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前作から2年ぶりとなるニュー・アルバム『ホニャララ』をリリースするSAKEROCK。この間、映画や舞台のサントラをはじめ、各メンバーがバンド外活動をますます活性化させるなど多忙を極めた4人が完成させたのは、このうえなくポップで、誰の、なんてことない日常にもピッタリフィットするグッド・ミュージックたち。今回は、新作についてのインタビュー、そして、SAKEROCK誕生前夜(?)からつながりがある劇団、ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕を対談相手に迎え、星野源にたっぷり話を聞いた。

Interview : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
ホニャララ / SAKEROCK
DDCK-1013 2,730yen (tax in)
2008.11.5 on sale
SAKEROCK - ホニャララ 
  1. 会社員
  2. ホニャララ
  3. 老夫婦
  4. やおや
  5. 最北端
  6. 千のナイフと妖怪道中記
  7. におい
  8. 灰空(はいから)
  9. 今の私
  10. エブリデイ・モーニン
NATVで「ホニャララ」のPVをCHECK!!
<星野源 インタヴュー>
——前作『songs of instrumental』から2年ぶりのアルバム『ホニャララ』なんですけど。その間に『おじいさん先生』とか映画、ペンギンのサントラなど外部での活動がすごくたくさんありましたけど、外部の時は、どういうモチベーションで作品を作っていくんですか?
「そういう時って基礎となるお題みたいなものが最初からある場合が多いので、気楽な気持ちでやれてるというか、結構遊んでる印象が強いですね。オリジナル・アルバムとなると、ゼロから自分たちで作っていかなくちゃいけなくてかなりしんどい作業なんで。やっぱり、土台があるのとないのとでは全然作り方が変わってくるし、その枠があるっていうのは個人的にはものすごく楽なことで。そこからはみ出してもいいし、はみ出さなくてもいいしっていう、その二択ができるっていう時点で。オリジナル・アルバムを作る場合は、まず枠自体がないからはみ出すっていう観点がないし。その違いですかね。それに、責任も半分っていうか、まあサントラだしっていう考え方もできるじゃないですか(笑)。だから、へんなことしてもいいし、そこでいろいろ培った判断とかアイディアをオリジナル・アルバムに活かすっていうこともありますね」
——先行シングル「会社員と今の私」も、元はお笑いなり舞台の音楽の曲ですよね。そういう、べつの作品から派生したものをオリジナルの作品として出す場合って、元のものに作風なんかが引っ張られたりしないんですか?
「サントラとかやる場合ってわりと、いいように使われちゃうっていうか、監督の言うとおりにしないといけないっていうのがあって。でもそれがSAKEROCKだったら、「SAKEROCKだから無理ですよ」って言えるんですよね。例えば、スペクタクルな曲作れって言われても無理ですって言えるし、それはSAKEROCKに頼んだ時点で、監督の間違いだって言えるじゃないですか(笑)。それに、そんな無理なことを言う監督さんも全然いないし。だからもう、自分たちのやり方を最重要にできるっていう。「会社員」にしても、元々オリジナル・アルバムでやろうと思ってたアイディアを、いい機会だから実験っていう意味でやらせてもらったんですよね。それで、反応も良かったし、自分としてもすごい手応えがあったから、さらに突き詰めてレコーディングし直したんです。余談ですけど、バナナマンの舞台で作ったヴァージョンは、『行け!バナナ』って題名だったんですけど、今回PVを撮ることになって、イデビアン・クルーの井手茂太さんに会社員として踊ってもらうっていうアイディアを思いついて、それで『会社員』というタイトルにしたんです。だから、このタイトルはPVのために付けたタイトルでもあるんですよ」
——で、ニュー・アルバムの『ホニャララ』ですが、さっき1日の流れみたいな感じって言われてましたけど、私は一つの物語みたいに思えたんですね。映画や舞台のお仕事されるからそういうふうになってるのかなと想像したんですが。
「今回に関しては、SAKEROCKなりのポップスを作ろうっていうのが自分の中にあって。例えば、視聴機でパッと聴いていいなって思えるようなものだったりとか。ポップスって、1曲1曲が自立してるじゃないですか。そういうのがやりたいなと思って。前のアルバムが、“楽器の歌”みたいなコンセプトを持ったアルバムだったし、とりあえずそういうものは出来たから、今度は単純に聴いてて楽しかったりせつなかったりするようなアルバムになったらいいなって思いながら作ってて。その、ミックスの最終日に、自分で考えてた曲順もあったんですけど、エンジニアの内田直之さんに『ちょっと曲順考えてみてもらえませんか』って軽く言ったら、この曲順を考えてくれて、並べてみたらすっごい良かったんですよ。内田さんは、『アルバムって最初のほうしか聴かない場合が多い、でもアルバムって最初のほうにいい曲が続いてると、その後もちゃんと聴けるんだよ』って言ってて、まったくそのとおりだと思ったんですね。だから今回、頭にキャッチーな曲が続いていたり、いわゆるポップスのアルバムのようなことをしてるのに、1日の流れができてるっていうのがすごいおもしろいなと思ったんですよね。この曲順が決まったことでまたコンセプトが生まれたりもして。『ホニャララ』ってタイトルは、曲がまだ全然揃わないうちから決めてたんですけど」
——すごくポップなアルバムなのにもかかわらず、タイトルは、なんかはっきり言わない感じのタイトルですよね。どうしてこのタイトルになったんですか?
