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AA=が11月27日に『#』、12月11日に『4』と2作連続でオリジナル・スプリット・アルバムとしてリリースする。バンドとして初となる、メンバーとのリハーサルを経たレコーディング作業は、New Audiogramでの連載でもその模様が随時伝えられてきたが、スローなイントロから、アブストラクトな轟音が続く「DRONE」を皮切りに、現代社会へのメッセージが荒ぶるグルーヴに込められた『#』、そして、とびきりの開放感に満ちた「HUMANITY2 -4 Mix-」で幕を開け、彼のキャッチーかつメランコリックなメロディメイキングのセンスとバンドのラフなグルーヴが特徴的な『4』を、リスナー自らが合体させることにより、このAA=という唯一無二の存在が浮かび上がる仕上りになっている。リリースを前に上田剛士に訊いた。

Interview : Kenji Komai
Interview Photos : Ryo Nakajima (SyncThings)
# / AA=
VICL-64081 2,000yen (tax in)
2013.11.27 on Sale
  1. DRONE
  2. WARWARWAR -# Mix-
  3. VICIOUSNESS
  4. WILL
  5. DISTRAP
  6. PRG
  7. KILROY WAS HERE
 
4 / AA=
VICL-64082 1,800yen (tax in)
2013.12.11 on Sale
  1. HUMANITY2 -4 Mix-
  2. ||:Repeat:||
  3. The Jam
  4. Path of the arrow
  5. Lasts
  6. The Klock (New Recording)
  7. Endroll
「WILL」 Music Video
 
「HUMANITY2」 Music Video
<AA= 『#』『4』 Interview>
 
──New Audiogramでの企画、着々と作品が完成していく過程を垣間見ることができて、毎回楽しみにしていました。
上田:
出来ていく感じが伝わるといいなと思って。なかなかそういう機会はないので、楽しいです。
──連載のインタヴューでも語られていますが、今回のレコーディングのプロセスの変化を、あらためてお聞かせください。
上田:
いちばん大きな違いは、バンドメンバーみんなで、レコーディングの前にリハーサルに入っていることです。普通のバンドだったら当たり前のことだけれど、実はAA=は一度もやったことがなかった。デモという設計図ができたときに、レコーディングにそのまま入って、録り始めるというスタイルでずっとやってきていたので、今回は初の試みですね。
──そうした制作方法をとろうと思われたのはなにかきっかけがあったのですか?
上田:
時間的な余裕があったということももちろんあるんだけれど、今回はまず一回揉んでから、というか、自分のなかに体に入れてからやってみたら、今まであえてそれを避けてきたけれど、どうなるかなと思って。それは、作品のテーマのひとつとしてある、〈肉体的なもの〉を前面に出すというのもあったかもしれないです。ただ単純に、いつも通りじゃないことをやりたかった、というのが一番大きな理由かもしれないですね。
──そうすると、上田さんがメンバー皆さんのプレイをイメージした上である程度作りこんだデモに音を加えていくかたちから、もっとざっくりとしたアイディアからスタートしていったということなんでしょうか?
上田:
デモを作る段階だと、今までとそんなには変わらないですね。細かい展開やBPMをどのくらいにしようとか、そういうことは詰めていないですけれど、ちょっとやってみて決めよう、というラフさはありました。だいたいの設計図は一緒ですね。だからそのリハーサルの場でみんなで合わせることによって、アッくん(金子ノブアキ/Dr)が何か違うフレーズなりオカズを叩いたときに周りが反応しますよね。そうしたことが今まではレコーディングのときにしかなかったんだけれど、リハをやって、反応をしたことにまた反応が帰ってくることによってブラッシュアップされていく。バンドになっていくという感じはありました。
──それは、ここまでアルバムを発表して、フォーピースのバンドとしての関係性が充実していると感じていたからですか?
上田:
それも大きいと思います。3枚作ったことによって、もともとAA=は自分のソロユニットだけれど、バンドスタイルで表現しているので、それをライヴを経て続けていくことで、バンドになっていっている、という気持ちがあるので。それが今回はかなり、クオリティというか塊として、4人で出す「AA=らしさ」がだいぶできているんです。それを提示してみたい、チャンスかなと思いました。基本的にAA=の場合、レコーディングは実験というか、出来上がってちゃんとしているものをプリントしていくものというよりは、その場でいろいろ合わせて遊びたい、というのが面白さがある。今回は逆にそこよりも、バンドとしての塊感を重視した感じかもしれないですね。
──セッションで音を鳴らしてやり始めたときはどんな感じでしたか?
上田:
実際、一回も合わせないでレコーディングしてみると、みんなで音出したときにどうなるんだろう?とドキドキしながら作ってるんだけれど、「じゃあこっちの方向にみんなで行こう」というのが、当たり前だけれどちゃんと見えているので。それがこのメンバーでやれるというのが、バンドっぽくて面白かったです。
 
