2013.5.3 (fri) @ 日本武道館
1月にニュー・アルバム『EMBRACE』をリリースするも、川島の脳腫瘍治療のためライヴ活動を休止。復活後初となるステージが自身初めてとなる日本武道館、しかもデビュー15周年を経たアニヴァーサリー的意味合いも含めたライヴということで、開場前の客席に満ちる期待感は尋常ではなかった。そうしたオーディエンスの胸躍る感に、ストイックな姿勢を崩さぬまま応えた、文句のつけようのないパフォーマンスだった。
ライヴの序盤は『EMBRACE』のオープニングと同じく「Another Perfect Day」「Helter Skelter」「Broken Mirror」という流れで、このライヴが新作の世界観をステージであらためて伝えることがテーマであることを強く印象付ける。ステージ後方と左右に張り出した巨大なLEDスクリーンには、楽曲のイメージに合わせた映像がシンクロしていくなか、5曲目の「moning after」で初めてメンバーの姿が映る。
そして川島がアコギに持ち替え中盤で披露されたスローナンバー「Snow」続く「Embrace」のスケールの大きさ、そして演奏を終え、中野が胸に手を当てて深くおじぎをする姿に、このふたりが『EMBRACE』で提示したかった包容力なのではないかと思う。
ヒプノティックな「fogbound」からの後半は、じらしとその末の爆発力を兼ね備えた、アグレッシヴなブンブンの魅力を提示。これまでFUJI ROCK FESTIVALをはじめ数々の現場でこの曲を聴いてきたけれど、ここまで破壊力は初めてと言える「Moment I Count」グラマラスな「easy action」そして本編ラストの「kick it out」で両ウイングまで動きまわり演奏を続けるふたりに、90年代リバイバル華やかりし今、いたずらに過去に遡るのではなく、変化を続けてきた彼らのオリジネイターとしての挑戦へのリスペクトを感じずにはいられなかった。
特設サイトでも表示されていたタイムコードがスクリーンに映されたあと、メンバーが登場してのアンコール「nine」の開放感といったらなかった。『EMBRACE』にあるある種の<余裕>のようなもの、かつてのダンス・オリエンテッドなプロダクションや、やみくもな性急さのみに頼らず、歌ものとしても通用する楽曲制作へ挑戦を続けてきた彼らの結実のひとつの楽曲と言える。
あらためて、武道館公演だからといって安易なグレイテスト・ヒッツ的選曲にするのではなく、最新作のコンセプトをきちんとライヴの現場で届ける、という使命を持ってこの舞台に臨んだブンブンの気概には恐れ入る。しかし、このいい意味での頑固さこそが彼らの吸引力であり、存在価値なのではないだろうか。
ダブル・アンコールでは、川島が「みんなには心配をかけたかと思いますが、こうして元気で帰ってくることができました」とMCで挨拶。「STAY」で客電ほどの明るい照明のなか、再びスクリーンに映されたふたりの姿には、感無量の表情が伺えた。「最後に一言言わせてください、BOOM BOOM SATELLITESでした!」という川島の最後の挨拶に集約されているけれど、限りなくストイックに自分たちのポリシーを貫いてきた彼らの真摯な思いを受け止めることができた夜だった。
Text : Kenji Komai
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