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LIVE REVIEW

"Hostess Club Weekender"

2013.2.2 (sat) & 3 (sun) @ Zepp DiverCity, Tokyo
ACTs :
Day1 : VAMPIRE WEEKEND / BAND OF HORSES / PALMA VIOLETS / UNKNOWN MORTAL ORCHESTRA / FIDLAR
Day2 : DIRTY PROJECTORS / BEST COAST / ULTRAISTA / RA RA RIOT / VILLAGERS

通算4回目、そしてZepp DiverCity Tokyoでは2回目の開催となるHostess Club Weekender。インディー・ファンにとっての最高の週末の楽しみ方ともいえるフェスティヴァルだがお馴染みとなったサイニング・セッションも今回は全ての参加アーティストが行われ、アーティストとファンの距離の近さゆえか、回を重ねるごとに会場のフレンドリーなムードが増している。


Day1 : 2013.2.2 (sat)

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初日の最初に登場したのはLA発の4人組FIDLAR。フロントのザックはステージ上をもんどりうちながら、レイジーな歌を聴かせる。スラックなムードを醸し出しているものの、ガレージーなプレイのなかに実はかなりスキルフルなバンドであることを伺わせる。「チープ・ビア」をはじめ歌詞のテーマはとことんスケーターの日常といった感じでゆるいけれど、楽曲の意外な多彩さのなかにビシっと通った筋が、バンドの基礎体力を感じさせて頼もしい。ひょっとして若きビースティー・ボーイズがいまバンドをやっていたらこんな音を出してるんじゃないか、というようなポテンシャルを感じてやまないアクトだった。


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続くUNKNOWN MORTAL CITY ORCHESTRAは、2011年にリリースされたファーストが決して派手ではなかったものの完成度の高いアルバムで、リリースされたばかりのセカンドもこれまた良かった。果たしてライヴも、スリーピースであの音源の柔らかなサイケデリアを再現していることにうならされた。ヴォーカル・ニールのハイトーン、浮遊感溢れるベースと深いリヴァーヴを基調とし、不穏さと多幸感の両方を表出する。どの楽曲も掴みどころのない幻惑を持ちながら、メロディのフックが親しみ易く、日本のリスナーにも今後ますます中毒患者を増やしていくことは間違いない。


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英国メディアのハイプは、それも含めて楽しむものというのはUKロック好きなら当然分かっていると思うけれど、ラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが1曲聴いて即契約を決めたというPALMA VIOLETSも、そんな期待感を寄せずにはいられない。シドの「Something else」に乗って登場した3人のファースト・インプレッションはとにかく若い!ルードさと抜けの良さを持つソングライティング、ギターのサム・フライヤーのスコット・ウォーカーを思わせる声と、ベースのチリ・ジェッソンのやけっぱちなボーカルがコントラストを見せ、このケミストリーがこのバンドの魅了だと分かった。ステージに上がってきたオーディエンスとハグを交わし、客席にダイブする姿に、荒削りながらもスター性を感じずにはいられなかった。


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壮大な自然が映されたバックドロップとともに現れたBAND OF HORSES。まさしく絵に描いたようなスケールの大きなアメリカン・ロックのギター・アンサンブルを鳴らす。とはいえWILCOと同じく、オルタネイティヴな感覚が、彼らを単なるオールドウェイヴにはしていない。ミッドテンポのセンチメンタルなナンバーをここまでしっかり聴かせて観客をのらせてしまうのはさすがだ。そしてタイトなシルエットとブーツできめた彼らのピースフルでアットホームな空気をライヴで体感してみると、想像以上にエモな感覚が彼らの曲のベースになっていることを再確認したのだった。


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そして初日のヘッドライナーは待望のニューアルバムがこの春リリースされる報が届いたばかりのVAMPIRE WEEKEND。ASAP Rocky「Fuckin' Problems」いう、ダンス・ミュージックにも常に目ばくせの効いている彼ららしい〈分かってる〉SEとともにステージに現れる。またたく間にワールドワイドなバンドに成長した4人は、オーディエンスの期待に100パーセント応える全くぬかりないパフォーマンスを見せてくれた。新作『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』からの新曲は1曲のみだったものの、その「Unbelievers」がまた、VAMPIRE WEEKEND節とも言えるカラフルでどこかインテリジェンスを感じさせるパーフェクトなポップソングだった。アンコールで「今度はアルバムを持ってくるよ」と語った以外はエズラもほとんどMCせず、ラストの「traditional Vampire Weekend Good-by song」こと「Walcott」でアンコールを締めくくるまで駆け抜けた。