──今回のスプリット・アルバムは言ってみれば、AA=の二面性がセットとして表現されていると思うんです。このようなスタイルで発表しようということと、4人にセッションを皮切りに作っていった、ということはどんな風に結びついていったんでしょうか?
上田:
自分のなかで新鮮さを求めていて、いつもとは違うテンションで作品作りに向かいたい、ストレートじゃなくて変化球ということで、2つに分ける、ということはまだ最初決まっていなかったんだけど、こういうパッケージにしようというのは、デモを作っているときには決まっていました。元々、とても静かなアルバム、数曲のミニアルバムもいいなと思っていたし、果たして自分でそれが作り上げられるかどうかは分からないけど。それが作っていくうちに、シャープに見えるダンスミュージックや打ち込みのトラックを強調している楽曲のかたちが見えてきたときに、もう片面の、メロディとかバンドサウンドを作る必要が自分のなかに出てきたというか。それで2枚になっちゃった、という感じですね。
──特に前作の『#3』はその両極端の方向性がカオスになった濃厚なアルバムだったと思うんです。それが今回は、それぞれのアルバムごとに振りきれているな、という印象がありました。
上田:
それは自分のなかで意識したし、難しかったところですね。ミックスするのが自分のスタイルで、どうしてもミックスしたくなってしまう。そこをどうやって、ミックスせずなおかつ自分のものとして完成させるか。それは最近考えていなかった発想なので、挑戦でした。今回こういうかたちで作ると縛りを自分のなかで作ったことで、いつもの技が使えない、じゃないけど、その代わりにどうする?と考えるのは楽しかったです。
──『#』『4』と7曲づつに分かれていますが、曲が出来ていった順番というのは?
上田:
バラバラです。きれいに分けることができずに、両方の要素が入っていたり、どちらとも言い切れない曲や、アイディアのスケッチみたいなものも山ほどありました。それはコンセプトに合わないから外すしかない、となりました。
──『#』についてはダンスミュージックのプロダクションが色濃く、『4』についてはメロディが強調されていたりバンドサウンドがメインになっていますが、歌詞の世界観についてもかなりくっきり分けられているように感じました。
上田:
そうですね。サウンド的に分けていくなかで、世界観も分かれるべきだなと思って。そのきっかけとなったのが「WARWARAWAR」と「HUMANITY2」というシングルで出した2曲でした。その曲の持つテーマやストーリーに引っ張られて、広がっていったところもあります。
──『#』はヘヴィーなサウンドが多いですが、「VICIOUSNESS」では悪意の連鎖が題材になっていたり、影の部分がダイレクトに表現されていますね。
上田:
ストレートに「問題である」と言ってますね。そこは変えるべきものだし、現実にある問題として直視するべきだし。でも、それを解決する答えがないんです。でもそのままでいいわけでもない。今を生きる者として、問題をシェアするべきで、答えも模索していくべきだと思っています。
──AA=の作品にメッセージ性とストーリーは欠かせませんが、『#』はその社会に対する危機感や憤りが取り沙汰されていて、『4』の楽曲はどちらかというと登場人物の心情が垣間見られる楽曲が多いですね。
上田:
そういう意味では『#』は、自分の今思う問題に対する自分の闘い方がテーマになっています。それは未来=Futureに向かっている方向で、問題をどう乗り越えるか、ということだったり、危険と対峙したり抵抗したりしていく自分の意思について表現している。『4』のほうはもう少しエモーショナルな、自分の心情だったり、それはもうひとつのテーマである過去について、自分が今まで歩いてきた道、背負ってきたものをちょっと振り返って見てみたくて、そこからいま自分が思うことを表現しました。この2作にはそうした時間軸の違いもあります。
──確かに『4』の「The Jam」「Path Of The Arrow」にあるエモーショナルさは、めちゃくちゃ振りきれているなと感じます。
上田:
ちょっと自分では恥ずかしいぐらい(笑)、この機会じゃなきゃこんな曲は作らない、というくらい。そのくらいで作らないと、今回の自分の答えとして出せないと思いましたし。そこも挑戦でした。
──「Path of the arrow」では過去に対する決別、ということが歌われますが、上田さんにとって、その別れを告げようとしていたものとは、なんなのでしょうか?
上田:
別れをしようとしてるかどうか、というのは実は自分でもよく分からなくて。ただ、やはりそれは乗り越えなきゃいけないものというか。最終的には、『4』の最後の曲「Endroll」で言っているような、前に進んでいくことや、過去に囚われず、過去を踏まえたうえで未来に向かっていくことが、最終的に自分のなかでかたちにしたかった言葉でした。それが一番重要だったのかもしれないし、最後に過去と未来がぐるっと繋がってアルバムとして『#4』として完成する、というのが自分の答えだなと、作ってみて思いました。
──「Endroll」では「手を繋ごう」という歌詞が出てきますが、ここまでのことを率直に歌ったことは初めてですね。
上田:
言葉の選び方だけでなく曲調としても、今までの自分がAA=として表現するものの中では極めて特殊だと思います。ただ、AA=としてテーマとして重要だと思っていること、そして乗り越えていく、闘っていくときにも必要なのはそこだなと思うし。周りの人に対して、というよりも、自分に対するメッセージ、自分がそうあるべきだと思っているし、その難しさや突き詰めていくと、不可能に近い難しいいろんな問題があるけれど、だけど、そうあるべきだ、というところは捨てられない。そこが最後に残った心情なんです。
 
