2012.5.5 (sat) SHIBUYA-AX, Tokyo
サウンドの革新性よりもエモーションを──。avengers in sci-fiがニューアルバム『Disc 4 The Seasons』で目指したのは、端的に形容するならそんな世界だったのではないかと思う。ストリクトにエレクトロニックな音色と3ピーズバンドとしてのダイナミズムをぶつけてきた彼らの新作リリース直後となるAXの公演において、それはより顕著に感じられた。
ライブは意表をつく冒頭の演出から、「Yang 2」でスタート。アルバムのキーとなる〈和〉のタッチにより、オーディエンスを引きこんでいく。野性的なビートは、例えばバトルズがエスニックなリズムに接近していったように、音楽的探求とミクスチャー感覚の結果とも言えるかもしれないが、「狂ったように踊ってください」という木幡の言葉もあったけれど、アベンズの場合、そのプリミティヴなビートにより、楽曲に投影された喜怒哀楽がより皮膚感覚で迫ってくる。
「Skywalker」のようなニューレイヴ以降のシンセ感の進化型と呼びたい疾走感や、「Two Lone Swallow」でのビルドアップされたリズムセクション。AXのフロアに雪を降らせる心憎い演出とともに披露された「Wish Upon The Diamond Dust」など、スクリーンの花火をバックにした「Sonic Fireworks」など、アルバムの楽曲の完成度はやはり高かった。そのアッパーでテクニカルな音に、アベンズは、郷愁や感情の機微をにじませる。季節感を決して言葉だけでなく、メロディやサウンドのテクスチャーで表現する。「人気のあるバンドみたいだな」と木幡が照れを隠すようにMCで語っていたけれど、自らの姿勢を保ったまま、AXのような1,000人以上の規模のハコでも、新宿のMARZといった数百のキャパのステージで汗だくになっているのと変わらないステージングをする彼らを頼もしく感じる。
本編ラストの「The Planet Hope」は狐のお面をかぶったドラム隊が登場し、メンバーとともにレディオヘッドばりのトライバルなドラム合戦。そこに和太鼓も加えられているのがアルバムとツアーを繋ぐ世界観を象徴していた。
アンコールではForce 4 The Future Tourの追加公演として渋谷クラブクアトロのライブが7月19日に決定したことが発表された。分厚いサウンドにある奥にあるやんちゃというか少年性がよりくっきりと浮き彫りになったavengers in sci-fiのライブ、いま見逃さないほうがいい。
Text : Kenji Komai
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
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