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ジラフポット 『Breathe and breathe again』 Interview

ジラフポットの2ndミニ・アルバム『Breathe and breathe again』はタイトルのように、ライヴバンドとして破竹の勢いを続ける彼らの「息吹」が聞こえる作品だ。インタヴュー中の彼らの発言にもあるように、今回彼らはあえて「ロック」をテーマに、ポジティヴなシャウトも、鬱屈をそのまま表現したようなラウドな音色も注入。バンドの生の感情と表現への意欲を凝縮させ、定評ある獰猛でラウドなバンド・アンサンブルに加え、驚くほどの解放感とポップさを獲得している。EP『Last Man Standing』リリース直後に交通事故に巻き込まれながらも、歩みを止めようとしなかった彼らが、なぜ「ロック」にこだわったのか、3人に話を訊こう。

Interview & Text : Kenji Komai
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
Breathe and breathe again / ジラフポット
GPCD-1003 2,000yen (+ tax)
2015.11.18 on sale
  1. Beautiful Nonsense
  2. ブライターロックは風に乗って
  3. I am A
  4. 嘔吐
  5. The Creator's Creator/li>
  6. 環水平アーク
  7. Dear Heaven
「Beautiful Nonsense」 Music Video
 
「ブライターロックは風に乗って」Music Video
<ジラフポット 『Breathe and breathe again』 Interview>
──『Breathe and breathe again』の制作のプロセスとしては、これまでのように中野さんのアイディアをスタジオに持ち込んで3人で取り組む、というやり方は変わらず?
中野:
スピードが早かったです。シンプルに徹した分、早く終わりましたね。
──それはレコーディング中にOKテイクなどのジャッジに悩まなくなったということですか?
中野:
それもありますし、これがベストなフレーズだ、というのがきちんと判断できるようになったと思います。
関:
大人になりました。今の実力に見合うよう、高望みしなかった。
中野:
そんなマイナスなことじゃなくて。この曲にはこれが合う、というのが分かってきたんですよ。
──アクシデントの後、それでもライヴをやり続けてきたバンドの意思も、このアルバムに入っていると思いますか? 「I am A」はまさにそうしたライヴの情景が見える曲ですよね。
関:
ライヴ映えというか、もっとライヴでお客さんとの距離を近づける目的があったんです。これまでは僕らだけで完結していたものを、ライヴを重ねるにつれてお客さんを巻き込んでいく、というのをひとつの手段としてやってみた。
──関さんはステージではMCでも積極的にオーディエンスとコミュニケーションとろうとしてますよね。この1年ライヴをやってきて、お客さんの変化は感じますか?
関:
今までだったら手が上がらなかったのが上がるようなったとか、ミュージックビデオを作った曲はちゃんと聴いてきてくれてる、という反応が大きかった。初めて行った土地でもちゃんと手応えを感じます。サーキットイベントでも反応が違ってきていますね。
中野:
俺はその部分はライヴをあまり意識したくないんです。ただ「I am A」は関さんからオーダーが入ったものを作りました。
──では中野さんは、ライヴのダイナミズムを作品に反映させるというよりも、作品としての完成度にこだわったということなのですね。
中野:
でも今回のアルバムの曲は、ライヴでたくさん演奏することが多くなると思います。今まで小難しいことをやってきたので、覚えるのが大変だったんですけれど(苦笑)、このアルバムはシンプルなのでいいですね。シンプルといっても、突き詰めれば他のバンドよりめんどくさいことやってますから。コーラスとか大変ですよ。
──みなさんのそうした創作への気持ちもあって、今回のアルバムはジラフポットのメロディのセンス、中野さんのメロディメーカーとしての持ち味がさらに分かる仕上がりになっていると感じました。
中野:
その部分は特に意識していないです。シンプルにしたら、きれいなメロディが前面に出るようになったというだけで、余計なことはしなかった。以前はあえて聴きづらくというわけではないけれど、メロディを外したりして展開を面白くするための橋を架けていたところはあるんですけど、今回は一本道。とはいえ、曲調うんぬんじゃなくて曲の作り方はほんとロックでした。ギターを弾きながら歌って、そこからまた別の発展をしていくんですけれど、その一本の勝負という……。
──もともとジラフポットというバンドが持っていた要素を、今回の作り方で際立って聴こえてくるようになったということなのかもしれないですね。そしてアルバムの構成がぐっと引き込まれる曲順で、特に「The Creator's Creator」からの後半の流れがすごく気持ちよかったです。
中野:
そこはこだわりました。
原田:
曲順についてはだいたい3人で考えるんですが、今回はそんなに悩まなかった。
──7曲を通してのイメージしていたストーリーはあったんですか?
中野:
最後のほうは「寝ながら」聴きたいなというので、優しい感じにしています。
──なるほど。1曲目の「Beautiful Nonsense」は「世代」がリリックのテーマになっていますが、どういったところからこういう言葉が生まれてきたのですか?
中野:
これから攻めるぜ、というときに交通事故でケガをして活動休止のような状況になって……その時の憤りや焦りを書いた曲です。俺らが活動をストップしていてもどんどん新しいバンドが出てくる。俺たちが新世代じゃなくて、俺らの下の世代が新世代。だから実はポジティヴな歌詞ではないんです。
──そうしたバンドの状況を赤裸々に歌詞で綴るというのは、いままであまりジラフポットにはなかったですよね。でも曲がアッパーなのでポジティヴにとらえようと思えばとらえられます。
中野:
めちゃくちゃネガティヴじゃないですけれど、もどかしさ、を表現したかった。
──その感情はリスナーに伝わると思いますか?
中野:
たぶん分かってもらえないと思いますね(苦笑)。だからここでそんな明るい曲じゃないんだ、ということを言っておきます。
関:
普通だったら俺らが世代交代の騎手としてやってやるぜ!って内容だと捉えるよ。
──でもその正直さがいいんだと思います。元の楽曲の曲調もこんなアッパーな感じだったのですか?
中野:
サビの進行は前のEPのレコーディング中に思いついて、「これはぜったい使いたい」と1年くらいずっと思っていて、今回カタチにしたんです。すぐできましたね。
関:
でも制作の順番としては最後にできたんです。MVになるような聴きやすい曲を、というときに「あのコード進行使ってなかった」と。メロディは聴きやすいけれどコード進行は複雑なんです。
