2012.6.16 (sat) Hibiya Open-Air Concert Hall, Tokyo
ACTs : SOIL&"PIMP"BIG BAND(JAZZIN' SUITE) / SOIL&"PIMP"SESSIONS(ROCKIN' MOTION)
そういえば5年前の野音も雨だった。ソイルと野音と雨というのは切ってもきれない組み合わせなようだ。でも、この三角形には、とてつもなく何かが起こる予感がする……と勇み会場に入り目の当たりにしたのは、想像以上にゴージャスで真摯な音楽への愛だった。
2部構成によるこの夜のライヴ、第1部は川崎太一朗(トランペット)類家心平(トランペット)廣瀬貴雄(トロンボーン)高橋保行(トロンボーン)後関好宏(サックス)向井志門(サックス)武嶋聡(サックス)が加わったホーン・セクションを擁する総勢13名によるSOIL&"PIMP"BIG BANDとしてのパフォーマンス。昨年のアルバム『MAGNETIC SOIL』に収録されたブレッカー・ブラザーズのカヴァー「Some Sunk Funk」からスタート。効果的に繰り出されるソロパートのダイナミズムにやられていると続く「マクロケ」ではYOUR SONG IS GOODのサイトウ"JxJx"ジュンがゲストで登場し、社長とのキーボードバトルを繰り広げる。「マシロケ」「Fuller Love」というジャジーでスリリングな流れもビッグバンドの編成により高揚感がさらに強まる。ラストの「POP KORN」で再びJxJxが現れ、社長がトロンボーンをプレイと、わずが6曲がもったいないほどのまとまりと可能性を感じさせるアクトだった。そう、いつものソイルが破壊だったとしたら、このビッグバンドは「調和」を強く感じさせるものだった。
衣装もスーツで統一されスタイリッシュな前半から一変、バックの赤幕が落とされ始まった第2部は、6人のソリッドでストイックなアンサンブルが鈍い光を放つ。夏の到来を感じさせるブリージンなジャズ・ファンク「Harbor」「SAHAR」「Fantastic Planet」の流れは格別。そして今宵のさらなるスペシャルとして、椎名林檎がステージに現れ「カリソメ乙女(DEATH JAZZ ver.)」の妖艶さが瞬く間に野音のフロアを包みこむ。続いて、「特別な日ですからぜひみなさんと一緒にセッションしたいと思います」というMCの後、「MY FOOLISH HEART~crazy on earth~」。の曲をライブで聴くことを待ちわびていたリスナーも多かったことだろう、ステージにレーザーによる日本語訳詞が投影され、ステージと客席が一体となってこのメロウでソウルフルなナンバーを歌った。そしてやはりこの季節に欠かせない「Summer Goddess」で本編の幕は閉じた。
アンコールではサックスの後関好宏とトロンボーン高橋保行が再び登場し「殺戮のテーマ」「SATSURIKUニューウェイブ」。主役はあくまでオーディエンスだ、ということを訴え続けるSOILだけれど、それは安易で無節操なサービス精神によるものではない。常にトライを繰り返しながら、ソイルの持つDEATH JAZZ道を磨き上げる、その姿勢にあらためてひれ伏すしかなかった。
Text : Kenji Komai
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