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DISC REVIEW

FORMA. 3.10 / V.A.

FORMA. 3.10 / V.A.

PFCD-21 2,310yen (tax in)
2010.8.11 on sale

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01. Yuanyuan - Alarmist
02. Seiji Takahashi - Gion
03. Nakagawa Takuma a.k.a. Nobi - Smoke
04. Jun Nishimura - Falcon
05. Caelum - Kyrie
06. Tessei Tojo - Blue Fog
07. Miyauchi Yuri - bdq_
08. eater - Rhythm of Japanese Garden
09. Pawn - Morning Tone
10. Marei Suyama from Ngatari - Pidgin op.1
11. Minus Lex - Minus Lex
12. Junichi Akagawa - Flus
13. Sooner - Barely Confine
14. Serph - Scenery
15. Sabi - Loose Contruulled
16. Geskia! - Viola
17. Taishin Inoue - Voices in Cells
18. Chisato Ohori - Caitokali

いまやこの国を代表する電信音楽のレーベルとして知られる名門PROGRESSIVE FOrM。本作はPROGRESSIVE FOrMがその長い歴史の中で、たった2枚しか出していないにも関わらず、レーベルを代表するコンピとして知られる『FORMA』シリーズの最新作にして、第3弾となる。彼らがその活動を開始したのは、早いもので(もう10年以上も前なのか!)2000年だ。僕にとってPROGRESSIVE FOrMとは、あの時代を象徴するある種のアイコンのようなレーベルでもある。あの時代、つまり2000年とは──80年代から90年代にかけて拡がり、そして細分化された様々なクラブ・ミュージックがさらなる進化を求めて混沌と混ざり合い、またPCやソフトウェアの台頭によりこれまでにない手法や価値観が生まれつつあるような──何かそんな新たな時代の予感を感じさせる時期だった。それから10年以上の月日が流れた今も、PROGRESSIVE FOrMのサウンドは、やはり何か"新たな予感"のようなものを感じさせる。面白いのは、個性のまったく異なるアーティストたちの曲を集めているのに、不思議と、そこには通底した感性のようなものが存在するように感じられることだ。どこか抒情的で、エレクトロニック・ミュージックなのだが温もりも感じられるような、不思議な感覚。それを"いまの空気感"とか"トレンド"と言ってしまうとなんだかいかにも陳腐だが、これまでの『forma 1.02』や『FORMA. 2.03』がその時代の音を見事に封じ込めてきたように、本作もまた現在における新たなエレクトロニック・ミュージックの指標となるべき音をしっかりとパッケージしている。本作に収録されているアーティストの名前に見覚えがないという方も、間違いなく楽しめるし、発見のある作品。ぜひ楽しみに聴いていただきたい。

[2010-08-18]
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