2014.2.9 (sun) @ Ebisu LIQUIDROOM, Tokyo
『#』と『4』、2枚の新作を引っさげての全国ツアーのファイナル。ソールドアウトとなったLIQUIDROOMの場内が暗転し、ステージ前のスクリーンに青空のなか雲の隙間を縫う映像が映し出され、『#』のオープニングを飾る「Drone」のピアノの音色が響く。そして訪れる轟音に合わせ、Takeshiのシルエットが浮かび上がるというなんとも心憎い演出。Takeshiが当サイトのインタヴューで「過去に囚われず、過去を踏まえたうえで未来に向かっていくこと」と語ったように、未来と過去が繋がっていくこと、という新作におけるテーマが、このライヴの冒頭、そしてライヴ全編に貫かれたメッセージだった。
『#』『4』両作からを中心に「ALL ANIMALS ARE EQUAL」「FREE」などのこれまでの代表曲をも交えてのセット。いつもの通りMCは控えめだったものの「ツアーを通してこのアルバムが自分にとってどんなものなのか分かってきた」と、クリエーションを続けていくうえでの〈気付き〉が彼の表現をさらにリアルなものにしていることを明かしていたのが印象深かった。
奇しくもこの日の東京は知事選の投票日。Takeshiも決してそれに深く言及はしなかったものの、社会に対しての痛烈なメッセージを持ち続ける彼にとっては単なるツアー・ファイナル以上の思いがあったことは想像に難くない。この日の熱狂を肌で感じてあらためて思うのは、AA=のノイズとメロディには、テクノロジーと貪欲に戯れ時代と呼吸していることでしか生まれ得ないリアリティがある。だからこそ、AA=の発する提言や警告は嘘臭くならない。
とりわけこの日は、バンドとのセッションを経てレコーディングされた『#』『4』のなかでも、「II:Repeat:II」「The Jam」のストレートにメロディックでエモーショナルなバンド・サウンドがステージ上でさらにアグレッシヴに表現されていたのに注目したい。そこに重要な役割を果たしていたのは、金子ノブアキに代わりドラムを務めているZAX(pay money to my pain/The BONEZ)の豪放なビート感だった。デジタルと生身のビートのカオスのみならず、こうした緩急が生まれることで、AA=のライヴ空間はさらに豊潤な「分かち合う」エネルギーを生んでいた。
アンコールで「AA=を始めて、本当に良かった」と感慨深く語るTakeshi、そしてメンバーの姿には、過去を確認しながら前進していく、というスプリット・アルバムの精神を血肉化できたことへの満足感が満ちていた。彼らはこの日の模様を収めた配信限定のライヴアルバム『Live #4 at LIQUIDROOM 20140209』を4月9日(水)にリリースすることを発表。そして、5月1日(木)に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催される "New Audiogram ver.7.4" にてJとのツーマン・ライヴを行なうこともこの日配布されたフライヤーでアナウンスされた。ヒリヒリするようなソリッドなパンク・スピリットと同時に、包容力までを増幅させたAA=、これからどんな進化を見せてくれるのか期待は尽きない。
Text : Kenji Komai
Photo : Yoshiharu Ota / Miku Nakajima
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