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スケールの大きなアンサンブル、変拍子を随所に盛り込んだリズム・セクション、そしてシュールさと生々しさが混在する詞の世界で独自のドラマティックな世界を切り開いてきたcinema staff。インディーズ時代から通算4枚目となるミニ・アルバム『SALVAGE YOU』は、リリカルなメロディラインと伸びやかな歌を全面に展開しながら、変わらぬバンドとしてのスタンスを感じられる内容となっている。メジャーへ舞台を移した4人にバンドの姿勢、そして今作で迎えた転機について話をしてもらった。

Interview & Text : Kenji Komai
SALVAGE YOU / cinema staff
PCCA-03652 1,800yen (tax in)
2012.9.5 on sale
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  1. 奇跡
  2. WARP
  3. さよなら、メルツ
  4. her method
  5. warszawa
  6. 小説家
  7. salvage me
「奇跡」 Music Video
<cinema staff 『SALVAGE YOU』 Interview>
──最初に、先日のリキッドルームでのライヴを終えての感想をお願いします。
辻(Guitar):
レコ発として岐阜と東京の2本でおこないました。今回は過去から現在を表現する今までとはコンセプトの違うセットリストというのもあって、その日しかできなライヴができたという実感があります。トラブルはありましたけれど、いい経験として捉えて、いいライヴにできました。
──ディスコグラフィーを辿るようなセットはバンドからのアイディアだったんですか?
三島(Bass):
そうですね。レーベルが変わって初めてのワンマンというのもありますし、プレミアムなものにしたいという思いがあったんです。でも『into the green』が出たときは新曲も2曲しか増えていなかったので、レコ発として新しいセットリストにできる感じにはできないと思ったのもあって。ライヴの流れについてはどこで起伏を持たせるか、ということを念頭にセットリストを組んできたんですけれど、この機会に、そういうものを取っ払って、ディスコグラフィー的に今までの歴史を振り返ることだけ念頭に置いてやってみてもいいんじゃないかと。今までだったらあまり考えなかったことだし、対バンによってセットリストを考えているので、ワンマンじゃなければできないことだし。今だからできることとして、まとまりましたね。
飯田(Vocal/Guitar):
自分のギタートラブルで途中、時間を置くことになってしまったんですけれど、今までだったら、演奏を止めてしまった事でテンションは下がることはなくても、空回りしてしまう事があったのですが、今回は楽曲で取り戻す自信もあったし、今の4人ならできるという気持ちもあったから、最後までいいライヴができてよかったです。『into the green』というEPも、初めてcinema staffを聴く人のために再レコーディングを4曲入れているので、そういう面でも、新しく聴く人にも、今まで見てくれた人にも面白いセットリストを作れたと思います。
久野(Drums):
自然と自分たちの成長を再確認できたライヴでした。理想としていた場所よりそれてしまったので、これまでであれば力が入りすぎてしまうこともあったんですけれど、あの状態でいいライヴを作れたのは、終わってみたら成長しているなと。
──緊張感と高揚感が途切れなかったのが、バンドとしてのたくましさを感じました。
三島:
ギリギリのところでしたけどね(笑)。
──『into the green』から間髪入れず今回の新作のリリースですが、そのシングルでの手応えというのはやはり感じていたのですか?
三島:
今までの曲と比べて、ライヴでやったときのリアクションが違うというのは思います。新曲はライヴで次第に定着していくものですが、ここまで早い段階で聴いてくれる人の気持ちがすごく伝わってくるんです。浸透率が早いことはいちばんの変化として感じます。
──曲作りの時点で、間口を広く、とかこれまでよりもリスナーをより意識していることはあるのですか?
三島:
それだけを意識してはいないのですが、以前よりは、こういうアレンジだったらお客さんはどう思うだろう、ということを考えるようにはなりました。特にメロディは、複雑だったメロディを分かりやすく変える、という判断は前より増えましたね。でも、考えた上で「やりたいからやっぱりやろう」ということなんですけれど(笑)。いかにソリッドに引き算をするか、引き算をして、そっちのほうがかっこよくなるという判断のものとに、自分の許せる範囲で分かりやすくしてます。
──闇雲にテクニカルにしていかなくてもいけるんだ、という気持ちが?
久野:
以前は曲を複雑にしていかないと、自信が持てないところがあったかもしれない。わざとひねくれないと、僕ららしくないんじゃないか、というのもあったと思うし。最近はあまりそうした心配はないです。
飯田:
『into the green』が、すっぴんのまま、あまり装飾なく、いいメロディを難しくせずこのままでいいんじゃないかと、自信持って出せたことが、今の気持ちに繋がってる。お客さんにとっては、難しくとかそうではないとか、関係ないんですよね。いいものがいいと思ってもらえるものだから。だから選択肢も増えてきたんだと思います。
辻:
今ならなにをもcinema staffだとリスナーも思ってくれるし、僕らもそう思えてやっています。
──『into the green』そして今作『SALVAGE YOU』にある明快さというのは、もちろんこれまでのcinema staffの楽曲が持っていた要素のひとつですし、三島さんがリキッドのMCでもおっしゃっていましたが、今回のアルバムがあくまで4thミニ・アルバムと銘打たれているのも、今までの活動の延長線上にある新機軸、という印象があります。
三島:
実際メジャーから出すなんて、cinema staffのキャリアでいったらすごく大きな出来事ですけど、リスナーからしたら関係ないですしね。
──今回の『SALVAGE YOU』の制作にあたっては、みなさんのなかでの取り組まなければならない課題というのはあったのですか?
三島:
そこまで考えていなかったかもしれないです。『into the green』と同じタイミングで作っていたんですけれど、時間がないままレコーディングしていたところもあって、じっくり腰を据えて作ったというより、その時の勢いを重視して作るしかなかった。それは後悔しているのはなくて、そういうテンションだったんです。もちろん、SALVAGEする、気持ちをどんどん引き上げていけるようにしたいというテーマはあったんですけれど。
──SALVAGE(救い)するというのはいつごろ浮かんだキーワードなのですか?
三島:
ちょうど一年くらい前、制作を始めるときに、仮タイトルで「SALVAGE」という曲ができて、自分のなかでも救いの曲として書いた未完成の曲なんです。すごく気持ちが落ちていた時だったので、自分を救うために音楽をやろう、と思いました。その制作の終盤に「into the green」ができて、自分が一個抜けたバンドマンとしても一社会人としても成長できた感じがあったので、それを共有できればいいなと。第三者にとっても一歩進めるものであってほしいという気持ちにすごくなったんですよね。自然に誰かのためにやりたいと思ったというか、もちろんステージに立つ以上、恥じるステージはしたくないし、ずっとかっこいいことをやってきたつもりなんですけれど、優しい気持ちになれたのは初めての経験でした。そうしたことから『SALVAGE YOU』というアルバムタイトルになりました。
