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THE GET UP KIDS "JAPAN TOUR 2010"

青春とは黄金色に輝いた日々の連続なのか。そういう人もいたかもしれない。しかし、その真っ只中にいるときは、どこか重苦しく、発散の捌け口を求めて悶々とした日々を過ごした人も多いのではないか。そして、いつか大人になったとき、あの日々は輝かしかったと慈しむように振り返る。その青春の光と影を、一発の叫びで表現したバンドがTHE GET UP KIDSだった。

彼らは2005年に解散し、2008年に再結成ライヴを行うと、2009年には名盤2ndアルバム『SOMETHING TO WRITE HOME ABOUT』10周年記念スペシャル・エディション発売を機にツアーを始め、今回の来日となった。隅々まで観客で埋め尽くされたソールド・アウトの場内は、もう爆発寸前の熱気で満ちている。さらに東名阪の全公演にCOMEBACK MY DAUGHTERSをゲストに迎え、この組み合わせの妙も特筆すべきポイントだった。そのCBMDはTHE GET UP KIDSと同じ鍵盤を含むバンド編成により、淡く切ないセピア色の旋律を存分に振り撒く。「みんなと一緒にTHE GET UP KIDSを味わえて、光栄です！」と高本（Vo＆G）は隠し切れない喜びを吐露し、また、大阪の打ち上げでギターのJim Supticと作ったという「酒ジム」（サケサケと連呼するだけ！）をプレイする一幕もあった。

　会場が再び暗転すると、大歓声が沸き起こり、「Hello！」とMatthew Pryorが挨拶すると、1曲目はいきなり「HOLIDAY」で始まった。あの泣き叫ぶようなMattの少年声が耳に突き刺さった瞬間、心の中で膝を激しく叩いた人がほとんどだろう。ああ～、この歌声を待っていたのだ。歌声は歳を取らない、という言い方があるが、まさしくその通りである。今回ベースのRob Popeが来日できず、元WAKING ASHLANDのNate Haroldを代役に立てる形になったが、それを補って余りある名曲の数々に感情移入せずにはいられなかった。セットリストは2ndアルバムを軸に代表曲を織り込むベスト的選曲で、「VALENTINE」や個人的にも聴きたかった「MASS PIKE」の胸が引き裂かれそうな哀愁メロに耽溺する。後半、Mattがギターをザクザク刻み、Jimがあの「酒ジム」を歌って場を和ませた後、「RED LETTER DAY」～「DON'T HATE ME」の熱さ迸る流れも白眉だった。

アンコール4曲を終えてステージ袖に戻ったメンバーに鳴り止まぬ歓声と拍手、それに応え、ラストは掟破りの「HOLIDAY」を再びプレイする。その交歓風景は、久しぶりに再会した親友同士が最後の別れを惜しむかのごとく、ありったけの感情をぶつけ合う凄まじい盛り上がりとなった。音源に永遠の青春性を刻み込んだ彼らのライヴは、時の経過と共に、光と闇のコントラストをさらに際立たせていたように思う。こちらの過剰な思い入れを抜きにしても、素晴らしいショウだった、と声を大にして言わせてほしい。

Text : Ryosuke Arakane
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)

EDITOR'S CHOICE LIVE REVIEW : "JAPAN TOUR 2010"

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