2009.6.12 (fri) @ Akasaka BLITZ, Tokyo
傑出したテクニックと破壊力をもって、ここ数年で熱狂的な評価と人気を獲得し、もはや定石となったSOIL&"PIMP"SESSIONSの海外公演。今年も7月よりフランス、デンマーク、UK、オランダ、クロアチア、セルビア、ドイツと周るヨーロッパ・ツアーに先駆け、その壮行会とも言える日本でのライヴが行われた。
前作『PLANET PIMP』発表以降、とどまることなくアグレッシヴにライヴ、レコーディング、あるいは椎名林檎の『三文ゴシップ』制作への参加などでスキルを磨き上げてきたシクステット。そうした高いミュージシャンシップが、ともすれば"渋い技巧派"へと転化してしまいかねないところを、彼らは観衆を扇動し楽しませることへと、どこまでも収斂(しゅうれん)させてきた。その精神こそが、現在の向かうところ敵なしの存在たらしめている要因であるだろう。
ほぼ完成しているという新しいアルバムから、この夜いち早く披露された新曲「PIG BAG」にも、バンドがいま持っている"攻め"のモードが極めて顕著に表れていた。ニューウェイヴ・クラシックとして名高い「PAPA'S GOT A BRAND NEW PIGBAG」を原曲とした硬質なファンクネスを保ったまま、SOIL流の破壊力たっぷりのダンス・チューンとして、みごとな解釈を施しているのだ。これは海外のドでかいフェスティバルでもきっと強烈なツカミとなるナンバーに違いない。
もちろん、そうしたロック/パンク的なダイレクトな高揚感を増している一方で、彼らなりのユニヴァーサルなラヴソングともいえる「MO' BETTER BLUES」や、本編ラストの「SUMMER GODDESS」では初夏の季節にふさわしく元晴とタブゾンビがスタンダード「SUMMER TIME」のフレーズを織りこむといったストレート・アヘッドなジャズの要素も忘れてはいない。さらには、GILLES PETERSONが惚れ込むのも納得のソウル/ラテンジャズからアシッド・ジャズへの系譜に連なるグルーヴ感は心憎いばかりだ。
欧州遠征の後は、"FUJI ROCK FESTIVAL'09"、"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2009 in EZO"と国内の夏フェス出演も決定しており、9月には待望のニュー・アルバム『6』、そして全国ツアーも決定している。そんな怒濤の攻勢に先駆けた後半戦のスタート・ダッシュさながらの、彼らのオルタナティヴな存在感を今さらながら誇示したパーティだった。
そしてもちろん、終盤社長に「今日はおまえらの勝ちだな!」と言わせるほど、この日のオーディエンスと自ら貪欲に楽しもうというエネルギーはすさまじかったことを最後に加えておきたい。
Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
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