──これまで以上に、音楽の持つ力を身近に感じられるようになったということ?
三島:
再確認した感じですね。僕らは上京して2年くらい経ちますが、それまでは学生だったので、今までより守られていない環境、生活があって音楽がある、というのが一緒くたになったんです。それが、音楽をやっていない生活の部分まで圧迫していたところがあって。単純にそれはお金がなかったというレベルの話でもあるんですけど、結果音楽をやってることで「into the green」ができたときにあらためて初めて「こういう曲を作るためにやってきたんだ」と思えたんです。
──曲作りについては、どんな変化がありましたか?
三島:
僕がリフやバッキングを作ってきて、それをみんなで合わせていく、というやり方は大きくは変わってないです。プライベートな部分でも思うように進んでいかないことがあったり、大変な時期だったんですが、唯一バンド自体が前に進んでいたんです。曲ができるときの雰囲気がいつもとまったく違った。短期間でその時の気持ちをガッと入れたので、曲調的には明るくても、重いものが含まれている歌詞になっているのはそういうことだと思うし。そういう面では今までにはない作品だし、これからもこういう作品はできない、ライヴと同じでこの時しかできないものが詰まったミニ・アルバムになりました。
──cinema staffは、アグレッシヴで衝動的な部分と、曲を構築していく部分のせめぎあいが魅力ですが、タイトな制作期間のなかで、そのバランスは意識していましたか?
三島:
例えばオケが複雑になりすぎないようにすごく意識したわけではなかったんですけれど、今はシンプルなほうがいいよね 、というモードになっていたということだと思います。
辻:
作っている最中というよりも、できあがってみて「シンプルだな」と思うことのほうが多かったですね。
久野:
自分のパートとしては今までよりだいぶシンプルになっていると思うんですけれど、それも別に、メジャーだからとかじゃなくて、単純に「普通のエイトビートかっこいいじゃん」というモードだったんです。やりたいことやったら、みんな自然とそういう方向になった。
──ミニ・アルバムのオープニング「奇跡」も、疾走感と突き抜け方が、これまでにないタイプの楽曲ですよね。
三島:
実は、コード感や、最初のエイトビートの走り抜ける感じは、自分のなかでも元々「それはちょっとどうかな」というラインだったことはあるんです。コードについてはマニアな方で、頭の中で和音を鳴らして「こうじゃなきゃいけない」ということはあるんです。でも、制限は何も考えずに、とりあえず思いつくままにこのコード感やベースのルートを完成させてみようと。だから、作り方の根本は変わってないんですけれど、結果、今までにないポップなかたちになるのもいいじゃん!となりました。
──リリックについても「奇跡はない」としつつも、すごく前向きさを秘めています。
三島:
偶然に頼らずとも、自分の力で歩いていきたいよね、ということを言ってるんです。「奇跡」は自分の意思を話しているので、すごいストレートで、今までの自分だったら書けないところですよね。
──これまでの歌詞はどこか夢想的であったり、現実と非現実の間のストーリーが綴られていたと思うのですが、今回はとても素直にバンドのいまの心境をストレートに出している、というのも変化だと感じました。
三島:
そうですね、これしか今は書けない、という気持ちだったんだと思います。最近の歌詞はまた変わってきていますし、自分でもマイナーチェンジというレベルじゃなく、どんどん変わってきているのを感じているので。
飯田:
「奇跡」は「into the green」の前にできていたのですが、もともとCメロがなくて、歌詞も違っていたんです。それを書き直していくなかで、今年活動のフィールドも変わっていくなかで、もっと自分たちでいろんなものを掴みとっていきたい、という気持ちがどんどん出てきたときに、バンドのやろうとしている曲と気持ちがすごく繋がっていって。言いたいことをこの曲が言わせてくれた、みたいなところがあって、だからこの曲を今出せることがすごく嬉しかったんです。そういう気持ちって音楽と合致するものなんだなぁって。
──言葉そのものの意味合いよりも、音のフォルムや攻撃性そしてステージでのパフォーマンスによってバンドのアチチュードを提示してきた印象があるんです。
三島:
トータルで、ですね。
──そこに言葉、歌という部分でも新しい武器ができたんじゃないかと感じました。
三島:
自分で自分のやってきたことに気付かされるというか、これが生きてるんだ、ってことなんだと、制作を振り返ると感じますね。
──アルバムが出来上がって、皆さんにとっての満足できるハードルって上がりましたか?
三島:
上がりました。今回は音やディレクションの部分で、次にフル・アルバムを作ることになったら、このアルバムを軽く超えなきゃいけない、という気持ちに今すごくなっています。それは大変だけど、同時に楽しいことで、『SALVAGE YOU』よりももっといいものをどんどん出していくにはどうすればいいか、と考えて曲を作っていくのは、すごくクリエイティヴで楽しいです。
──自分たちのスタンスを崩さないように、という気持ちについては?
三島:
それももちろんあります。というか、崩せない。こういうやり方でしかできない。特にライヴのあり方であったり、他のバンドとの繋がりであったり、そこはすごく基礎になっている部分なので。だからそこで「ビジネスになるライヴだけで」と言われても、できませんと言う覚悟はあります。今のスタンスでcinema staffとやりたいですと言ってくれる会社があったことに感謝していますし、自分たちのやり方でやってきてよかったと思う。
──今回の『SALVAGE YOU』の制作のときは、来年、再来年と次のヴィジョンを見据えながらの活動だったのですか?
三島:
去年から、制作はアルバムを作れる量を作ろうというのがスタートとしてありました。それを出して、どうなりたいというのはけっこう話していました。その時はポニーキャニオンから出るというのは決まっていたので、メジャーでなにをやるかというのは、希望を持って、先を見ていました。
久野:
ライヴについては、お客さんと共有するというよりは、自分たちがかっこいいと思うものをかっこいいと思ってもらえばいいという感じが強かったんです。それが、リキッドでも、お客さんの反応で自分たちが上がっていくことがあるし、ライヴや作品を出していくうちに自然と、もっと受け手と関わりたいという気持ちが増えてきて、それが曲にも出ていると思います。そういうことをもっと強くしていけば、今までと違う面白さが出せると思います。
飯田:
『SALVAGE YOU』の話をしていますけれど、けっこうその先も見えていて、やってる自分たちでも楽しみなんです。友達とも話していたんですけれど、無関心でいられるのがいちばん腹が立つんです。もっと深く知ってもらうために、まずはこのミニ・アルバムを当然のように聴いてほしい、そしてもっとお客さんにライヴに来てほしいですね。
cinema staff 4th mini album 『SALVAGE YOU』 release tour 夜は短し歩けよ辻
DATE : 2012.10.5 (fri)
VENUE : Sapporo COLONY, Hokkaido
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : MOUNT ALIVE 011-211-5600