Day1 : 2013.2.3 (sun)

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2日目のトップVILLAGERSは、ベース、ギター、ドラム、キーボードという編成を従え、コナー・J・オブライエンのジーニアスぶりをたっぷりと味わうことのできる内容だった。端正ではあるけれど、静かな熱を感じさせるソングクラフトは、弾き語りのスタイルよりも、こうしたフルバンド編成でこそ際立つのかもしれない。アコギ一本で十分成立するリリシスト、ソングライターとしての力量に甘んじることなく、積極的に現在進行形のビートに取り組んでいることも伝わってくるサウンドだった。来月日本で発売される新しいアルバム『アウェイランド』も期待したい。


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RA RA RIOTのパフォーマンスを観てまず感じたのはライヴバンドとしての骨格の確かさだった。キラキラとしたアレンジメントとストリングスのクラシカルなムードが取り沙汰されてきたが、MCでも語られていたようにニューアルバム『ベータ・ラヴ』をリリース後のワールドツアー中のこの東京でのステージには、幾多のパフォーマンスで揉まれてきたタフネスが満ちていた。コンパクトなフォルムながらそこに躍動感をにじませ、限りなくポジティブになれる曲の世界観と相まって、ラストのアンセム「Boy」まで、メンバーが生み出すエネルギーは音源とはまた異なるカタルシスをリスナーに与えてくれていたと思う。


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ナイジェル・ゴドリッチの新たなプロジェクトultraistaは、来日直前にドラマーのジョーイ・ワロンカーに予定より早く子供が生まれたため、シンガーのローラ・ベッティンソンとの2人でのライヴセットで登場。急遽準備された編成のため、序盤はいささかぎこちなさが感じられたものの、ナイジェルがこのバンド立ち上げを突き動かしたもの、ローラの生の声にある無垢とエキセントリシティを十二分に堪能することができた。一聴してナイジェル・ワークと分かる打ち込みの音色とシンセを駆使しながら、アルバムが待たれるAtoms For Peaceにも通じる平熱のエレクトロニック感の上でローラが自由に泳ぎまわる様は、野外の大型フェスでもう一度観てみたい、と思わせる心地よさがあった。


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2011年のフジロック出演はあったものの、東京公演は初めてとなるBEST COAST。苗場の時点で既に新たなサーフ・ロックのムーヴメントの先鞭としての存在感を見せつけていたが、お台場では既に油の乗り切ったといっても大げさでないくらいの安定感に満ちていた。ボーカル・ベサニーの姉御っぽい立ち振舞にもノックアウトされたけれど、シューゲイズ経由の分厚いガレージ・サウンドの完成度は抜群。加えて、ざっくりとリフを刻むベサニーとよりリリカルにフレーズを決めていくボブという、2人のギターの絡みやバランスをこの目で再確認できたことも嬉しかった。最後はもちろん「Boyfriend」で80年代アメリカ青春映画さながらに締めくくった。


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昨年10月の単独公演に続いての来日を果たし、日本での人気を確固たるものとするDIRTY PROJECTORS。『Swing Lo Magellan』は何度聴いても新しい発見のある傑作だけれど、そのオープニングを飾る「Offspring Are Blank」で幕を開けた今回のパフォーマンスも目を見張るものだった。マジカルなコーラスワーク、複雑なビートを次々と繰り出すリズム・セクション。そして途中「昨日のVAMPIRE WEEKENDの新曲良かったね」と盟友にリスペクトを寄せるデイヴィッドの言葉にもぐっときた。圧巻は「Useful Chamber」のアクロバティックな展開、そして本編ラストの「Rise Above」からアンコール「Dance For You」「Cannibal Resource」の流れはほんとうに鳥肌ものだった。何よりも感動したのは、超絶なプレイを決して難解ではなくするりと親しみやすく聴かせてしまう志、ひとつひとつの楽曲を丁寧に慈しむように奏でていく彼らのアチチュードだった。

次回のHostess Club Weekenderは6月に会場を恵比寿ガーデン・ホールに戻し開催が決定。一足早い夏フェス、といった様相になるのか、果たしてどんなラインナップになるのか、4ヵ月後の週末は空けておこう。

Text : Kenji Komai
Photo : Kazumichi Kokei




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