようと。ハサミは入れずにやってますね。
──ある意味、ライヴを見ていない人のほうがドキドキしそうですね(笑)。
上田:
あ~、そうかもしれませんね(笑)。
──演奏は聴いてみていかがですか?
上田:
演奏はまぁ、聴いてみてもらったとおり粗いです。でもそれがライヴだし、自分はいつもそんな感じだし、ていねいにできないタイプなんで(笑)。それより、シングルなのに、そんだけ長い収録時間で1曲として(3rd)アルバム全部入ってるって、バカバカしくておもしれーなって(笑)。
 
──ところで、デジタル・ダウンロードの話が出ましたけど、先日、違法ダウンロード刑事罰が可決しましたが、上田さんは注視していましたか?
上田:
あれとか……いちばんの問題は、決め方が強引じゃないですか。あれをやることが、結果どういう効果があるか?もっと検証すべきだと思うし、逆に考えられる弊害も大きそうだし。それを議員立法みたいなので、割とちゃっちゃと簡単に決めちゃうっていう問題が大きくて。そこは話し合わなければいけない部分だなとは思いますけどね。
──最近、ろくに議論されないまま決まる条例とか多いですよね。
上田:
うん。ですね。
──だからAA=が作品で発信していることって現実的に意味が大きくなってきたなぁと思います。
上田:
一応、今の状況は自分らの責任というところも大きいと思うんで。やっぱり選挙権持って3.11迎えた人は全員考えなきゃいけないとも思うんで。答えは、今生きている、俺らは俺らの答えを出していかなきゃいけないと思いますね。
──本当にそうですね。さて、話の順番が逆になりましたが、映画「ヘルタースケルター」のエンディング・テーマとして曲提供をというお話は蜷川監督からですか?
上田:
そうですね。どこかでAA=を聴いてくれてたみたいで。映画を作っていく時からBGMとしてAA=をかけたりっていう状況で、(エンディング・テーマを頼むことも)考えたりしてくれてたみたいで。なので、元々、あの映画の中に自分の音が入り込みやすい基盤があったんだと思いますね。
──曲作りは映画のトレーラーを見ながらですか?
上田:
そうですね。最初に話をもらった時に、情報としては映画のホームページに上がってたトレーラーと蜷川さんがやってるというぐらいしかなくて。よくある話で、スケジュール的にも厳しかったりしたんで、普通は断ることが多いんです。でも、トレーラーを見て、曲のアイデアというか、イメージがすぐ浮かんできたんで……「やってみようかな」と素直にできましたね、これは。
──まず何が浮かびました?
上田:
曲のトーンであったり、鳴っている音のイメージみたいなものが自然と浮かんできて、形にできそうだなと思ったんで。
──すごく二律背反的な曲ですね。
上田:
はい。それは映像を見た時、最初から浮かんでたというか。激しい一面とエモーショナルな部分。二面性というか、裏表というか、陰と陽じゃないですけど、そういう二つの価値観が混在して一つになってるというような。すごく鮮やかできれいなんだけどすごく怖いというか、暴力的だったり……すごく熱くて怒ってるような感じなんだけど、悲しさというか泣いてるような感じがあったり、そういう印象を受けたんで、そのまんまそれを表現したいなと思いましたね。蜷川さんが求めていたのは、割とイケイケの、まぁ自分のパワーのある方のサウンドを求めていて、メロディであるとかそういう部分は彼女自身は求めてなかったけど、自分からそういう提案をして、それもすごく気に入ってもらえて。
──メロディの部分があるせいで、切なさが増してるのはたしかだと思います。
上田:
一面だけだったら自分の中でも足りなかったんですね、表現として。その映像にちゃんと対峙できてないというか。
──そうですね。そういえば、映画用のミックスを映画館と同じ環境でやったそうでうですね。
上田:
そうです。「へ~、こんな場所あるんだ!?」っていう感じですね。シネコンみたいなところで、ちゃんとスクリーンもあって、客席があるところに卓があって。でも、そこでミックスって言われても何していいか分かんない(笑)ぐらいなんですけど。ま、「ウーハーはこれぐらい出しましょうか」とか、そういう程度のことしかできないんですけど。CDとは全然違うミックスですね。センター・スピーカーとかもあって、モノラルになっちゃうんですけど、座る位置によって音像がずいぶん変わっちゃうんで、そういうことをするみたいです。
──今度、他の映画を映画館で見る時に思い出しそうですね。
上田:
そうですね。だから今まで以上にリアとサイドの音とか、気になると思います。「あ~、こうなってるんだ」って(笑)。
 
──さて、このシングルがリリースされて、今年は夏フェス出演ですね。
上田:
年内はいろいろライヴをやっていこうと思ってるんですけど、とりあえず夏のあいだはイヴェントを中心にやっていく感じですね。
──AIR JAM東北は、発表された時、そのラインナップに意志を感じました。
上田:
ホントですね。元々、東北でずっとやりたいってハイスタのメンバーは言ってましたからね。実現できて良かったなぁと思いますね。自分も参加できるのは光栄だし。
──上田さんは去年のAIR JAMを見て、何を特に感じましたか?
