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クラムボン "YOMIURI again & again!!! -Acoustic sound & Band sound- Band set"

2年ぶりのクラムボンのよみうりランドでの野外ライヴは、アコースティック・セットとバンド・セットとそれぞれ違うメニューで9月16日と17日に開催。この日、17日はメンバー3人によるバンド・セット。大勢の親子連れで賑わうよみうりランドは、まだ真夏のような太陽の下、あたりに焼きそばの匂いが漂い、大人たちはビールを、子どもたちはかき氷を手にしていて、ジェットコースターからは悲鳴が聞こえる、夏休みが戻ってきたかのような場所だった。

揃いの白いコスチューム＆蛍光カラーのヘアスタイル（後で、これは戦隊モノをイメージしたものと判明。よみうりランドは戦隊モノの聖地とか）でメンバーが登場して演奏が始まると、それまで耳に届いていた周囲の音がかき消されて、一気に3人の音が響き渡る。

恒例となっている野音をはじめ、野外に限らず、時にはライヴ会場ではない場所でもパフォーマンスしてきた彼ら。郁子ちゃんが「場所と一緒に演奏するバンド」と自分たちを表現したように、この日の衣装＆舞台美術も含めて、（見た目だけでなく）ここでしか見られない彼らの姿があるなぁと思う。演奏もヴォーカルも、周囲の音や時折吹き荒れる風に負けないロックなアレンジの演奏が心地よく、ベースとドラムの低音が体に響く。続いて演奏された初期のグラムロック〜カオティックな「ORENZI」～「まちわびまちさび」で、子供たちがぴょんぴょん跳ね回っているのがおかしかった。

8曲目の「アホイ」では、ミトさんはギター、郁子ちゃんは途中からピアノからベースに持ち替え、ヴォーカルをミトさんに任せて弾きまくる！　曲も、バンドも全く別物になったかのようなテンションの高いアレンジが楽しい。続く「便箋歌」でふと顔をあげると、無数の、ステージが見えにくいほどのシャボン玉。観客だけでなくメンバーの気持ちも代弁しているかのように勢いよく空に昇っていく。メンバーも、「次もシャボン玉すごいことになりそう」、と「コントラスト」～「サラウンド」を紹介する。続く「メリーゴーランド」～「カーニバル」では、強い風にシャボン玉も音も煽られ、流されて、海の中にいるような、空に浮かんでいるような、これまで経験したことのない風景の中にいる感覚が湧き上がる。

本編ラストは「LONG SONG」。無心でシャボン玉を吹き続ける人たちも、自分たちが生み出したシャボン玉が風に乗って空へ舞い上がる様子に見とれている。「こんな景色見たことない」と、「folkrore」の歌詞がみんなの口をついて出る。

ようやく日暮れが近付いたアンコールでは、アニメのオープニングテーマとして流れることが決まったばかりの新曲「Rough & Laugh」（弾けるようなポップス！）を披露し、郁子ちゃんのスキャットから「シカゴ」、そして、「folkrore」へ。この曲ほど、ライヴ中の楽しさや喜びはもちろん、みんなが抱えているはずのいろいろな感情を受け止めてくれる曲はないと思う。そういう意味でライヴの最後にとてもふさわしい曲だ。

いよいよ空がオレンジに染まり始めた頃、鳴り止まない拍手に応えて、客席からメンバーが再登場。ミトさんがアコギを弾き、あとに2人が続いて会場を練り歩くというディナーショースタイルで、「ある鼓動」を演奏。広い客席を端から端まで歩きながら、メンバーと観客という関係でなく、同じ場所にいる一員としてみんなが歌う、という感じがとてもクラムボンらしい。

ミトさんがライヴ冒頭でぽつりと「3人だとやっぱりしっくりくるね」と言っていたけれど、この編成でのライヴは昨年の両国国技館以来。リリース・ツアー以外ではゆったりマイペースな彼らだけに、こうした“恒例の”といえるイベントは貴重だ。ぜひここでのライヴも続いていくことを願いたいと思う。

Text : Ayumi Tsuchizawa

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