2011.10.23 (sun) @ Shibuya O-NEST, Tokyo
日曜夕方の少々間延びした空気のなか、渋谷6Fフロアにオープニング・ゲストとして登場し、たちまちそのムードを立ち消したのは、JOHN ZORN主宰レーベル・TZADIKからのリリースやkuruucrewとのスプリットも出しているsajjanu。
LAGIDAGIDAの大竹と矢澤を擁する彼らがツインギタードラムからめまぐるしく繰り出されるジャンクなサウンドは、ザッパのように変態的でありながら、スラッシュ・メタルやら大仰なハードロックやらマスロック、スタジアム・ロックの気恥ずかしささえカットアップしており、「Rage Against the Machineにインスパイアされた」というMCもあながち冗談ではないと思わせる、不思議なメジャー感がある。それら一切合財を盛り込んだ30分1曲はなんとも痛快だった。
5Fのメイン・フロアに移動すると、女性スリー・ピースHBがステージに現れ、ダビーな導入から次第にポリリズミックなグルーヴが押し寄せてくる。
リズムの錬金術のごとき表現力豊かなパーカッション、土着的なベースライン、そして淡々とそして力強くリズムを刻んでいくドラムとグロッケンシュペルのチャーミングな響き。例えばTHE CLASHのレゲエ・サイドをイントロだけリエディットしたかのような気持ちよさがあり、さらにそこにソウル・ジャズ的な匂いも漂っていて、単なるジャム・バンドと形容できない表情をみせる。気負わないスタンスから、シンプルな音の組み合わせからこれほどまでに芳醇なうねりを生みだしてみせることに驚く。
そしてOPTRON伊東篤宏や根本敬のミックスCDリリースなど近頃見逃せない活動を続けるBLACK SMOKER RECORDSからskillkillsが登場。
ベース、ドラム、ギター、キーボードの編成から不穏なつんのめるようなビートを繰り出す。そこに吐き捨てるようなボーカルのアジテート感が加わり、凶暴さが増していく。その暗黒な高揚感はBLACK SMOKERのレーベルカラーともいえるが、根底にあるハードコア/エモなDNAと、後半になるにしたがって増幅されたブレイクビーツ的ノリの融合は極めてモダンに感じた。
トリとなるLAGITAGIDA。この企画のすべてを観てきて、当初持っていたOmar Rodriguez Lopezの作品にあるような、言いようのない混沌と熱みたいなものからバンドがどんどん開放されているように感じる。この日のステージはギターソロに顕著なように、音の粒子まで手に取れそうな細やかさとオプティミスティックな響きを持っている。
名刺がわりとなったファースト・ミニアルバム『CaterpiRhythm』が一般発売となり、さらにこの日は1月11日リリースのセカンド・ミニアルバム『CartaMarina』リリース、そして次回の"キャタピリズム #05"が本人曰く「無謀にも」ワンマン・ライヴとなることが発表された。
この日のラストはその新作からのナンバーが披露されたが、そのどれもが秀逸。ドライヴ感を増したアンサンブルに近年のロックのスタンダードとなったドリーム・ポップ的キーボードの音色を加えた曲、そしてストレートな疾走感とメロディの艶っぽさがストーリーを感じさせる曲、と重戦車のようにヘヴィに押し寄せるパワーとともに、こうしたヌケの良さがアルバムの完成度を期待させるに十分だった。いつ聴いてもロマンティシズムを感じさせるLAGITAGIDA、アンコールのブレイクで4人が向き合った瞬間はサイコーに絵になっていた。
Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
LIVE REVIEW : LAGITAGIDA presents キャタピリズム #04
PREMIUM : LAGITAGIDA 『CaterpiRhythm』
LIVE REVIEW : LAGITAGIDA presents キャタピリズム #03
LIVE REVIEW : LAGITAGIDA presents キャタピリズム #02
LIVE REVIEW : LAGITAGIDA presents キャタピリズム #01
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