──先日のUNITでも感じましたが、AA=の音楽は、メッセージ性や問題意識を共有する面と同時に、強烈なグルーヴとノイズを浴びて、日常を捨てて楽しむ、という側面もあると思うんです。
上田:
そこが音楽の持つ幅の広さで、メッセージを伝えることにも使えると同時に、忘れるためにも使える。それが実際に混沌としている、というのも現実社会だと思うし。音楽は人間の作るものだから、思想というのもあるけれど、それよりも感情に左右される、近いもののように感じるんです。言葉よりも、よっぽど人間の気持ちや思い、波動を表現できてしまうときもある。そこもとても音楽の人間的なところだと思う。コンフューズしている感じというか。
──今回の2作はリスナーがジャケットを合体させるというのも興味深くて、AA=の音楽ってリスナーが受け止めたときに完成する音楽だと感じていて、そのAA=のポリシーも立体化したパッケージになっていますね。
上田:
まさしく今回は、絶対この形にしたいと思っていたんです。商品としての部分でハードルも高かったんだけど、スタッフと話し合って「今回この形でいかないと完成しないだろう」というムードがあって追求しました。音だけでなく、今回の『#4』というアルバムを表現するパッケージになっています。発売も少し時期をずらすことで、このプロジェクトをやる意味があると同時に感じることができる。同じ時間軸でこれを手にしてもらうことが、意味のあることで、これができるバンドって他にないから、とてもAA=らしい作品になっていると思います。
──バンドとしてのダイナミズムが伝わってくる曲が多いですが、あらためてこの4人でなければいけない必然性を再確認することはありましたか?
上田:
この4人だからこそ出せていると思います。自分が旗振りでいますけれど、今回のタカとのインタヴューでも出てきましたけれど、「バンドとしてのデビュー・アルバムみたいだね」と言っていて、それはすごくしっくりきていて。実験を繰り返している集団だったのが、バンドとしてかたちになっている。
──スペシャリストの集合体というイメージも確かにありました。今回は、失礼な言い方ですが「ピュアなバンド」感がありますね。
上田:
そうなんです。それはAA=としては珍しいですね。今回の企画で、メンバー同士で対談するというのも初めてだったので、新鮮でした。それは今回のタイミングとも合っているような気がします。自然とバンドが呼んでいるという気がするし。
──今後はもしかしたらもっと秘密裏に動くような活動を?
上田:
うん、それもあるかもしれないし、本来そういうユニットのような気もするので(笑)。
AA= : TOUR #4
DATE : 2014.1.23 (thu)
VENUE : Umeda CLUB QUATTRO, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : GREENS 06-6882-1224

DATE : 2014.1.24 (fri)
VENUE : Nagoya CLUB QUATTRO, Aichi
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : JAILHOUSE 052-936-6041
DATE : 2014.1.26 (sun)
VENUE : Sendai JUNK BOX, Miyagi
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : G.I.P. 022-222-9999

DATE : 2014.2.9 (sun)
VENUE : Ebisu LIQUIDROOM Tokyo
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : CREATIVEMAN 03-3499-6669
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