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LIVE REVIEW

clammbon2009 "Re-clammbon tour"

2009.6.8 (mon) @ NHK HALL, Tokyo

アルバム『Re-clammbon2』のリリースにともなっての"Re-clammbon tour"。だが、今回のツアーがアルバムの"再現"を目的とするものではないことはあきらかだ。既存の楽曲の"最新型の解釈"を3人のメンバーが今現在のセンスとスキルで表現する、というのが"Re-clammbon"のコンセプトであるとすれば、楽曲の"最新の形"を実現することができるのが、瞬間瞬間が流動していくライヴという場であるからだ。

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ライヴは、今回のバンドの"肉声"を届けるかのような、シンプルで力強いなアンサンブルによる「Re-Re-シカゴ」でスタートし、続いて、アッパー・ポップな「Re-THE NEW SONG」へ。あまりに楽しくて、泣けるというポップスの最上級の喜びを満載。2曲目にして、早くも涙腺がアブナイ(笑)。なお、今回のバンドは、過去にもクラムボン・ツアーに参加経験アリのベテラン・キーボーディスト、皆川真人と、アルバム『Re-clammbon2』の共同プロデューサーでもあるギタリスト、美濃隆章(toe)の2人を加えた5人編成。"ギタリストのいるクラムボン"は、今回のツアーの大きなトピックだが、サウンド、佇まいともになんとも自然に溶け込んでいて、これまでもずっとそうだったかのようなナチュラルさ。明らかにノリ一発な、グルーヴィなロックンロール「Re-Bass,Bass,Bass」での、演奏のハマり具合も印象的だった。

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「信じられねー。NHKホールだよ。数々の"うたダマシイ"がここにはあるんだ。今日は、いいライヴにならないはずがない!」という原田郁子のMCに続き、"3人クラムボン"コーナーがスタート。「GOOD TIME MUSIC」「はなればなれ」「波よせて」。タイトに引き締まり、ストイックな姿勢も垣間見えつつ、なおかつ温かいという、この3人ならではのアンサンブルに耳を奪われる。独創的な和音、才気溢れるソロ、不意打ちの転調……。ハイレヴェルな創意工夫が満載されている一方で、圧倒的な歌心が聴き手の心を溶かしていく。冒頭の数小節でせつなさがあふれ出す、このコーナーラストの「便箋歌」に胸を打たれない聴き手がいるとしたら、ぜひ会ってみたいものだ。

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メンバー紹介に続いては「Re-意味はない」。ギター&ベースのフィードバック・サウンドが渦巻くフリーキーかつ混沌とした轟音に、郁子のスクリームが追い打ちをかける。そして、美しいピアノとせつないヴォーカルが優しい岡村靖幸のカヴァー「カルアミルク」を経て、コンサートはクライマックスに突入。伊藤大助の怒濤のドラミングが大団円に据えられた「Re-雨」、ミトと美濃の天を仰ぎながらの激しいヘッド・バンギングが客席を興奮させた「ララバイ サラバイ」、そしてドラマチックかつ音楽的な緩急がダイナミックに展開する「id」と大曲が連続し、バンド・サウンドは壮大なオーケストレーションへと昇華。大波が2度、3度と押し寄せる展開に、もはや観客は感動の渦に飲み込まれるのみだ。

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デビュー10年目であることに触れ、さらに"音楽というなんだかわからないもの"にちょっとずつ近づいている実感がある、という郁子のMCに続いては「バイタルサイン」。確信に満ちた力強い歌と演奏が、客席を問答無用に揺さぶる。曲が終盤を迎えるや、ベースの轟音とともにアンサンブルが崩壊、テンションがアガりまくったミトがベースをアンプに突き刺すという事件も! そして、アッパー・ロッキンな新曲「NOW!!!」に続いて、いよいよ本編ラストの「Re-Folklore」がスタート。つぶやくような、しかし訴求力に溢れたヴォーカルに、いきなり胸が鷲掴みにされる。途中、メンバー3人がステージ前方に出てきて、会場全体で大コーラス、という場面も。NHKホールがピースフルな幸福感に包まれ、目頭が熱くなった。

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アンコールは計2曲。10年前にメンバー3人でNHKホールで矢野顕子のコンサートを観て「俺たちどうやったらここでライヴができるようになるんだろう」とミスドで(笑)話したという、ミトのMCに続いて、まずは超エレクトロ・ダンス・アレンジによる「Re-Re-サラウンド」が炸裂。そして、続く「Re-アホイ!」では、なんと郁子がNHKホール備え付けのパイプオルガンを演奏するサプライズが実現! 美しいギターのアルペジオと、荘厳なパイプオルガンが溶け合う音響空間を郁子のヴォーカルが上昇していき、そこにエレクトロ・サウンドが融合することで、圧倒的な音の奔流が噴出。演奏終了後の静寂の中で呆然と立ち尽くしていたすべてのオーディエンスが、ミトの拍手を合図に"我に返った"と書けば、その衝撃の大きさが伝わるだろうか。

至福の感動に満ちた約2時間30分。そして"Re-clammbon"は、この3人がいる限り、つねに現在進行形の形でこれからも永遠に続いていくのだ。

Text : Ichiro Chiba




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