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LIVE REVIEW

AA= "TOUR #3"

2012.5.10 (thu) Akasaka BLITZ, Tokyo

AA=、上田剛士の音楽は当初から社会的なメッセージを持ったものだが、今回の3rdアルバム『#3』で打ち出された、既得権益にまみれ窒息状態の日本の現状を暴き出すことになった東日本大震災以降の現実世界が背景にあるヴィジョンは、さらに強靭に不条理を許さず、闇も光もすべて抱えてハイパーなスピードで生きる意志において、過去のそれよりリアルだ。ライヴにもそれなりの変化を予感する。

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ベートーヴェンの第九交響曲の歓喜の歌にエフェクトがかかりビットが狂ったように暴走し暗転、『#3』のオープニング「INTRO」でサンプリングされた政治家の会見文言がスクリーンに映しだされメンバー登場。新作では上田が全ヴォーカルを担当したが、ライヴにはこれまで通り白川貴善も参加。マニュピレーターを含む5人はなじみになった豚のマスクを装着している。怒号と叫声をかき消すような、音源を遙かに上回る圧で「WORKING CLASS」を投下。アップデートされたデジタルハードコアが、リアルなレベルミュージックとしてオーディエンスを鼓舞する。そう。曖昧だった支配と被支配の関係は否応なしにあぶり出されたのだから。が、それは被害者意識じゃない。実感できる「怒り」だ。それがより今のAA=の音楽と聴き手の関係を抜き差しならないものにしているのは間違いない。

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BLITZの空気が明らかに振動しているのが自分の顔のうぶ毛で感じられるほどの圧を放ちながら3曲一気にプレイし終わったあと、マスクを外し、上田が「みなさんお久しぶりです。難しくて、困難で悲しい2011年でしたが、そんな中でも前向きな人たちの影響を受けて作ったアルバムなんで、そういうパワーが入ってると思います」と珍しく作品に込めた思いを語り、許せないシステムと「この曲は戦う曲だぜ!」と力強く叫び、バウンシーなシーケンスと踏みしめるようなビートの「sTEP COde」へ。男気溢れる白川のシャウトと上田のイノセンスの塊のようなシャウトがかもし出すいい意味でのユナイト感。悲しみを押し流すような透明な轟音と「People, stand up!!」のリフレインが美しい「Dry your tears」、ライヴではヴォーカルにエフェクトをかけずにストレートに届けたシンセポップ的な(とはいえ物理的には重いのだが)「coLors」。ここまで『#3』の曲順通りに駆け抜けた。

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一旦メンバーははけ、スクリーンには過去の戦争や軍隊の映像が。再びメンバーが登場し上田が「GREED…」と囁き、シンセのリフが前後し、生音と有機的に肉体と精神を揺さぶる。時にベースのネックを掴み棒立ちになり、時に拳で胸を叩きその腕を差し出す上田。重力から解き放たれたような彼のアクションは不変だが、この日はそこに思いを乗せる場面が多く見られた。その後もこの日一番のクラウドサーファーを生んだエモーショナルな「LOSER」、AA=のエクストリームな側面の極北ナンバー「I HATE HUMAN」など過去2作のアルバムからも陰影に富んだバランスでメニューを配置。終盤に向かってはハイパーでピースフルな革命を喚起するような「PEOPLE POWER」、思わずシンガロングが起こるメロディックな「DREAMER」が連投され、自ずと『#3』の流れと同様、怒りや悲しみが自然な流れで前進へのエネルギーに転化するグルーヴの中にに自分自身がいることに気づいた。

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本編ラスト前のMCではAA=Aidでの活動にも触れ、支援している福島県いわき市の地域活性プロジェクト“MUSUBU”のスタッフへ「今日一番の拍手を!」の声に会場から長く温かいエールが送られた。そのムードそのままに立ち上がろうとする人、まだ闇の中にいる人の心を繋ぐ本気のポジティヴソング「We're not alone」へ。

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上田剛士がやっていること自体は、THE MAD CAPSULE MARKETSの頃からサウンドの骨組みも思想の柱も不変だ。それが開かれた表現になって届く今、このライヴをより多くの人に見てほしい—「PEACE!!!」など3曲のアンコールも含め全18曲、約1時間半のあいだにその思いは確信に繋がった。7月11日には話題の映画「ヘルタースケルター」のエンディングテーマとして書き下ろした「The Klock」のシングルリリースも決定。2012年、AA=の音楽がより広いフィールドで多くの人に気づきを与えるだろうことにワクワクする。

Text : Yuka Ishizumi


Set List
01. #3 INTRO
02. WORKING CLASS
03. DISTORTION
04. posi-JUMPER
05. sTEP COde
06. Dry your tears
07. coLors
08. GREED...
09. meVIR
10. LOSER
11. ROOTS
12. I HATE HUMAN
13. PEOPLE POWER
14. DREAMER
15. We're not alone
-ENCORE-
16. 2010 DIGItoTALism
17. FREEDOM
18. PEACE!!!




PREMIUM : AA= 『#3』 Interview
LIVE REVIEW : AA= "TOUR#2"
PREMIUM : AA= 公式海賊版放送
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LIVE REVIEW : AA= "#2 Release Special Live"



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