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MO'SOME TONEBENDER "NO EVIL NIGHT"

THE DEADを迎えた前回から約1年ぶりの開催となるMO'SOME TONEBENDERプロデュースの不定期ライヴ・イベント"NO EVIL NIGHT"。今回のゲストは、3月に初のワンマン・ツアーを終え、勢いに乗る女性2人組バンド、MASS OF THE FERMENTING DREGS。"女性版9mm Parabellum Bullet"とも"ヘヴィーなチャットモンチー"とも評される彼女たちは、フェミニンな雰囲気を持ちつつも男性顔負けの爽快な轟音を放つバンド。MO'SOME TONEBENDERとの直接対決の行方は果たして？

まず最初に登場したのはMASS OF THE FERMENTING DREGS。左手にサポート・ドラマーの吉野功、中央にB&Voの宮本菜津子、右手にG&Choの石本知恵美という布陣で「せーの！」という掛け声と共にまず最初に演奏されたのは、中尾憲太郎をプロデュースに迎えた最新作『ワールドイズユアーズ』から「She is inside,He is outside」だ。

リフとリズムががっちりと噛み合った重厚なバンド・サウンドがフロアに向けて、ずどんと放たれる。ワンピース姿の宮本は、腰を落として、足を大きく開いて立つと、ベースをプレイしながら、髪を振り乱してヘッドバンギング。どう考えてもミスマッチな光景だが、まったく違和感を感じさせないのが、いかにも彼女たちらしい。続く「IF A SURFER」はTHE FLAMING LIPSやMERCURY REVを手がけるDAVE FRIDMANNプロデュースの1stアルバムより。加速するスピードとそのエネルギーを一瞬溜めた後の爆発感がすさまじい1曲。さらにはギターの石本が繰り出すカッティングにニューウェイヴなファンク感が宿る「かくいうもの」。ただし、いわゆるニューウェイヴ・ファンクとは違って、この曲のリズムは重心が低く、揺るぎない。そして、宮本のMC。高校生のころからファンだったというMO'SOMEとの対バンに感激し、3rdアルバム『echo』にサインをもらったという。

さらにライヴは続く。バンドが温まったところで披露されたのは「このスピードの先へ」と「青い、濃い、橙色の日」という新作の2曲。ヴォーカルとコーラスが2人のキャッチーな感覚をストレートに伝えていたが、それをリスナーに媚びることなく自然体で表現できるところもまたじつに彼女たちらしい。そして、演奏を終え、乱れた息を整えると、3曲が大波のように立て続けに押し寄せる。「delusionalism」、「skabetty」、「ワールドイズユアーズ」。さらに胸を借りたMO'SOMEとオーディエンスに感謝の念を述べ、エンディングに向けてテンションを上げる2人。披露されたのは「ハイライト」、「ベアーズ」。ヘヴィーにして、ファーストでハードな演奏ながら、終わってみれば、爽快なポップ感覚が残るパフォーマンスだった。

続いて登場したこの夜のホスト、MO'SOME TONEBENDER。徹底的に弾きまくったMASS OF THE FERMENTING DREGSに対して、彼らは弾かないすごみを「TIGER」の演奏で伝える。百々の語るようなヴォーカルとBLACK SABBATHを思わせる演奏がスリリングな「You are Rock'n Roll」でオーディエンスがステージ前に殺到すると、「アンハッピー・ニューエイジ」はイントロのベースでフロアから拳が上がる。

ドラマー藤井勇の名を呼ぶ歓声に「全部男やな」と百々がMCで返すと、2曲の新曲が立て続けに披露された。静と動の両極が1曲中に同居した前者は「クローズ」、後者はフラッシュが瞬くハードコア・パンク・ナンバー「TAKEI2000」だ。そしてグリーンの照明に照らされるなか彼らが飛び込んでいったのは「光触」から「黒になれ」、「パレード」、「パルス玉」、そして「ラジカル・ポエジスト」と続く新メドレー。それぞれの曲から旨味を抽出した演奏でフロアはカオス状態の盛り上がり。

さらにMCに続いて披露されたのは、冒頭部で一部観客から驚きの声が上がった初期の名曲「アナベル・リー」。弾き語りから泣きのハード・ロックへと天国の階段を登ってゆくと、その先に待っていたのはダビーなインスト「day」とアッパーなリフでテンションが上がる「ロッキンルーラ」。しかし、攻めの手を休めない彼らは「冷たいコード」から「ばちかぶれ」、「未来は今」、「HigH」という、この日、2曲目となるメドレーを展開し、その終わりでベースの武井が一言「一粒で何度も美味しい戦法」と語っていたが、この日披露された2曲のメドレーはその言葉どおり、フェスで大きな効果を発揮しそうだ。そして、ラストは白い逆光に照らされるなか、壮大な広がりを見せた「GREEN&GOLD」。アンコールではさらに「BIG-S」と「DUM DUM PARTY」が披露されたが、それでも興奮冷めやらないオーディエンスからは拍手、歓声が止まなかった。

青き情熱をバンド・サウンドで爆発させていたMASS OF THE FERMENTING DREGS、そして、メドレーを交えながら緩急を使い分けた巧みなクラウド・コントロールにキャリアの積み重ねを感じさせたMO'SOME TONEBENDER。今回の"NO EVIL NIGHT"は好対照な2組が音に込めた激しい感情で繋がった、熱い一夜だった。

Text : Yu Onoda
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)

MASS OF THE FERMENTING DREGS Set List
01. She is inside,He is outside
02. イーファ　サーファー
03. かくいうもの
04. このスピードの先へ
05. 青い、濃い、橙色の日
06. delusionalism
07. skabetty
08. ワールドイズユアーズ
09. ハイライト
10. ベアーズ

MO'SOME TONEBENDER Set List
01. TIGER
02. You are Rockn' Roll
03. アンハッピーニューエイジ
04. クローズ（新曲）
05. TAKEI2000（新曲）
06. 光蝕→黒になれ→パレード→パルス玉→ラジカル・ポエジスト
07. アナベル・リー
08. day
09. ロッキンルーラ
10. 冷たいコード→ばちかぶれ→未来は今→HigH
11. GREEN & GOLD
-Encore-
12. BIG-S
13. DUM DUM PARTY

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