2012.7.2 (mon) @ 渋谷公会堂
自身初となるホール・ツアー、しかも国内未発表となる新曲「beautiful world」も配布されるという大盤振る舞いなこの夜。オープニングは、3月に行った「ものすごい規模の全米ツアー!?」のドキュメント映像からスタートした。全米各地を4人でクルマで周り、ストリートで演奏する様子が映される。日本のストリートで鳴らしただけある彼らだけに、アメリカの街の風景にもすっかり溶けこんでいるのが面白かった。
映像が終わり、白いシャツで揃えた4人が登場し、「CP」をアコースティック・ヴァージョンで奏で始める。渋谷公会堂の大きなステージで、あえてストリートと同じセットでライヴを始めるところが、どこまでも地に足をつけた彼ららしい。そしてバンドセットで、配布されたシングル「beautiful world」。日本を除く世界各国で配信されたこの曲は、SPECIAL OTHERSらしい心地良い音の鳴りと、開放的なメロディが耳に残る、これまでのスペアザ節を凝縮したようなナンバー。続いて初期のジャジーな「Random」を持ってきたように、この日はこれまで彼らが行なってきた2部構成のようなスタイルではなく、全11曲+アンコール1曲で、これまでのアルバムからの楽曲をまんべんなく取り揃えたセットリストとなっていた。アッパーな「PB」「Wait for The Sun」「BEN」といった楽曲の間に、アコースティック・ギターとパーカッション、ピアニカのアンサンブルによる「sunrise」やプリミティヴな「KOYA」といった、アコースティックなアンサンブルを配置。本編ラストは『THE GUIDE』から「Parabola」のアコースティック・ヴァージョン。あらためて彼らのどのアルバムにも、こうしたアコースティックな楽曲がポイントとなっていたことを再確認した。
本編はほとんどMCなしで突き進んだものの、アンコールでは「いつもと違う感じを見せたかったら、みんなラッキーだった」とリラックスしたMCも披露され、「Laurentech」。これまでのSPECIAL OTHERSのライヴ・アクトは、比較的長い時間軸のなかで、インプロヴィゼーションも含め自由な空間を生み出そうという気概が感じられたけれど、カフェやレストランのような場所でやるときはあったものの、公会堂のような会場は初めてという彼らは、ストリートでの経験を再びステージに持ち込み再構成することで、ホール・ライヴを自らの色に染めることに成功したと思う。決してダレることなく、彼らなりのひとつの挑戦を見事クリアした、爽快感に満ちたライヴだった。
Text : Kenji Komai
Photo : Kazuharu Igarashi
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