New Audiogram: オルタナティヴミュージック ウェブマガジン

EDITOR'S CHOICE:エディターたちが厳選した最新レビュー!

LIVE REVIEW

SAKEROCK "げんざいのぐうぜん"

2010.4.1 (thu) @ LIQUIDROOM ebisu, Tokyo
ACTs : SAKEROCK / Sunshine Love Steel Orchestra / group_inou / outside yoshino

SAKEROCKが主宰するイヴェント"げんざいのぐうぜん"。LIQUIDROOMの扉を開けると、すでに心地いい音楽が流れていた。ステージ横を見れば、YOUR SONG IS GOODのサイトウ "JxJx" ジュンがレコードを回している。開演前からパーティはゆるゆると始まっていた。

トップに登場したoutside yoshinoは、eastern youthの吉野寿による弾き語り。すっかり和んだフロアの空気を引き裂くようにエレキギターをかき鳴らし、「それに殺される前にあの空を撃て」を歌い出す。「共感なんていらねえよ」という絶唱に圧倒される観客たち。「楽屋でも、今ここでも、今日の僕は浮きっぱなしです。でも小学校のときも中学校のときも……僕はずっと浮きっぱなし」。そんな言葉から始まった「ファイトバック現代」は、怒りをむき出しにした歌声に胸ぐらを掴まれて拳を握るしかなかった。あまりのテンションでギターの弦もブチ切れたところで、SAKEROCKの星野源が登場。ここで吉野の表情もふっと和らぎ、最後はふたりで共作した「たいやき」を披露。ふたりの木訥とした声が優しく重なった。

続いて登場したのはトラックメイカーのimaiとMCのcpからなるgroup_inou。imaiが"ファミコン世代のエレクトロニカ"と言うべき美しくも凶暴なサウンドを奏で、cpは尖った言葉を次々と放っていく。「今アルバム制作中で、ふたりともノイローゼ気味なんで(笑)」というimaiの言葉を始め、MCでは終始毒づきっぱなし。客に絡んだり、グチったりしつつ、「PR」や「COMING OUT」といった必殺曲を繰り広げる。さらには「新しいアルバムからの曲を。っつっても俺らを知らねー人ばっかじゃ意味ねえけど(笑)!」と吐き捨てて、新曲を披露。BPM上げまくりのトランシーなトラックに乗り、cpがアジテーションのように攻撃的な言葉をはき出していく。6月にリリースされるニュー・アルバムは相当テンションの高いものになりそうだ。

3組目は田村玄一、LITTLE TEMPOの土生剛、Buffalo Daughterの大野由美子からなるスティールパン・ユニット、Sunshine Love Steel Orchestra。3人の前には形も音色も違うスティールパンがところ狭しと並んでいる。1曲目はCARPENTERSのカヴァー「CLOSE TO YOU」。聴き慣れたメロディがコロコロと乾いた音色で紡がれ、場内の空気が南国ムードに染めあげられる。「耳に優しい音楽を目指してます。花見の打ち合わせとかあれば遠慮なくどうぞ(笑)」という田村玄一のMCの通り、朗らかな音色で和みのひとときを演出し、最後はTHE SKATALITESのカヴァー「THE GUNS OF NAVARONE」のカヴァーで賑やかに幕。耳に優しいだけじゃなく、スティールパンの音色の華やかさや躍動感もたっぷり感じるステージだった。

100409_sakerock_01.jpg

トリはお待ちかねのSAKEROCK。この日はゲストも飛び道具もなしのオーソドックスな編成で、星野のマリンバもなし。4人は向かい合うようにしてステージに立っていた。1曲目の「老夫婦」からハマケンのヨレたトランペットの音色が脱力を誘い、2曲目の「穴を掘る」では星野が入りを間違えるというハプニングも。すかさず「源くんが緊張してハズしたりするとアガるね(笑)」とハマケンがナイスフォロー(?)。そしてユル~いMC、というかダベリを挟みつつ、『ホニャララ』の楽曲を中心に披露していく。とくに「今の私」のようにスロー・テンポな曲ほど、4人の"さり気に以心伝心"なアンサンブルの妙を感じる。リズムやコードといった楽典的な言葉では言い表せない、いい塩梅の温度感こそがSAKEROCKの醍醐味。終わらない放課後の空気に包まれていると、頭に巣くっている悩み事や心配事がゆっくりと霧散していくような気がする。

100409_sakerock_02.jpg

その後も「慰安旅行」や「菌」といった陽気な曲でまったりと踊ったり、"おいおい、楽屋でやれよ"と言いたくなるグダグダトークを堪能したり(とくにハマケンが披露した宮崎あおいのモノマネは爆笑もの。まったく似てません!)。ほんわかと丸い音に照らされ、黄昏れた気分でふと横を見ると、みんな夕焼けを見ているようないい顔をしている。

100409_sakerock_03.jpg

アンコールではハマケンのシャウトを伊藤がドラムで表現するという恒例の"対決"を経て、「生活」へ。がちゃがちゃと賑やかなアンサンブルで大団円を迎えたあとは、「今年アルバム、出ます!」という星野のさり気ない告知で3時間半のパーティは幕を下ろしたのだった。

Text : Reiko Tsuzura
Photo : Shinya Aizawa



EDITOR'S CHOICE LIVE REVIEW : "げんざいのぐうぜん"
EDITOR'S CHOICE LIVE REVIEW : "ホニャララのツアー"
PREMIUM : SAKEROCK ホニャララ Intervew + Talk Session
PREMIUM : 会社員と今の私 / SAKEROCK
EDITOR'S CHOICE LIVE REVIEW : 会社員と今の私と慰安旅行
PREMIUM : SAKEROCKハマケン+イースタンユース吉野 トークセッション



SAKEROCK OFFICIAL WEBSITE

New Audiogram: DISC REVIEW
LIVE REVIEW: MONTHLY ARCHIVES
LIVE REVIEW: SEARCH
LIVE REVIEW: ARCHIVES