「僕、今年の始めに、『未来講師めぐる』っていうドラマを撮ってたんですね。そのときに共演してた深田恭子さんと雑談をしてて、普通だったら思い出せない言葉を「なになに」とか「なんとか」って言うところを、彼女は「ホニャララ」って言ったんですよ。すごく久しぶりに聞いた言葉だったから印象に残ったし、深田さんが言ったからだと思うんだけど、自分の中で浮かんだ文字が、ひらがなじゃなくてカタカナだったんです。で、今回の、SAKEROCKなりのポップス・アルバムってことでずーっと題名を考えてて、「ホニャララ」って聞いたときに、あ、「ホニャララ」ってなんかわかんないけどポップだなって思って、これだ!って決めちゃったんですよ(笑)。みんなに、「これにするから!」って言って。だから半年前くらいに決まってて(笑)。その後も、『ホニャララ』ってつけちゃったしな、どうしようって思ってたんだけど、僕らの音楽って、よく「言葉でうまく説明ができない」とか「ジャンル分けができない」って言われるんですけど、今回出来上がった曲がさらに拍車を掛けて“言葉にしにくい音楽”だったんですね。それだったら “ホニャララな音楽”っていうふうにも言えるなって繋がってきたりして。で、普通、曲のテーマとなる日常って、記念日だとか失恋とかそういう、いいものだったり特別なものを歌ったりすると思うんですけど、そうじゃなくて、ほんとに毎日の繰り返しの、会社員で言ったら月曜日とか火曜日っていう(笑)、そんななんでもない毎日。だから、そういう記念日じゃない普通の日を、名前がないって言い換えるんだったら“ホニャララ”で繋がるなとか。そういう、普通だったらつまんない日常を、ホニャララってつければ、なんかポップなものに見えてくるっていう、コンセプトみたいなものが見えてきたんです」
——曲作りをしてたときは、メンバー内で共通認識とかはあったんですか?
「『songs』を出してからの間に、なんかバンドの人気も出てきたみたいだし、次のアルバムがキモだなあと思って、個人的にものすごいプレッシャーを感じてて。前より売れないといけないし、みんなもおもしろいって素直に言ってくれるような音楽じゃないとダメだなって思って、そういうのを他の3人に伝えたりはしました。で、今回は、生活みたいなテーマは後で出来てきたんですけど、作る前は、とにかくしっかりしたものを作ろうっていうのがあったんですよね。そんな中で、今回もゲストを呼ぶことになったんだけど、少人数でバンド・メンバーみたいにやれる人たちで、なおかつ広がりもあるようにしようって話になって。前のアルバムは、曲ごとに違うゲストを呼んで多彩だったけど、ゲストを呼ぶことで難しくなることっていっぱいあるんですよ。普段あまり一緒にやることがない人たちなので、偶然的なおもしろさはあるんだけど、勝手がわからなかったりとか、もっと一緒にやってたらもっと息合っておもしろいことになったのにっていうこともあって。だからゲストを呼ぶにしても、今までのSAKEROCKのイメージを広げるって意味でストリングスを入れたりとか、キーボードはアルバム全体に必要だろうと思ったんで、グッドラックヘイワの(野村)卓史くんに頼んで。なので、まずはコンセプト云々よりは、ほんとにいいアルバムにするはどうしたらいいのかってことをずっと考えてました」
——そういうのが、音がギュッとしてるっていう印象に繋がってるのかなと思いました。今までは、おもしろさだとか楽しさみたいなバンドの側面に注意がいってたのが、今回は曲の良さだとかいいバンドっていうところに改めて気付かされたというか。
「緩いほんわかしたインスト・バンドっていう印象だったのを、ちょっと変えたいっていうのもあったんですよ。今回音作りを内田さんにお願いしたっていうのは、エゴ・ラッピンとかもそうだと思うんですけど、すごくパキッとしてるんだけど、生音の良さもあるっていう。メジャー感があるってことなんですけど、そういうふうにしたかったんですよね」
——でも今までも、ポップなイメージはありましたけどね。
「どうなんですかね。でも、やってる音楽に関しては、普通は受け入れられないものをやってると思うんですよね。時代性がないっていうか、今の時代には合ってないと思うし。ファッション性とかも含めて時代に合ってるインスト・バンドって、やっぱりSPECIAL OTHERSとかtoeとかだと思うんですけど、そっちとも全然違うし、普通だったら全然売れないはずなんですけど(笑)」
——たしかに、SAKEROCKをそういうバンドと一緒に引き合いに出すことはなくて、やっぱりSAKEROCKはSAKEROCKだなと思います。
「そのへんがうまく差別化されてるんでしょうね(笑)。それには、今まで馬鹿なことやってきたっていうのも大きいかもしれないです。ただの内輪受けなんですけど、浸透すれば内輪受けじゃなくなるっていう。その点に関しては、なぜか昔っから自信があって。最初はハマケンも全然受けなかったですけど、頑張って続けてたらみんな失笑はしてくれるようになったし(笑)。あと、僕の役者の活動も含めて、なんだこれ?っていう、普通のバンドじゃない活動をしてるからだと思うんですよね」
——でもそれだけおもしろいことをやれるっていうのは、星野さんにとってSAKEROCKが自由な表現の場ってことなんでしょうね。
「そうですね。今はそうなってます。昔っからこういうことをやりたかったんですよ。PV撮ったりとか、こないだみたいにライヴで映像使ってみたりとか。でも、前はまったく自由じゃなかった。そういう場所を長い時間かけて苦労して作ってきた感じです。最近は、SAKEROCKが体現してる音楽への姿勢だったり表現に対する何かだったりに共感してくれる、技術のある人たちが周りに寄ってきてくれたので、だんだんそういうことができる状況になってきて」
——気付けば、他の3人も様々な活動をされてますよね。それで、この4人が集まったときにはこういうアルバムができるっていう。