──2曲目の「ブライターロックは風に乗って」はいい意味でJ-POP的なメロディの立ち具合が特徴のナンバーです。
中野:
「Beautiful Nonsense」が現代だとすると、この曲は例えば90年代くらいの俺が本当に音楽ってこんなに素晴らしいものがいっぱいあるんだ、と思っていた過去の時代を振り返るノスタルジックな気持ちで作りました。
──歌詞も「君」との関係を回想している内容ですが、楽曲はポップに振り切れています。
関:
中野と原田はいい曲だと言っていたんです。
原田:
ストレートのなかのストレートやと。
関:
僕は正直あまりピンときていなかった。でもレコーディングに入って制作の最後のほうにベースラインを考えるのですが、その時に「あぁ、歌が立っている、いい曲だな」と思いました。
──今までのジラフポットだったら、こういう曲にはひねりを入れていたかもしれない?
中野:
今回はもう直進ですよ(笑)。大人になりました。
──3曲目の「I am A」は本当にオーディエンスとの一体感がイメージできる曲です。
関:
制作の最初のほうに出来たのですが、最初はもっとかっこいい系の曲だった。それをもっと構成を変えたほうがいいんじゃないかと寝かせていたんです。最初のリフとか中野が「ダッセー、これはない」と言っていたのを僕と原田で「いや、絶対これで行こう!」って(笑)。サビももっと音符を詰め込む感じだったのを、シンガロングできるように変えて……。
中野:
「もっとダサく」という注文が来たので。ソロだったら絶対やらない!という曲をブッ込みました(笑)。
──そんな曲が生まれるのもバンドのケミストリーですよね。続く4曲目の「嘔吐」はへヴィーなリフが耳にこびりつく楽曲ですが、音が塊で聴こえてきて、楽器の鳴りも異質ですよね。
中野:
この曲はいわゆる「インディー感」。もっとゴチャっとしていた時期の俺らの音をあえて出したかった。はじめはMV曲の候補に挙がっていたんですが、リフの時点でめちゃくちゃで、次の展開をどうする?と考えた時に「これは(MVに)向いてないな」と方向性を変えて、コアな部分が出てきた。だから難産でしたね。アルバムとしてのバランスも考えて、ナンセンスなフレーズをわざと入れたりして、ゴチャっとさせたかった。
──なぜ「嘔吐」なんですか?
中野:
ライヴが終わってから業界の方が観てくださって、俺が聞いてないのに感想を言ってくるんです。「なぜだろう?」と疑問に思って。いかにもその人には俺たちの目指しているものが見えているかのように話されるのが本当に反吐が出そうなんですが、それを直接言うと他のメンバーに迷惑がかかるので押し殺して曲にしました。歌詞の「ひきつった顔のバッドデイ」というのは俺のことなんです。
──アルバムの真ん中でこうしたゴリッとした曲があることで、後半の流れが引き立っています。この曲と次の「The Creator's Creator」との振れ幅がまさにジラフポットだなと感じるのですが、こちらはもっと大きなスケール感を強調した曲ですよね。
中野:
俺のもともとの世界観はこれなんです。このアルバムの中で、いちばん近い。上から目線な感じ(笑)。
──すると、中野さんの根っこのところには「Beautiful Nonsense」や「嘔吐」のような今の感情をむき出しにする詞よりは、もっと引いた視点があるということなんでしょうか。
中野:
両方やりたいけれど、どちらかといったらこの曲のような感じが好きなのかな。
関:
アルバムを出すとなると、メンバーやスタッフの意見を聞きながら進めるから、中野がちょっと我慢する部分があって、それだったらこの曲は好きなことをやったら、ということで出来たんです。
中野:
スタジオで最初のイントロを弾いて、そこに勝手に入ってきてもらって自然な感じで、ストレスなく出来ました。
関:
間奏でリズムがハーフになりますが、あれはガレージバンドでデモを作っていたときに、ソフトが重くて再生できなくて速度が遅くなったのをそのまま活かしたんです。
──なぜ全知全能の神について歌おうと?
中野:
「俺が神さまです」ということです……というのは言い過ぎですけど、本当にこの曲に関しては偉そうにやろうかなと。「ブライターロックは風に乗って」や「嘔吐」はリリックに自分を注入しましたけど、今回そういう曲が多いなと思ったので、この曲はあまり意味を込めず、私的な部分を排除した、映画のようなフィクションを作りたかった。
──楽曲の高揚感と、リリックの世界を見下ろしているイメージが合っていますよね。そして6曲目の「環水平アーク」は、アイディアが浮かんだときからストレートなものを目指していたんですか?
中野:
いや、いちばんストレートじゃないと思ってたんです。イントロは2年くらい前からありまして、タイトルの「環水平アーク」もそれぐらいからあって、カタチにしてなかったのでどうしてもやりたかった。サビもこうなる予定じゃなかった。
関:
僕がハーフでやりたいと主張してこうなりました。
中野:
結果良くなったと思います。次の「Dear Heaven」に繋がるようになりました。この曲は歌詞と展開とフレーズで伝わるように、光の量や色や景色が見えるというの意識していました。
──必ずジラフポットのアルバムは美しく終わるというのをテーマにしていて、今回も「Dear Heaven」で締めくくられていますが、これも「ロック」という最初のテーマから生まれた曲なんですか?
中野:
そうです、ロックバラード。自然に出来ました。変なこと考えずに自分が尊敬するアーティストの形をかき集めて継承したいと思いました。でも絶対に真似できない。結局自分らしくなりましたけれど。
──こういう表現ができるのはカッコいいです。洋楽へのリスペクトをひしひしと感じます。では、本当に充実したこのアルバムをリリース出来たことは、今後のジラフポットの活動にとってどんな糧になるでしょうか?
中野:
まずライヴの武器になります。パワーアップに繋がるし、自分としても一番好きな作品になったので、前の曲を否定しているわけではないんですけど、初めて自信を持って人に聴かせたいと思いました。これが出来たのも最初のアルバム(『Hydro human』)のおかげなので、これまでの全部の作品を聴いてもらったうえで新作を楽しんでもらいたいです。自信を持てるようになりました。
原田:
今作を出したことでますます次の作品が楽しみです。自分でもどうなるんだろうって。
関:
セットリストが定番化していたのが、この作品ができてバリエーションがさらに増えるので、ワンマンでもまた違ったアプローチが出来る。僕らがやりたいことと、お客さんが僕らを認めてくれているところがすり合わさることで、さらにいい関係でやっていけるんじゃないかと思います。
ジラフポット "Get Myself Back Tour 2015-16"
-One Man Live-
DATE : 2015.11.28 (sat)
VENUE : Nagoya CLUB UPSET, Aichi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : SUNDAYFOLK 052-320-9100

