2010.7.4 (sun) @ Akasaka BLITZ, Tokyo
SPECIAL OTHERSが2010年最初に放つシングルは、ライヴ会場での配布CDという形でのリリースとなった。ほぼ毎年コンスタントに作品を重ねながら、あくまでもステージ上でのパフォーマンスでリスナーを惹きつけてきた彼ららしいやり方だと思う。4人のメンバーがその場で鳴らす音楽そのものが彼らにとっての表現であり、録音物はその瞬間をパッケージしたもの。そこから聴こえてくる彼らの楽曲は、時として言葉や声質で聴き手を分けてしまう歌モノ以上に、幅広い層にアピール出来る風通しのよさを備えている。現在のメイン・ストリームの中で、彼らがインストゥルメンタル主体のジャム・バンドという形態を取っていることは、もはや強みだとすら思えてくる。
この日の公演も見事にソールド・アウト。会場一杯に詰めかけたオーディエンスの前に4人が登場すると、すぐに演奏ははじまった。アンサンブルを確かめ合うようなゆっくりとした立ち上がりから、徐々に演奏の熱を高めていく。それが沸点に向かうのと呼応するように、会場の熱気も上がっていく。4人の卓越した演奏による鉄壁のグルーヴに乗せて、メンバーそれぞれが見せ場を作っていくスリリングな展開に、身体を揺らすオーディエンスもステージから目が離せない。
序盤から曲間を空けずに熱演を聴かせた後、いよいよこの日配られたシングルから"wait for the sun"を披露。性急なビートの上でオリエンタルなギター・フレーズを繰り出しながら、中盤で勇壮なスネアのロールと共にコーラスが歌われるという終始アッパーな展開の曲で、フロアからの反応も上々。初披露ながら、今後ステージのクライマックスを演出していくだろう手応えを十分に感じた。
後半に演奏されたもうひとつの新曲"smile"は、4人がステージ中央に寄り添うようにして演奏された。全員がアコースティックに持ち替えての親密な演奏は、高いテンションで続いていたこの日のステージのいいブリッジになっていた。こういうところにこのバンドの懐の深さがよく表れていると思う。
アンコールの"AIMS"で大団円を迎え、終わってみれば2時間以上のステージだった。あっという間だったし、やはり彼らはライヴ・アクトとして突出していると改めて実感した。集まったオーディエンスは帰路に着いた後、この日の記憶を受け取ったCDに刻み込んだことだろう。今後出演を控えているフェスでも、彼らはまた大勢のオーディエンスをかっさらっていくに違いない。
Text : Yuya Watanabe
Photo : iGa-c
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