「普段は色々違うことをやってるんだけど、集まったときには力が出せるっていうふうにはなっているとは思います。ここまで長くやってこられたのは、元々精力的な活動をするバンドじゃなかったからだと思うんですよ。みんな昔からSAKEROCKだけじゃなくて色々やっててマイペースだったし。普段もSAKEROCKの活動以外ではメンバーとはほとんど会わないですからね。でも、僕もそうですけど、それぞれ大事に思ってるんだとは思います。みんな言葉には出さないけど。一番長くやってるし、一番いろんなことがあったバンドだと思うし」


"サケロック“ホニャララ”発売記念ワンマンライブ"
DATE : 2008.12.25(thu)
VENUE : Shinsaibashi CLUB QUATTRO, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH WEST 06-6535-5569
DATE : 2008.12.28 (sun) 29 (mon)
VENUE : TOKYO KINEMA CLUB, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH 03-3444-6751

"ホニャララのツアー"
DATE : 2009.1.17 (sat)
VENUE : Kobe VARIT., Hyogo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH WEST 06-6535-5569
DATE : 2009.1.18 (sun)
VENUE : Tokushima JITTERBUG, Tokushima
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : YUMEBANCHI OKAYAMA 086-231-3531
DATE : 2009.1.20 (tue)
VENUE : Kumamoto DJANGO, Kumamoto
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : BEA 092-712-4221
DATE : 2009.1.23 (fri)
VENUE : Fukuoka BEAT STATION, Fukuoka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : BEA 092-712-4221
DATE : 2009.1.24 (sat)
VENUE : Hiroshima CLUB QUATTRO, Hiroshima
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : YUMEBANCHI HIROSHIMA 082-249-3571
DATE : 2009.1.25 (sun)
VENUE : Kyoto TAKUTAKU, Kyoto
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH WEST 06-6535-5569
DATE : 2009.1.27 (tue)
VENUE : Kanazawa VANVAN V4, Ishikawa
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : FOB KANAZAWA 076-232-2424
DATE : 2009.2.7 (sat)
VENUE : Sendai CLUB JUNK BOX, Miyagi
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : NORTH ROAD MUSIC 022-256-1000
DATE : 2009.2.8 (sun)
VENUE : Morioka CLUB CHANGE WAVE, Iwate
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : NORTH ROAD MUSIC 022-256-1000
DATE : 2009.02.15 (sun)
VENUE : Sapporo CUBE GARDEN, Hokkaido
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH EAST 011-261-5569
DATE : 2009.2.21 (sat)
VENUE : Nagoya CLUB QUATTRO, Aichi
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : JAIL HOUSE 052-936-6041
DATE : 2009.3.1 (sun)
VENUE : SHIBUYA-AX, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SMASH 03-3444-6751
SAKEROCK OFFICIAL WEBSITE
http://sakerock.com/
KAKUBARHYTHM OFFICIAL WEBSITE
http://www.kakubarhythm.com/
星野源(G,マリンバ)、田中馨(B)、伊藤大地(Dr)、浜野謙太(Tb,スキャット,MC)からなるインスト・バンド。メンバーそれぞれが他バンドや役者や文筆活動など、多彩なジャンルで活躍中。バンドとしてのオリジナル作品のほか、お笑いや演劇、映画などのサントラなども数多く手がけ、第3回公演以降のペンギンプルペイルパイルズの劇中音楽はすべて担当。11月5日に、2年ぶりのニュー・アルバム『ホニャララ』をリリース。12月からは、来年3月まで続く怒涛の全国ツアーもスタートする。