2013.6.21 (fri) @ Shibuya O-EAST, Tokyo
ニュー・アルバム『街の14景』発表とともに敢行中の全国ツアー、「ツアー中最多の動員」(荒井)でソールド・アウトを記録したO-EAST公演は、その新作と同じ「いつかの」「ノード」という流れの、ゆったりと立ち上っていく高揚感からスタートした。
剥き出しの簡素なセットのなかでプレイされる新曲を聴くと、アルバムでこだわった空気感をそのままステージに持ってくるというよりも、ライヴならではのアグレッシヴさで音の塊としてアプローチしようというアプローチの変化が感じられる。初期のバンアパを代表する「higher」からシームレスで続く「12月の」そして「仇になっても」の展開は、今回のツアーならではと言えるだろう。そしてエモーショナルな「light in the city」のアップリフティングな感覚はこれまでの最高値だった。
MCでドラムの木暮がジョン・ロビンソンよろしくTRF「EZ DO DANCE」を熱唱するという内輪ネタを披露して場内の喝采を浴びつつ、バンドの演奏は次第に熱を増していく。彼らの住む街を訪れて、自分たちも幼馴染の4人と戯れているような、そんな感情は「AKIRAM」、原のベースがカオティックさを増長させるインスト「師走」でさらに高まっていく。
強靭なアンサンブルを駆使しながら、そこには決して突き放すようなクールさではなく「一緒に遊び続けよう」というバンアパの包容力は、バンドが次のステップに進んでいることを感じさせてくれた。
「夜の向こうへ」からの後半はその開放感がさらに高まり、本編ラストの「8月」の爽やかさまで続いた。バンアパは秋にアルバムツアーの続きを行うことが決定。7月1日にその詳細が発表されるという。荒井はこの日、MCで「高校の時の同級生も観に来ている」と語り、10年以上続けてこられたことの感謝をオーディエンスに語った。「バンドをやりたくなるバンドこそが最高のバンド」という賛辞が許されるなら、the band apartこそがその筆頭であるし、彼らもそれを自覚しているのではないだろうか。
東北ライブハウス大作戦への協力も募りつつ、「俺はTOSHI-LOWさんみたいに説得力ないけど」と荒井はこぼしていたけれど、彼らのバンドに取り組む態度こそが、音楽を通して人へ手を差し伸べる人を増やすことに繋がるはずだ。ダブル・アンコールに応え、荒井がドラム、小暮がフロントに立ち、mouse on the keysへオマージュを捧げるファストなパンクナンバーで大団円。友達と夜を徹して遊んだ後の、あのちょっとしたリラックスした感覚が漂ってくる、なんとも言えない心地良い余韻がそこにはあった。
Text : Kenji Komao
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
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