DATE : 2012.10.7 (sun)
VENUE : Sendai MA.CA.NA, Miyagi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2012.10.8 (mon)
VENUE : Morioka CLUB CHANGE, Iwate
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2012.10.12 (fri)
VENUE : Niigata CLUB RIVERST, Niigata
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : CLUB RIVERST 025-250-0430

DATE : 2012.10.17 (wed)
VENUE : Fukuoka DRUM SON, Fukuoka
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : KYODO NISHI NIPPO 092-714-0159
DATE : 2012.10.19 (fri)
VENUE : Takamatsu DIME, Kagawa
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : DUKE TAKAMATSU 087-822-2520

DATE : 2012.10.20 (sat)
VENUE : Hiroshima NAMAIKI JUNCTION
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : YUMEBANCHI 082-249-3571

DATE : 2012.11.6 (tue)
VENUE : Shinsaibashi Music Club JANUS, Osaka
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : KYODO INFORMATION 06-7732-8888

DATE : 2012.10.7 (wed)
VENUE : Nagoya CLUB QUATTRO, Aichi
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : JAILHOUSE 052-936-6041

DATE : 2012.11.9 (fri)
VENUE : LIQUIDROOM ebisu, Tokyo
OPEN : 18:15 / START : 19:00
INFO : VINTAGE ROCK 03-3770-6900
cinema staff official website
http://www.cinemastaff.net/