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LIVE REVIEW

"Hostess Club Weekender"

2013.6.8 (sat) & 9 (sun) @ Yebisu Garden Hall, Tokyo
ACTs :
Day1 : MÚM / TEAM ME / THESE NEW PURITANS / INC. / INDIANS
Day2 : TRAVIS / EDITORS / WAVVES / LITTLE BARRIE /BRITISH SEA POWER

Day1 : 2013.6.8 (sat)

将来性が期待されるバンドから、今をときめくアクトまで、独自のラインナップで展開を続けるHostess Club Weekender。前回までのZepp DiverCityから再び恵比寿ガーデンホールに会場を移して開催された今回、1日目の最初に登場したのは4ADの新鋭INDIANS。

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INDIANS

リリースされたばかりのアルバム『サムウェア・エルス』からの楽曲を中心に、このイベントにも登場したPERFUME GENIUSにも通じる、美しく透徹したサウンド・プロダクションと伸びやかで中性的なヴォーカルを駆使しセットを展開。厚みのあるふくよかなシンセ感がまさに「旬」で、ベッドルーム・ポップ的な質感は濃厚ながら、ほのかにあたたかみがありエモーションを感じる。とりわけ「Lips, Lips, Lips」の高揚感は、単なる「ひとり感」とは異なる、開放感に満ちていた。演奏を終え深々と2回お辞儀をしてステージを去っていくその姿からも、彼の真摯な姿勢が伝わるパフォーマンスだった。


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inc.

続いて「10年代の音楽」として特集を組まれるなど最も期待を寄せられるinc.。簡単に形容してしまえばプリンスとシャーデーのソウルネスを4ADらしいメランコリーで増幅させたサウンド、といったところなのだがスタジオ・ミュージシャンを出自とする彼らのどこまでもダークな佇まいには目を見張った。客席からも「You guys are fuckin' awesome!」と声があがる。アルバム『ノー・ワールド』でも感じられたそのプレイヤビリティにふたりのファッションも相まって、構築された漆黒の世界に圧倒された。


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THESE NEW PURITANS

3番手のTHESE NEW PURITANSは、Salyuとのコラボレーションがアナウンスされていたが、いわゆるゲスト参加ではなく、全編を通してともに楽曲の世界観を完璧に作り上げていた。新作『フィールド・オブ・リーズ』では他のUKアクトの追随を許さないほどプログレッシヴな世界に突入しているが、バンドの基調にあるクラシカルで端正なアンサンブルに、〈声〉の可能性にチャレンジし続けているSalyuのヴォーカルが加わったステージングは、後半になるにしたがいカオティックな様相さえ呈していた。


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TEAM ME

そしてガラッとムードが変わり、バブルガムのようにカラフルなTEAM MEが登場。先日劇場上映も行われたドキュメンタリー映画『SAYONARA, ELVERUM...TEAM ME I JAPAN』で、彼らの親日ぶりは紹介されていたけれど、星空を描いたバックドロップを前に鳴らされるジャングリーなギターサウンドからは、とにかくひたむきさが伝わってくる。疾走感溢れる「Show Me」など代表曲はもちろん、アニメーションから飛び出してきたようなファンタジックな世界のなか、ラストにはヴォーカルのマリウス・ドログサス・ハーゲンが客席に降りて歌う姿には、内面の世界から飛び出さんとするバンドの心意気を感じてやまなかった。


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múm

初日のトリを務めるmúmは、彼らのソングクラフトの過程が手に取るように分かるステージングだった。ピアニカ、コーラス、ギター、リズムマシーン、音が立ち現れるときの「匂い」を彼らは確かに知っている。ループされる音の重なりのなか、復帰したギーザのコケティッシュなヴォーカルが際立つ。「初めてニューアルバムからプレイします」というMCの後演奏された新曲は、生音と電子音がオーガニックに絡まる実にmúmらしいナンバー。メンバーも「世界で最高のオーディエンスだよ!」と、久方ぶりの日本でのライヴに満足した様子で、あらためて、彼らのいい意味でもアマチュアリズムというか、音を奏でる楽しさを知っているからこそ鳴らせる多幸感が、フロアをどこまでも満たしていった。


Day2 : 2013.6.9 (sun)

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BRITISH SEA POWER

とにかく今回のHCWのラインナップの豪華さは特筆すべきで、この2日目はいきなりトップがUKインディ・シーンの顔役的なBRITISH SEA POWER。新作『マシーナリー・オブ・ジョイ』でも由緒ある正統的UKロックをさらにライヴ感強めに推し進めていたが、ステージ上の彼らはパンキッシュと形容したいくらい、予想以上に骨太。中盤で披露された名曲「Waving Flags」の高揚感といったら!何度もギターを抱え上げ歌うヴォーカルのヤンを始め、ライヴ運びのパワフルさと巧みさが印象深い。


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LITTLE BARRIE

LITTLE BARRIEは相変わらずタイトで、前半の「Precious Pressure」をはじめ小気味良いアンサンブルを見せつけてくれる。フロントのバーリー・カドカンは、今では少なくなった「ギター・ヒーロー」と言うべき、一挙手一投足から目が離せないパフォーマンス。ヴィンテージな音の組み立てのなかに挟まれるサイケデリックな質感が、バンドのある種の円熟を感じさせもして頼もしい。そして「Love You」での客席とのコール&レスポンスの一体感はやはり壮観だった。


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WAVVES

3番目に登場したWAVVESは、ガレージーな音の粒立ちのなかに、90年代のグランジやベスト・コースト周辺のサーフ・ロックとの共鳴を感じさせる3ピース。アルバム『アフレイド・オブ・ハイツ』は素晴らしいクオリティだったが、そのつんのめるような性急さは生で体感すべきだ。ヴォーカルのネイサン・ウィリアムズが「もしオレがダイブしたら後ろまで運んでくれるかい?」と笑うくらい、フロアの熱量も高かった。悪ガキ度高いパフォーマンスながら、そのワイルドなサウンドの中に確かな音へのこだわりが表現されていた。


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EDITORS

本国ではスタジアムクラスの人気を誇るEDITORSとTRAVISがこんなヴェニューで見られるというも今回の贅沢なところ。EDITORSを迎えたときのオーディエンスの待望感は半端なかった。「A Ton Of Love」など代表曲がプレイされるたびにフロアが沸く。長髪を後ろでまとめたヴォーカル、トム・スミスを中心とするステージングの安定感には風格さえ感じさせた。憂いを帯びながらも親しみやすい、彼らの楽曲のクオリティを存分に堪能することができるセットだった。


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TRAVIS

最後に登場したTRAVIS、夏にニューアルバムをリリースというニュースが届いている彼らの次の展開が期待されるライヴだったが、彼らが音楽を次の世代にどう伝えていくか、を自覚して音楽に臨んでいることをしっかりと感じることができた。新曲「Where You Stand」にある包容力に満ちたメロディラインとプロダクションはいわずもがな、MCでフラン・ヒーリィが、小さいころラジオが友達だったというエピソードを挙げながら「バンドはあなたを裏切るかもしれないけれど、楽曲は決してあなたを裏切らない」と彼の哲学をオーディエンスに語りかけるシーンは心迫った。アンコールに登場した彼らは、PAなしで「Flowers in the Window」を演奏。「君は百万人の中のたった一人なんだ」というメッセージとあの空間にあった多幸感はかけがえのないものだった。

Text : Kenji Komai
Photo : Kazumichi Kokei




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