2012.4.14 (sat) Saitama SUPER ARENA, Saitama
巨大なさいたまスーパーアリーナのステージのスクリーンごしに「今、透明か」のイントロが流れる。3人のシルエットにクレジットが重ねられ、曲のエンディングでスクリーンが降りメンバーが登場するという、なんとも心憎いドラマチックなオープニングから胸を打たれる。「俺たちの故郷、さいたまへようこそ!」という挨拶のあとに、デビュー15周年、そしてメジャーデビュー10周年記念のツアー終盤に設けられたこの特別な空間について大木は「ぼくたちがみんなに感謝するライヴ」だと強調した。その言葉は決して大げさではなかった。
この日のライヴは『ACIDMAN THE BEST』からのナンバーを中心にした、まさにグレイテスト・ヒッツ的セットリストだったけれど、決して単なるファンサービスではない、僕らが「生かされていること」をどのように伝えるか、ということを再提示するものだった。
ホームでのライヴということもあり、武道館よりもライヴハウス的親密さを感じる瞬間がいくつもあった。アートへのこだわりと天文学的な視点をベースにアルバムごとに音楽的試みを変容させてきた彼らだけに、曲ごとに様々なイメージを喚起させられた。エモーショナルな楽曲が新たに生まれ変わるのも感慨深かったものの、個人的には「イコール」のベースラインとじわりと高まってく高揚感に震えた。
佐藤がアップライトベースに持ち替えてインスト曲のコーナーで彼らのジャズ、ジャムバンド的側面を提示した後、14年前の楽曲で今回のツアーで初披露し“今の時代にぴったりの曲”と紹介された「酸化空」。その後、中盤での映像や照明と見事にシンクロした楽曲の数々は、彼らが歴史・時間というものをどのように描こうとしていたことを強く印象づける。“137億年前に世界がはじまり、すべては最初がひとつだった”と大木は「ALMA」を歌い終えた後、オーディエンスに語りはじめた。“生きるとはなにか、そういう悩みを持つとおもいますが、生きるというのはそれだけで意味がある”、バンドがその多彩な楽曲で伝えてきたメッセージをあらためて言葉で伝える。ラストの「ある証明」「飛行」そして「Your Song」というアッパーな楽曲を立て続けに鳴らし、ファンへの感謝の気持ちをストレートに伝える姿に清々しさを覚えた。
アンコールに応え「world symphony」「アレグロ」をプレイした後、「NO NUKE」のTシャツを着た大木は“どうしてもやりたい曲がある”とさいたま=彩の国にちなみ「彩-SAI」そして「廻る、巡る、その核へ」 を演奏。
メンバーが舞台をさり、映画のエンドロールさながらにスクリーンにクレジットが流れる。Special Thanksとして「ここに集まってくれたすべての方々へ」という言葉に、満場から拍手が巻き起こった。愚直に音楽とアートで「生きること」を表現し続けるACIDMANの心意気を確かに感じた夜だった。
Text : Kenji Komai
Photo : TEPPEI
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