上田:
何よりハイスタが、そうやって10何年ぶりにやるっていうのが。自分も前のバンドのことがあって、何年もやってない身なんで、もう1回やることの大変さとか、エネルギーもわかるんで、彼らには素直に「おめでとう」って感じでしたね。
──今年はこれまでとは文脈の違うバンドも出演するじゃないですか。それもまたいいなと思って。
上田:
彼らもラインナップとか、すごく悩んで吟味して、自分たちのメッセージや考え方として選んでいるだろうし、それが見に来る人とか、AIR JAMに期待してる人の力になると思いますね。自分はただ出していただくだけなんで……頑張ります(笑)。
──(笑)。新しい音作りはいかがですか?
上田:
実験というほどのことはないですね。常に新しい機材とか入ってきたら、そこからアイデアが出たりもするんですけど、そういう意味では今は割とテクノロジー的にも落ちついてきているんで。今まで5つぐらいの行程踏まないとできなかったことが、1回でできるようになったとか、そういう便利さはあります。そういう意味では作業がやりやすくなった分、違うアイデアが出てくるっていうのはあるかもしんないですけど。
──上田さんは時期によって、サウンド志向、メロディ志向とか分かれてたりするんですか?
上田:
曲のアイデアはいつでもじゃないですか?レコーディングが終わった次の日でも、曲が浮かんだら録っとこうってうのはあるんで、日常的な感じではありますね。自分のやることの中でいちばん好きなものってたぶん曲作りなんじゃないかな?と思ってるんですけど。音楽を作ること。
──真ん中にあるものが変わらないまま、毎回、新しい何かを感じさせるってすごいことだと思います。
上田:
最終形を目指していくのが自分の目標。だからたどり着けたらいいなと思ってますけど……それがどういうものなのか自分で全然、分かんないんですよ(笑)。
──しかもこれだけ、メインストリームのR&Bとかもエレクトロエレクトロしてくると、もう個人のセンスですよね。
上田:
そうですね。ハードが発達して誰もが割と同じスタートラインでできる時代なんで、そういう意味で言うと、持ってる感性とかセンスみたいなものでしかそんなに違いが現れてこないのかもしれない。でも、それが音楽の最終的に重要なとこだと思うし。どんなに激しい過激な音楽であっても、グッとくるものとこないのとあるし……だからこそ音楽の価値があるというか、意味があると思います。
AA= : LIVE SCHEDULE
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012
DATE : 2012.8.3 (fri)
PLACE : 茨城県・国営ひたち海浜公園
OPEN : 8:00 / START : 10:30
INFO : ROCK IN JAPAN FESTIVAL 事務局 0180-993-611
Livemasters & CREATIVEMAN presents [VOL.0]
DATE : 2012.8.8 (wed)
VENUE : ZEPP TOKYO, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
ACTs : AA= / BOOM BOOM SATELLITES / Fear, and Loathing in Las Vegas
INFO : CREATIVEMAN 03-3499-6669
AIR JAM 2012
DATE : 2012.9.15 (sat)
PLACE : 宮城県・国営みちのく杜の湖畔公園みちのく公園
OPEN : 10:00 / START : 12:00
INFO : AIR JAM 2012 事務局 022-256-5355
BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE
DATE : 2012.9.23 (sun)
PLACE : 千葉ポートパーク内特設野外ステージ
OPEN : 12:00 / START : 13:30
INFO : SOGO TOKYO 03-3405-9999
AA= OFFICIAL WEBSITE
http://www.aaequal.com/