-One Man Live-
DATE : 2015.12.4 (fri)
VENUE : Shinsaibashi JANUS, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : YUMEBANCHI 06-6341-3525

-One Man Live-
DATE : 2015.12.5 (sat)
VENUE : Shindaita FEVER, Tokyo
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : FEVER 03-6304-7899

DATE : 2015.12.16 (wed)
VENUE : Takamatsu DIME, Kagawa
OPEN : 18:00 / START : 18:30
GUEST : tricot / 感覚ピエロ / ココロオークション
INFO : DUKE高松 087-822-2520

DATE : 2015.12.18 (fri)
VENUE : Okayama CRAZY MAMA 2nd Room, Okayama
OPEN : 18:00 / START : 18:30
GUEST : tricot / 感覚ピエロ
INFO : CRAZY MAMA 2nd Room 086-225-9014

DATE : 2015.12.19 (sat)
VENUE : Hiroshima 4.14, Kagawa
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST : ircle / MELLOWSHiP
INFO : 4.14 082-249-3024
DATE : 2015.12.20 (sun)
VENUE : Fukuoka Queblick, Fukuoka
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST : Brian the Sun / about a ROOM
INFO : BEA 092-712-4221

DATE : 2016.2.11 (thu)
VENUE : Chiba LOOK, Chiba
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST: T.B.A.
INFO : LOOK 043-225-8828

DATE : 2016.2.13 (sat)
VENUE : Niigata CLUB RIVERST, Niigata
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST: T.B.A.
INFO : FOB新潟 025-229-5000

DATE : 2016.2.14 (sun)
VENUE : Sendai enn 2nd, Miyagi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST: T.B.A.
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2016.2.27 (sat)
VENUE : Shizuoka Sunash, Shizuoka
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST: T.B.A.
INFO : SUNDAYFOLK静岡 054-284-9999

DATE : 2016.2.18 (sun)
VENUE : Kanazawa vanvanV4, Ishikawa
OPEN : 17:30 / START : 18:00
GUEST: T.B.A.
INFO : FOB金沢 076-232-2424
ジラフポット Official Website
http://giraffepot.com/